本当に必要?【文科省方針】教職課程の単位数削減/教育ニュース最前線
【教育ニュース最前線 臨時増刊号】
日々報じられる教育関連情報から、教育業界への影響が大きいと思われる内容を、代ゼミ教育総研 研究員・編集チームが厳選してピックアップ。
それぞれの分析・私見を述べます。
教育・学校・入試について関心がある方々の、考えるヒントとなりましたら幸いです。
文科省の中央教育審議会内におかれた、初等中等教育分科会の「教員養成部会」。その名の通り、「初等中等教育の教員の養成」について、国の指針を定めるための部会です。
2025年5月23日に行われた第150回の部会では、「教職課程の在り方」「教員免許制度の在り方」が議題となったのですが、会議当日の朝、驚くべきニュースが飛び込んできました。
▼【独自】教職課程の必要単位見直しへ 免許取得の負担軽減、文科省(5/23 Yahoo!ニュース/共同通信)
文部科学省は、大学で教員免許を取得するための教職課程の必要単位数を減らす方向で見直す方針を固めた。共通して学ぶ内容を精選する一方、教員養成の質を保証するために削減分はデジタル技術の活用で学習機会を確保し、学びの成果の確認も行う。関係者への取材で22日、分かった。今後、新たな制度の詳細を検討し、2027年の国会での教育職員免許法改正を目指す。
さらに会議の内容を受け、5月26,27日にはこのような記事も。
▼<社説>教職課程単位数見直し 質の低下を招かぬ制度に(5/26 琉球新報)
負担軽減、処遇改善と併せ、教職課程単位数見直しも、なり手確保の方策であろう。だが安易な単位数削減にならぬよう慎重な検討が必要だ。
教職課程では、教職の意義や教育の基礎理論といった教職に関する科目、教科に関する科目などを学ぶ。
なり手確保を優先するあまり、単位数削減で教員養成の質の低下につながることがないよう、どの科目を削減するかについては学校現場の意見も聞きながら慎重に見極めることが求められよう。
▼教職課程の教養科目廃止を検討(5/27 日本教育新聞)
中央教育審議会の教員養成部会は、教員養成課程で必修となっている憲法や体育などの教養科目について廃止を含めて見直すことを決めた。
ー(中略)ー
教養科目は
・憲法
・体育
・外国語
・情報機器の操作など
教員養成部会の「第150回議事録」は5月29日現在掲出されていませんが、既出の「配付資料」にはこのように書かれています。
(1) 教職課程の在り⽅
ー(中略)ー
▷それを前提としつつ、養成段階においては、教師となる際に必要な最低限の基礎的・基盤的な能⼒を担保すると考えるべきではないか。
太線筆者
(2) 教員免許制度の在り⽅
○ 1⼈でも多くの学⽣に教職を志してもらうために、免許制度においてどのような課題があり、どのような改善が必要と考えられるか (教職課程を履修したものの、「必要な単位数が多く全ての単位取得が難しかった」として免許取得に⾄らなかった学⽣の声が⾒られたことも勘案)
▷⼀⼈でも多くの優秀な⼈が教職を⽬指してくれるよう、単位数の⾒直しも含めて検討することが必要ではないか。また、制度の合理化により複数免許を取りやすくすることが必要ではないか。
太線筆者
(1) 教職課程の在り⽅ で書かれている「必要最低限な力の担保」という考え方には大いに同意します。蛇足となるような講義、学校の実情に合わない教育内容は、削減されてしかるべきでしょう。その点で、単位数を減らすことは必要かもしれません。
一方で、(2) 教員免許制度の在り⽅ の記述には首をかしげてしまいました。
「必要な単位数が多く、教員をめざさなかった」あるいは「必要な単位数が多すぎて教職を断念した」という事例は果たして全体の中でどのくらいの割合を占めるのでしょうか?
別の記事も見てみましょう。
▼「教員として働きたくない」が約6割、ペーパーティーチャーの実態と本音(2022/9/13 東洋経済education)
教員として働く意思のない人が半数以上いたわけだが、それはどのような理由なのか詳しくみていこう。教員として働きたくない理由を聞くと、いちばん多い回答が「学校で働くのは過酷なイメージだから」というものだった。
学校で働くのは過酷なイメージである…
まさにこれこそが、教員のなり手不足の非常に大きな要因である、というのは多くの人が同意するところではないでしょうか。
加えて、薄給・モンスターペアレント・部活動の無償奉仕など、教員という仕事自体のネガティブな面もクローズアップされています。
"教員養成課程の単位数の削減"だけでは、仕事自体のイメージを変えることはおそらく難しいでしょう。
ネガティブなイメージをどのように払しょくしていくか、
教員という唯一無二で必要不可欠な仕事の重要性、そしてその仕事だけでしか得られない喜びややりがいや魅力をどのように伝えていくか、
そもそも適正な対価を教員が得られているのか…
そこに鍵がある気がしてなりません。
今後の会議の行方にも注目してまいります。
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5月31日に関連記事公開!
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