ちょっと不便のために。踏み台のある家
父はDIYが趣味です。
ただし、作るものはいつも決まって、母のためのものです。

実家の大きな冷蔵庫の前に、小さな踏み台が置いてあります。
いつの間にかありました。
背の低い母が、冷蔵庫の一番上の棚に手が届かないから、父が作ったものです。
弟の大きな車に乗り降りするための踏み台も、別にあります。
そちらも父の手作りです。
高さも幅も、「ちょっと不便」な母にちょうどいいサイズです。
父のDIYはいつも、母の「ちょっと不便」から始まることが多いのです。
頼まれたのか、自分で気づいたのか。
聞いたことはありません。ただ、気づいたら置いてある。
それが父のやり方のようです。
私がかつて使っていた部屋にも、いつのまにか父の自作の小さな机が置かれていました。
そこには父のノートPCやプリンターなんかがが乗っています。何台持っているのだろう、と思います。
DIYの道具がちらほら出しっぱなしになっていることもあります。
母は片付けません。父も片付けません。
それでも、母のための踏み台はいつもきちんとそこにあります。
父は私たちがいない時は、母に対してぶっきらぼうなことも多いです。
ただ、言葉にはしない気遣いが、形になって残っている。
そういう二人なのだと思います。
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