SoFi Technologies, Inc.(SOFI)④ローン事業詳細
前回はローン・金融サービス事業の概要を取り上げたが、今回はローン事業を掘り下げていく。
<ローン事業>
SoFiはローン事業として、学生ローン、個人ローン、住宅ローンを提供している。

米国の各債務残高(2024年末時点)は、学生ローン1.6兆ドル、個人ローン2,510億ドル、住宅ローン12.6兆ドルといずれも非常に大きな市場規模を有している。もちろん1年あたりの融資実行額はより少ないが、ローンの借り換え需要も含めれば、これらがターゲットとなる。

一方、SoFiの2024年の融資実行額は、学生ローン37.8億ドル、個人ローン176.1億ドル、住宅ローン18.2億ドル、合計232.2億ドルと市場規模から比べるとまだ小さく、市場開拓余地は極めて大きい。
ローン事業は売上全体の約55%を占め、売上および貢献利益(売上から変動費を差し引いた利益)の推移は以下のとおりで、2020年3月以降、コロナ禍における支援策の一環として学生ローンの支払いが猶予されるなど、SoFiにとっては死活問題とも言える事態となったコロナ期もうまく乗り越え、きれいな成長軌道を描いている。

2024年のローン事業における売上は14.9億ドル(売上構成比は金利収入が81%、非金利収入が19%)、貢献利益は8.9億ドル、貢献利益率(貢献利益÷売上)は60%となっており、効率の良さが際立つ。(SoFiはAIや自動化を活用してローン審査や顧客対応を効率化しており、これにより変動費を抑えることに成功している。)なお、2025年の売上成長は10%台前半〜後半が見込まれている。
ローンの残存契約件数も年々増加している。最近では個人ローンの伸びが著しい。

各ローンの毎年の融資実行額は、個人ローンは右肩上がりだが、学生ローン、住宅ローンは伸びていない。これは政策や金利の高止まりといった市場環境がそうさせており、SoFiが競争力を失ったわけではない。むしろ今後需要は伸びていき、SoFiはその需要の波をとらえることが出来るはずだ。(詳細は後述)

顧客層が良質であることもSoFiの強みの一つだ。個人向けローンの借り手の加重平均年収は15万8,000ドル、加重平均FICOスコアは744、また学生向けローンの借り手の加重平均年収は13万4,000ドル、加重平均FICOスコアは765となっており、景気悪化へのリスク耐性も高い。
【FICOスコア】
米国で最も広く使用されている個人の信用スコア。300~850点の範囲で、点数が高いほど信用力が高いとされている。(800~850:Excellent、740~799:Very Good、670~739:Good、580~669:Fair、300~579:Poor)
さらに最近はLoan Platform Business(LPB)にも力を入れ始めている。今までのローン事業は、バランスシート上にローンを保有して金利収入を得るか、あるいは資本規制やバランスシートの健全性維持(リスク管理)のためにローンを売却して売却益を計上するかの二択であった。
一方、LPBでは、法人顧客の要件に合うローンをSoFiが代わりに組成することで、ローンは顧客のバランスシートに計上される。SoFiは引き続きローン審査・組成・サービス提供を担うが、自社のバランスシートを使用しないため、資本効率が向上し、手数料収入(非金利収入)を得られる点が大きな特徴である。これは資本効率を高め、手数料収入を増やすことで収益の多角化を図るSoFiの戦略に合致するだけでなく、SoFiの基準に満たず、従来は断っていた会員にも第三者を通じてローンを提供できる道を開いたことになる。
実際に、SoFiはこの新しいスキームで個人ローンを対象とし、2024年10月にFortress Investment Groupと20億ドル、2025年3月にもBlue Owl Capitalと最大50億ドルの2年契約、さらに先日FortressおよびEdge Focusとの契約による32億ドルの追加拠出の発表がなされている。SoFiの2024年の個人ローンの融資実行額は176億ドルのため、今後のビジネスにインパクトをもってくるだろう。
<補足①:学生ローン>
米国では学費は高騰を続け、学生ローンの返済に長年苦しむ人が多いことから社会問題化している。(これがSoFiの創業のきっかけとなった。)学生ローン残高および債務延滞額も右肩上がりで推移し、他のローンと比較した場合、コロナ前は学生ローンが延滞率・延滞額ともにもっとも高かった。しかし、2020年3月以降、コロナ禍における支援策の一環として学生ローンの支払いが猶予されると一転、2020年以降、学生ローンの延滞率・延滞額は急低下した。

ただし、その猶予も2023年以降、原則終了を迎え、さらに2025年から大半が利用する連邦学生ローンの信用機関への未払い報告が再開されるため、現在水面下で進む延滞率・延滞額の増加が表面化する可能性が極めて高く、今後、学生ローンの需要は高まっていくはずだ。

<補足②:住宅ローン>
現在、米国では新築も中古も住宅販売は極めて低調だ。住宅価格および住宅ローンの高止まりに加え、保険などの維持費の高騰などが主な要因だ。

一方で、住宅の購入を検討する20代後半から40代前半の人口は多く、まだ時間がかかる可能性は高いが、住宅価格や金利が落ち着けば、市場の好転が期待できると同時に住宅ローンの借り換え需要も期待できる。

なお、このような厳しいビジネス環境においても、SoFiは2023年4月にWyndham Capital Mortgageを買収し、住宅ローンビジネスの強化を図っていることもあってか、2023年第1四半期以降、融資実行額は右肩上がりで推移しているのも良い材料だ。

(続く)
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