SoFi USDの衝撃① ― 銀行だけが到達できる“暗号資産フロートの秘密”
前回の記事【決済革命2026:SoFi USDの衝撃―序章「時価総額1兆ドル企業へ」】からの続きとなる。
2025年11月、SoFiは暗号資産の売買・保有サービス「SoFi Crypto」を再開した。SoFiは銀行免許取得に伴う規制上の要請のため、2023年12月に暗号資産サービスの提供を中止したが、トランプ政権下の規制環境の変化を踏まえ、今回は再参入となる。
はじめに、SoFiが決済ステーブルコイン利用を検討している「暗号資産」「国際送金」「BaaS(Banking-as-a-Service)」「ローンのトークン化」「小売決済」といった領域のなかで、暗号資産取引におけるSoFiの収益化戦略を検証していく。
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暗号資産取引は、単なる手数料ビジネスではない。
銀行免許を持つSoFiは、銀行免許を持たないフィンテックとは根本的に異なる、圧倒的な収益構造を手にする。
これは暗号資産ビジネスの裏側に潜んでいる
・銀行免許による預金運用
・決済の時間差を利用したフロート収益
・ステーブルコインの発行残高増加
という“3つ”の要素が絡み合うことで生まれる。
暗号資産市場は、銀行にとって非常に相性の良いビジネスだ。とりわけステーブルコインの発行を予定するSoFiにとっては、その相性の良さは“桁違い”と言える。
<株式市場と暗号資産市場の“構造的な違い”>
前回は、ステーブルコインの発行に伴って発生する、「準備金の運用収益」「決済手数料収入」に加え、決済や清算の時間差から生まれる“フロート”が、SoFiの収益ポテンシャルをもう一段押し上げる「第三の矢」になることを説明した。
株式市場にはそのフロートが存在しない。
株式取引の場合、売買が成立すると中央清算機関が介在する形で清算は実行される。また、証券会社は顧客資産を「分別管理」しなければならず、顧客のお金を自社で運用することは一切できない。顧客の買いと売りを内部で相殺する“内部マッチング”も、厳しく制限されている。
つまり、株式市場には以下が存在しない。
・清算に関与する自由度
・顧客現金残高を運用する自由度
・売買を内部処理する自由度
その結果、株式取引からはフロート収益が生まれない構造になっている。
これに対して暗号資産市場はまったく異なる仕組みで動く。
・外部LP(補足参照)と取引所を介した取引が混在し、清算のタイミングが調整可能
・顧客が入金したお金は“銀行預金”として扱われ、銀行が運用できる
・売買が内部で相殺できる場合、外部清算そのものを不要とできる
この“構造的な違い”が時間差を生み、フロート収益の源泉となる。なお、フロートは分〜時間単位で発生するため、1件あたりは小さく見えても、積み重ねれば無視できない規模になる。
・補足:流動性プロバイダー(LP:Liquidity Provider)
暗号資産市場は24時間365日動き続けている。そのため、ユーザーの注文に常に応じられるだけの売買量が、取引所だけでは不足しがちになる。そこでLPが、大量の暗号資産とドルを常に保有し、ユーザーからの注文に即座に応じることで、市場に安定した流動性を供給する。LPは、取引が途切れないよう裏側で支える、暗号資産市場にとって欠かせない存在である。
<暗号資産においてフロートが生まれる仕組み>
1.入金した瞬間にフロートが始まる
ユーザーが暗号資産を買うために入金すると、銀行はそれを短期国債などで運用できる。つまり入金後、ユーザーが暗号資産を購入するまでの時間差を利用したフロート収益が生じる。
2.売買成立後、LPや取引所との清算までのタイムラグ
ユーザーが暗号資産を購入すると、SoFiはLPや取引所から暗号資産を調達する。しかし、LPとの清算タイミングは、双方の合意のもとで一定の調整余地があり、この時間差がフロートの源泉となる。暗号資産取引所も、LPほどの自由度はないものの、清算はリアルタイムではないため、フロート収益が発生する。
3.売却後、出金処理のラグでもフロート発生
顧客が暗号資産を売却した後、出金するまでの時間も銀行預金として滞留する。
4.内部マッチング時は外部清算すら不要
買い手Aと売り手Bの注文がSoFi内部でマッチングできれば、外部清算が不要になる。この内部マッチングの有無は、外部清算コストの削減のみならず、短期国債などの裏付け資産の運用期間に直結し、フロート収益の規模を左右する重要な要素となる。
内部マッチングが成立しない場合/成立する場合をフローで表すと、以下のようになる。
【内部マッチングが成立しない場合】
・ユーザーA(USD入金)→SoFi(SoFi USDへ変換:運用開始) → ユーザーA(買い)→ SoFi(USDへ再変換:運用終了) → 外部LP・取引所へUSDで支払い
この場合、SoFi内部に滞留する資金はごく短期間にとどまり、短期国債などの運用期間は限定され、フロート収益も断片的にしか発生しない。
【内部マッチングが成立する場合】
・ユーザーA(USD入金)→ SoFi(SoFi USDへ変換:運用開始) → ユーザーA(買い)/ユーザーB(売り)→ SoFi(ユーザーAからユーザーBへSoFi USDを付け替え:運用継続)
内部マッチングが成功すると、買い手Aの原資を起点に発行されたSoFi USDはSoFiの内部台帳上で売り手Bへ移る。結果的にSoFi USDが外部に流出することなく、SoFi内部に滞留し続けるため、短期国債などの運用期間が自然と長くなり、フロート収益も増大する。そして、このような状態が恒常化することで、SoFi USDの発行残高が安定的に推移し、裏付け資産からの運用収益も増えていく。
しかし、このフロート構造はまだ“序章”にすぎない。続く「SoFi USDの衝撃② ― SoFi vs Robinhood:明暗を分ける“銀行免許”」では、SoFi(銀行)とRobinhood(非銀行)の収益構造を分ける“決定的な要因”の核心に踏み込んでいく。
暗号資産ビジネスはSoFiにとって非常に大きな「戦略的第一歩」になります!少しでも参考になったと思っていただけたら、「スキ」🩵、フォロー🌸、SNSでの拡散💫で応援していただけると、とても励みになります😊
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