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fair_roses828
ぼくのおじさん|【毎週ショートショートnote】「人魚裁判所」
田原にかさんの主宰の「毎週ショートショートnote」企画への参加作品です。
お題【人魚裁判所】
410字くらいのショートショート
二度目の参加です。
よろしくお願いします。
ぼくのおじさんは、外洋航路の船乗りだった。
南の島、氷河やオーロラ……見たこともない景色の絵葉書が、ときどき届く。
ぼくは、たまに帰国するおじさんから、冒険譚のような話を聞かせてもらうのが、どんな物語を読むより好きだった。
「嘘だ! 人魚なんているわけないよ」
「いる──そして、人魚はとても恐ろしい」
おじさんは、いつになく真剣な顔で言った。
「人魚は、海を汚す人間を決して許さない」
「だったら、どうするのさ」
「海の底へ連れて行かれる──人魚裁判所だ」
「どうなっちゃうの?」
「生きて帰ったものは、いない」
「それって、死刑……ってこと」
「人間はみんな、判決を聞く前に溺れ死んでしまうのさ。海の底だからね」
それ以来、ぼくは人魚が怖くなった。
潮干狩りや海水浴で海に行く度、ゴミを拾ったりするようになったのは、そんなわけだ。
──ほら吹きのおじさんが亡くなってから、もうずいぶん経つ。(了)
🚢 船乗りのおじさんは、このあと再登場します。
📚 これまで、文芸部の活動に参加した作品をまとめています(マガジン)
📚 もう少し長い物語を読んでみたい方へ──現在連載中の長編三部作です。
私には、「選ばなかった人生」と「なれなかった自分」をめぐる物語があります。
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