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山の中に突然現れた1350年の古湯。有福温泉の御前湯に400円で入ったら、熱すぎて10分しか入れなかった話


愛知と福岡を車で往復する。これ、文字にするとさらっとしてますけど、距離にして約800km。一般道コースなので、1日400kmがいいとこです。

で、この長距離移動を「ただの苦行」にしないために、道中で見つけた温泉に立ち寄る。これが私の旅のスタイルなんですが——今回は、島根県の山の中で、とんでもない温泉を引き当ててしまいました。

有福温泉。島根県江津市。

正直に言います。行く前は何も知りませんでした。「ルート上に温泉があるっぽいから、寄ってみるか」くらいの気持ち。歴史も、泉質も、評判も、何も調べずに。

で、入ってみたら、熱すぎて10分しか入れなかった。

……でも、その10分で、2時間半の運転疲労が全部消えた。

帰ってきてから調べて知ったんですけど、有福温泉って約1350年前に発見された古湯で、全国温泉総選挙2025の「秘湯/名湯部門」で全国第2位に選ばれてるんですね。

「あの湯、やっぱりそういうレベルだったのか」と、妙に腑に落ちました。

何も知らずに入って、体が先に「これは本物だ」と分かってしまった温泉の話を書きます。


1. 国道9号を右折して、山の中へ

有福温泉は、海沿いの国道9号から山の中に入っていったところにあります。

右折して山道を走ること約15分。正直、最初は「ほんとにこっちで合ってるのか…?」って不安になるくらい、山の中です。周りはひたすら緑。

でも、しばらく走ると、道沿いにドンと現れるんですよ。「有福温泉」と刻まれた大きな石の看板が。

「あ、ここだ」って思った瞬間、なんとも言えない安心感というか、「ちゃんと秘湯にたどり着いた」っていう達成感がありました。8月の昼、夏の日差しがカッと照りつける中で見るその看板は、なかなか存在感がありましたね。


2. 最初の関門:「駐車場、どこ?」問題


温泉街に入ったところで、さっそく壁にぶつかります。
道、狭!
しかも。。

駐車場がわからない。

いや、あるんですよ、駐車場は。複数あるんです。でも、初めてだと「これは旅館の専用駐車場なのか? 一般客も停めていいのか?」が判断できない。ナビは温泉街の入口までは案内してくれるんですが、「ここに停めてください」までは教えてくれない。

8月の昼で、駐車場は8割くらい埋まってました。空いてるスペースを見つけて停めたものの、ここでいいのかしばらくドキドキしてた記憶があります。

これから行く人へのアドバイス:駐車場の場所は事前に調べておいたほうがいいです。 温泉街の入口付近に無料の一般駐車場が複数あるので、「有福温泉 駐車場」で検索して、場所を把握してから行くのが安心。現地で「ここ停めていいのかな…」と迷う時間がもったいないので。


3. 御前湯。400円。

駐車場から温泉街を歩くと、御前湯はすぐ見つかりました。

入り口を入ると、番頭台みたいなところにおばあさんが座っていて、そこにチケットを渡すスタイル。券売機で買って、手渡し。……この感じ、めちゃくちゃ良くないですか? スーパー銭湯のバーコードリーダーとは対極にある、昔ながらの「ここに来たね、ごゆっくり」感。

1階の左手が男子風呂、中2階が女子風呂、2階が休憩スペースという造り。

脱衣所に入ると、思ったより広い。扇風機がブーンと回っていて、8月の熱気を少しだけやわらげてくれます。


4. 「……熱っ」


浴場は広いです。ただ、その広さに対して浴槽が少し小さめなのが印象的でした。形は円形。

お湯は透明で、さらさらとした肌触り。泉質はアルカリ性単純温泉、いわゆる「美人の湯」。源泉かけ流しです。

で、肝心のお湯なんですが。

熱い。

いや、「ちょっと熱めかな」とかじゃなくて、ガチで熱い。源泉温度が47度前後あるらしく、ザブンと入ろうものなら大変なことになります。

コツは、じわっと、ゆっくり体を沈めていくこと。足先からじわじわ、じわじわ……。これでようやくなんとか肩まで浸かれる。

でも、10分が限界でした。

10分浸かって、浴槽の縁に上がる。窓のそばに移動して、外から入ってくる風に当たって体を冷ます。5分くらいクールダウンして、もう一回入る。このループ。

入った時間帯はお昼頃で、中にいたのは私を含めて1〜2人。空いてました。……そりゃそうだよな、この湯温で長湯する人は少ないだろうなと、妙に納得しました。

でもね、この「熱さ」が、逆にすごく良かったんです。

ぬるい温泉で30分ダラダラ浸かるのとは、まったく別の体験。10分間、体の芯まで一気に熱が通って、上がった瞬間にドッと汗が噴き出す。短いけど、密度が濃い。

そして何より驚いたのが、温泉から上がった後の体。

ここに来るまで2時間半くらい運転してたんですよ。腰は固まってるし、肩はバキバキだし、夏の日差しで頭もぼんやりしてた。それが、御前湯から出た瞬間、全部リセットされてた。さっぱりしてるのに、ちゃんと芯に熱が残ってる。疲労が「流された」としか言いようがない感覚。

たった400円で、たった10分で、これ。

「あー、本物の温泉に入ったな」っていう実感が、体の奥からこみ上げてきました。


5. 1350年、山の中に湧き続ける湯


御前湯を出て、少し温泉街を歩いてみました。

坂道と階段。入り組んだ路地。静かで小さな温泉街。8月の昼間で、人はまばら。

さっきも書いた通り、有福温泉が約1350年の歴史を持つ古湯だと知ったのは帰ってからです。でも、温泉街を歩いた時、「ここは長い時間をかけて、このままでいた場所だな」という感覚はありました。

草津とか別府みたいな大規模温泉地とは全然違う。でも、だからこそ良い。観光地化されすぎていない、静かな山あいの湯治場。これが「秘湯」という言葉の本来の意味なんだろうなと思いました。

ちなみに、あとから知ったんですが、有福温泉には御前湯の他にも「さつき湯」「やよい湯」など公衆浴場があって、そちらは御前湯より温度が低めらしいです。

……次に行ったときは、そっちにも入ってみよう。また行く理由ができてしまいました。


これから行く人へ

一つだけ繰り返しますが、駐車場は事前に調べてから行ってください。 ナビは温泉街までは案内してくれますが、駐車場の場所までは教えてくれません。初めてだと「ここは旅館専用? 一般もOK?」と迷います。

あと、御前湯は毎週火曜日が定休日です。せっかく山の中まで走って「閉まってた」は悲しすぎるので、曜日だけは確認してから向かってください。


今回の旅のデータ

・場所:有福温泉 御前湯(島根県江津市有福温泉町710)
・入浴料:大人400円 / 小人200円 / 家族風呂1,200円(60分)
・営業時間:7:00〜22:00(最終受付21:30)
・定休日:毎週火曜日(祝日は営業)
・泉質:アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
・源泉温度:約47℃(源泉かけ流し)
・備品:シャンプー・石鹸あり(料金込)、タオルは販売(300円)
・アクセス:山陰自動車道 浜田東ICから約15分 / 江津西ICから約10分
・駐車場:無料(複数あり。事前に場所を確認推奨)


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今回通ったルートです。阿武町~有福温泉

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