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ぼくのおじさん|【毎週ショートショートnote】「人魚裁判所」

田原にかさんの主宰の「毎週ショートショートnote」企画への参加作品です。  
   
お題【人魚裁判所】
410字くらいのショートショート  
 
 
二度目の参加です。  
よろしくお願いします。



ぼくのおじさんは、外洋航路の船乗りだった。
南の島、氷河やオーロラ……見たこともない景色の絵葉書が、ときどき届く。

ぼくは、たまに帰国するおじさんから、冒険譚のような話を聞かせてもらうのが、どんな物語を読むより好きだった。

「嘘だ! 人魚なんているわけないよ」

「いる──そして、人魚はとても恐ろしい」

おじさんは、いつになく真剣な顔で言った。

「人魚は、海を汚す人間を決して許さない」

「だったら、どうするのさ」

「海の底へ連れて行かれる──人魚裁判所だ」

「どうなっちゃうの?」

「生きて帰ったものは、いない」

「それって、死刑……ってこと」

「人間はみんな、判決を聞く前に溺れ死んでしまうのさ。海の底だからね」

それ以来、ぼくは人魚が怖くなった。

潮干狩りや海水浴で海に行く度、ゴミを拾ったりするようになったのは、そんなわけだ。

──ほら吹きのおじさんが亡くなってから、もうずいぶん経つ。(了)





🚢 船乗りのおじさんは、このあと再登場します。


📚 これまで、文芸部の活動に参加した作品をまとめています(マガジン)


📚 もう少し長い物語を読んでみたい方へ──現在連載中の長編三部作です。

 私には、「選ばなかった人生」と「なれなかった自分」をめぐる物語があります。


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