退職しました
2025年7月30日をもって、勤め先を退職しました。
書きたいことはたくさんありますが、とりあえずのご報告なのでサラッと。
(とは言いつつ、サラリーマン人生の振り返りなので長くなりそうな予感)
私は大学院を卒業後、24歳で新卒として金融機関に就職。
その後ずっと同じ会社に勤め、36歳でサラリーマン人生を終えました。
思い返すと、20代はひたすら仕事と勉強の毎日だった気がします。
私は祖父が農家だったこともあり、大学・大学院ではバイオサイエンス(植物の遺伝子やタンパク質などミクロな分野)を学びました。大学院の研究は楽しく、ひたすら海外の論文を読んでは実験の毎日。遺伝子変異を調べるため植物の種を10万粒蒔いたり、実験体が枯れないよう大晦日・正月も水やりしに大学に行ったのは良い思い出です。
しかし就職先として選んだのは、専攻とはまったく関係のない金融機関でした。
理由はいくつかありますが、最大の決め手は単純に給与が良かったこと。ちょうど金融に興味を持ち始めたタイミングでもあったので、金融のプロとして生きていく道を選びました。「銀行員は継続的な資格取得とスキルアップが必要。コツコツ勉強や研究できるタイプは銀行員に向いている」という話を聞いていたことも、私のやる気に火をつけました。あと単純にお金のことを考えるのも好きな性格なので、働きながらお金の勉強ができるのは私にとって魅力的でした。
とはいえ、金融知識ゼロの状態で入社したものだから当然苦労します。知識も経験も足りない。持っているものは若さと体力だけ。その「若さと体力」という唯一の武器を使い、仕事終わりや休日はひたすら資格の勉強ばかりしていました。結果、金融系資格をメインとして20種類の資格を取得。20代後半には大型資格にチャレンジし、2年かけて「証券アナリスト」という国内最高峰の金融資格を取得することができました。
一方、証券アナリストという大型資格に合格したことで、ある種の燃え尽き症候群的な感覚に陥りました。次の目標が見えなくなってしまったんです。
これまでたくさん勉強してきたけど、「資格取得=キャリアアップ」と短絡的に考えていいのか?
これから頭も体も衰えていくけど、「ひたすら資格を取得する」という若手と同じ動きでいいのか?
将来に向けて、他に何かできることはないのか?
と、これまで考えなかったことに目を向けるようになりました。30歳という区切りの年齢で、ちょうど第一子が産まれたこともあったのかもしれません。
そこからいろいろ考えて試し、たどり着いたものが筋トレでした。
「なんでやねん」と思うかもしれません。でも、30代で衰えるはずの肉体が日に日に改善され、むしろ20代よりもパワーがみなぎる感覚。これに興奮を覚え、どんどん筋トレにハマっていきました。目標を失っていた私にとって、筋肉を大きくするという疑似的な目標がバチっとはまったのでしょう。

そして筋トレ教にどっぷり浸かり込んだ私は、自宅にジムを作り始めました。ちょうど家を買ったタイミングで、一部屋まるまるをトレーニングスペースに。夢のマイホームと夢のホームジムを同時に手に入れ、毎日ウキウキして家に帰ったのを覚えています。ホームジム作成を許してくれた妻が寛大。


で、ホームジムでしこたまトレーニングした私は思いました。
「ホームジムの作り方を、誰かに教えたい!」
「というか、自慢のホームジムを全世界に公開したい!!」
というヨコシマな想いで、100%趣味でこんな電子書籍(Kindle本)を出版しました。
※個人でできる、自費出版のようなものです
なんと、この電子書籍が超絶ヒット!!
したわけではありません。
半年かけて1冊を書き上げたものの、初月の印税は2,000円でした。
しかし、ここで「本を作る楽しさ」に完全に目覚めました。
そこからは趣味の筋トレ系をはじめ、本業の知識を活かして投資系の本を書いたり、トレンドテーマの本を書いたり……と、気づけば25冊を出版。経緯は省略しますが、趣味の電子書籍出版で2,000万円を超える印税が得られました(テーマ選定や戦略が上手くいき、アマチュア電子書籍作家としてはおそらく日本一レベルの額です)。さらに雑誌からインタビューされたり、講演依頼を受けたり、出版をきっかけに思いもよらぬ展開へと広がっていきました。
この間も銀行員としての仕事は続けているので、本業+副業のダブルインカム状態です。しかしあまりにも人生にアクセルをかけすぎて負荷がかかったせいか、36歳で大病を患いました。
十二指腸癌でした。
がん発覚から手術までの経緯は、こちらの記事にまとめています。
(かなり長いですが、あなたの人生を見つめ直すためにぜひ一度読んでほしい記事です)
結果、十二指腸と胆のうを全摘出し、さらにすい臓の1/3を摘出する「膵頭十二指腸切除」という大手術を受けました。

このnoteを書いている今、大手術を受けて約5ヶ月が経ちます。改めて手術直後の写真(全身に管がつながれ自力で起き上がることもできない状態)を見ると、よく生きて帰ってこれたなと感じます。
今は普通に生活できていて、精神的にはかなり元気。ただ手術の影響で食事制限があり体力も大幅に低下したため、肉体的には手術前の30~50%程のレベルに落ちている感覚です。
一方で幸いなことに、癌は早期発見できたため完治の見込みです。術後の定期検診で癌転移はまったく見つかっていません。またさらにラッキーなことに、住宅ローンが団体信用生命保険のがん特約で免除……平たく言うと、借金がチャラになりました。
生活コスト(住宅費)が大きく下がった。
本業+副業で稼いだ貯えがそこそこある。
今も毎日入ってくる印税で、生活費がまかなえている。
あれ?これってFIREしてる?
と気づいたころには、もう気持ちは退職に向かっていました。
私が罹患した十二指腸癌いう病気は、いわゆる「希少がん」に分類されます。日本で1年間に十二指腸癌と診断される人は3,000人しかいません。大腸癌患者は年間15万人以上、と言えばその少なさがイメージできるかと思います。
で、この十二指腸癌の問題は「抗がん剤が存在しないこと」なんです。ある程度ステージが進んだ癌は、抗がん剤で治療します。抗がん剤にもいろんな種類があり、大腸癌にはコレ、胃癌にはコレ……と、通常はがんの種類によって効きやすい薬がわかっています。でも十二指腸癌は症例が少なく、どの抗がん剤が効くかわからない。だから、現状では「癌が進行する前に物理的に切って治す」が最も有効とされています。
(十二指腸癌を抗がん剤で治療するアプローチは、私が癌と診断された2025年1月時点ではまだ臨床試験中とのことでした。希少がんに対しても戦ってくれている病院・先生が存在することが嬉しい!)
そして私のような十二指腸癌の早期発見は、奇跡に近いケースなんです。癌の自覚症状はなく、たまたま他の検査で見つかっただけ。私は現在36歳ですが、この偶然がなく発見が遅れていたら、恐らく40歳を迎えられていなかったと思っています。
言ってみれば、私の今後の人生は「生きているだけで丸儲け」を地で行くような感覚です。冗談抜きで命拾いし、残り寿命を使い果たすまでの50年間はオマケみたいなもんです。
だったら、もう好きなことして生きていこう。
自分のビジネスに挑戦しよう。
もしビジネスで失敗しても、癌で死ぬかもという過去の恐怖と比べたら屁みたいなもんです。というか癌完治してからは自己肯定感がすさまじく上がり(生きてるだけでエライ!自分は価値がある!という感じ)、何しても失敗する気はしませんが。
FIREできるかどうかには努力や資産がフォーカスされがちで、言うまでもなくどちらも超重要です。しかし最終的に必要なのは、覚悟なんだと思います。私は死の淵から蘇って「もう怖いもんなんかない」と思えたからFIREできた。癌が最後の一押しになった、ただそれだけの話です。
そしてもう一つ、癌を経験して大きな心境の変化がありました。ここはまだ上手く言語化が難しいところなんですが……恥ずかしげもなく言うと「人の役に立ちたい」「社会貢献したい」という想いが、自分の中で強くなったと感じています。
繰り返しますが、私の残り人生50年はオマケです。そんなボーナスステージで、ひたすらコイン集めばかりしていても楽しくないんですよね。
一応、手術後から回復後は自分のためにたくさん時間とお金を使いました。欲しかったモノは全部買ったし、食べたいモノは食べたし、家族で旅行に行ったし、会いたい人にもたくさん会いました。でも「自分のためだけ」の行動って、3〜4ヶ月ぐらいで飽きてくるんです。

もちろん、自分のためにお金と時間を使うことは楽しい。でも結局は、旅行で家族が喜ぶ顔を見たり、人の悩み相談に乗ったり、ちょっとしたプレゼントをあげたり……と「人が喜ぶ姿」を見る方が、私自身が嬉しいし幸せを感じることに気づきました。
だから今後のビジネスでも、誰かの役に立つことをひたすら追い求めていこうと思っています。
私が提供するモノ・サービスにお金を出してくれる人とは、言い換えるなら「私を信じてついてきてくれた人」です。そんな人には、受け取った金額以上の価値を与えなければ私の気が済みません。
そして受け取ったお金を使って、社会に還元していく。個人的な今の野望を語ると、私はがん早期発見の活動をしたいんです。有益な無料セミナーと称して人を集めて一通りメインテーマで話したあと、最後に「がんは早期発見が大事」「とにかく検診を受けろ」と悪徳商法のような手法でプロパガンダを進めていく。何なら、ビジネスで稼いだお金を活用して「がん検診を受けた人にキャッシュバック!」と私設補助金のような制度を立てても面白いかもしれません。
ビジネスで自分の資産を増やすことの興味がなくなった一方で、いかに多くの人を巻き込み幸福を感染拡大させるか?というゲームに興味がわいてきたところです。もはや自分のエゴなのですが、私は「十二指腸癌になって内臓を3つも失った」という経験に意味を持たせたいんです。私の言葉を受け、誰かのがんの早期発見に繋がったのであれば、私自身が救われるんです。
なんだか話が逸れてしまった気がしますが、そんな経緯で12年間勤めた職場を退職しました。おつかれ自分。
「がん早期発見の活動」という大きなミッションを抱えつつも、基本は楽しく朗らかに生きていきます。
引き続き、よろしくお願いします!
ちなみに、この記事を読んだあなた。
過去に検診で引っかかったのに無視してる場合、今すぐ再検査の日を決めてください。もし自営業などで検診の機会がないのであれば、自主的に検診に行ってください(特に35歳以上の方)。
個人的には、胃カメラありの人間ドックがおすすめ。やはり内視鏡検査(カメラで体内を直接プロに見てもらう)は確実です。麻酔を使えば苦痛もなく、寝てる間に全部終わってます。もしお金と時間に余裕があれば、2〜3年に一度は大腸カメラも受けといた方が無難です。
【追伸:元職場のみなさんへ】
※この文章が元職場の方に届いた日のために、メッセージを残しておきます
12年間、大変お世話になりました。
2025年7月30日の退職日当日は9:00-17:00までフルタイムで職場の挨拶回りにうかがい、たくさんの方とお話しできて嬉しく思えます。お世話になりっぱなしだったにもかかわらず、餞別やプレゼント、励ましの言葉などたくさんいただき本当にありがとうございました。ちなみにこの記事は退職日翌日の7月31日に書いていますが、特に体調を崩すこともなく思ったより元気です。
一方で退職日に出張などでタイミングが合わず、話したかったけど話す時間が取れなかった方もたくさんいます。私はもう職員ではなくなりましたが、元職場で出会った方と縁を切るつもりは全くありません。私は大阪を離れる予定もなく、元気だし時間の融通も効くので、たまに会って話しましょう。個人LINEを知っている方は引き続きLINEで、知らない方は(仕事用ですが)メールアドレスを載せておきますので気軽に連絡いただけると嬉しいです。
mail@books-you.com
実は休職中に法人設立の準備を進めており、2025年8月には代表取締役として新たな道を歩んでいきます。とは言いつつも半分フリーランスのようなもので、講演業などで頑張っていくつもりです。現在も「ファイナンシャルアカデミー」という国内最大の株式投資スクールで講師をしていたり、企業や証券会社のセミナーに登壇しています。研修の外部講師などお探しであれば喜んでお話しに行くので、いつでも呼んでください。財務などの基礎的な金融知識をはじめとして、プレゼンテーション、NISA制度解説、資産形成、投資、健康など幅広いテーマで研修・講演できます(露骨な営業)。
改めて、この職場で働けたことは私の人生の財産です。今後も元職員としての誇りを持ちつつも、第二の人生を全力で楽しんで生きていきます。
またお会いしましょう、引き続きよろしくお願いします!!
▼公式HP
ちなみに最近は、趣味でこんなことをやってます。
FIREしたからこそできる、贅沢で有意義な時間の使い方。
