サマルカンド宿事情 〜62ドルの歴史ロマンと30ドルの神対応〜
ウズベキスタンで人気なのが、いわゆるブティックホテル。
伝統的な建築様式を取り入れた、家族経営のこぢんまりした宿が多く、どこもこれも個性的で魅力的だ。
いざ行くと決めてホテルを探し始めたのだが、どれもよすぎて、決められない。贅沢な悩みである。
サマルカンドといえばビビハニム・モスクの青いドームが目の前の「ホテル・ビビハニム」が有名だが、さすがの人気宿。まったく予約がとれず。

迷いに迷って決めた宿が「ラバト・ブティックホテル」である。
決め手は、なんと100年以上前のシナゴーグがそのまま残っていること。
しかも、そこで朝食が食べられる。
もはや宿泊というより、歴史体験である。

人気観光地、レギスタン広場までは徒歩10分くらいの近さなのに、住宅街にあるからかとても静か。
門をくぐると、美しい中庭。

その中庭を囲むように客室がある。壁には、伝統工芸品のスザニが飾ってあったりと異国情緒満点。

ウズベキスタンの伝統的家屋にかかせないアイヴァンと呼ばれる高床式の休憩スペースも。気候がよければここでまったりしてもいいかも。

部屋の中にもスザニが飾ってあり、友達の家に遊びにいったようなアットホームさがある。しかも靴を脱ぐスタイル。
これは日本人にとって、地味にうれしい。

ブティックホテルといえば手作り朝ごはん。定番のクレープはもっちもっちでアプリコットジャムやカッテージチーズをたっぷりトッピングして食べる。

ここのホテルでおいしかったのがズッキーニの揚げパンケーキのようなもの。ズッキーニをつぶしてとろとろにしたものを生地に練りこんであげたっぽいのだが、塩気といい、もちもち食感といい、かなりのうまさ。
朝食をサーブしてくれた人がきて
「ほかになにかいる?」と聞かれ
「この揚げパンみたいなのをもう一つ食べたい」
といったらおかわりを作ってくれた。それくらいおいしかった。
朝からスイーツをてんこ盛りにして出してくるのもウズベキスタンスタイル。大好物のバグラヴァも登場。バグラヴァのお話はこちら。

ウズベキスタンのバグラヴァはクルミ、ピスタチオ、アーモンドがこれでもかと詰まり、シロップどっぷり、重量感ずっしり。かなり胃にズドーンとくるバグラヴァなのだ。それでも、一度食べたら、また食べたくなってしまう魅惑のスイーツなのでついついたいらげてしまう。
そして、これまた定番の乾きもの。
ウズベキスタンで大好物となった干しぶどう、砂糖がまぶしてあるピーナッツ、そしてさっくさっくのひよこ豆。

ウズベキスタンの朝食のボリューム恐るべしなのである。
さて、そんな贅沢宿のあと、最終日は安宿へ移動。
というも、翌朝2時には出発という強行スケジュール。若ければ駅で時間をつぶすのだが、疲れやすいお年頃。やはり少しでもベッドに横になりたいということで選んだのがB&B Bahodir Hotel。
お値段二人で30ドル。ラバトブティックホテルが二人で62ドルだったから半額である。
正直、まったく期待していなかった。
なのに13時のチェックイン前に荷物を置きに行ったら、
「お茶でも飲むか?」
となんとミニパンケーキつきのティーセットを持ってきた。

しかもテーブルには大量の乾きものとフルーツ。これらも好きなだけ食べていいという。ヒヴァ、ブハラ、タシケントとブティックホテルを泊まり歩いたが、ウェルカムアフタヌーンティーを用意してくれたのはこのホテルだけ。
しかも、安いのに中庭つき。アイヴァンもある。

部屋はさすがに値段どおりしょぼかったものの、お湯の出が最高にいい!日本の水圧並なのだ。他のブティックホテルで苦しめられた
「ぬるい or 熱湯 or 水」
という三択が存在しない。

しかも、以前に書いたゆで卵とざくろ付きの豪華ランチボックスをもたせてくれたのものこのホテル。
高ければゴージャス、安ければそれなり。
そんな単純な話ではないのが、旅の宿である。
62ドルの歴史ロマンと、30ドルの神対応。
どちらも忘れがたいが、ひとつだけ確かなことがある。
ウズベキスタンのブティックホテルは、どこも人が温かい。
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