【とんま村の物語】第7話:愛のチャ~リン収集~カモくんと、ちょっとだけまともな一日~
🍃登場どうぶつ紹介とあらすじ
🍃前話:「見守りは命がけ。 ~アリクイ総裁と、あがり症のアルパカ~」
🌻解説:第7話「近代国家の完成 ― 「徴税」が通貨に命を吹き込む」
🐝前話+第7話サマリー
アリクイは「見守り」を名目に中央銀行を名乗り、アルパカの震える(民間)銀行では貸したチャ~リンがどんどん増えていきました。
どうぶつたちはチャ~リン(お金)を追いかけ、村は数字に振り回され始めます。
そんな中、壊れかけた橋を直すため、カモくんが「愛のチャ~リン収集(税金)」を提案します。
①女神のナレーション

「ここ、とんま村では、どうぶつたちは普段、
チャ~リンを競って手に入れることに忙しくしています。
ですが今日、村では少しだけ珍しい出来事が起きています。
……どうやら今日は、ポッケではなく村の橋のためにチャ~リンが動く日のようなのです」
②オープニング実況(イグアナ)

(広場の岩の上で、サングラスのイグアナ)
「……えー、毎度おなじみ、流浪の爬虫類、イグアナでございます。
今日はですね、非常に珍しい光景が観測されております。
……あちらではライオンくんと働きバチくんが、
誰のポッケを狙うでもなく、壊れて今にも崩れそうになっている橋を眺めています。
この村で、自分のポッケではなく橋を見ている。
ええ、かなり珍しいですねぇ。
そして視線のさらにその先には、カモくんの姿があります。
カモくんは、
先月、広場の時計が三秒ずれていることに気づき、その日の夜、村の時計を全部合わせ直した男です。なお、誰も気づいていませんでした。
……では少し近づいてみましょう」
③ネギ型掃除機を担いだカモの登場

広場の中央で、カモが掃除機を肩に担いで立っています。
手にはネギの形をした掃除機のホース。
カモ
「……えー、皆さん。村の橋がだいぶ傷んでいますので、補修作業を行いたいと思います。
つきましてはみんなからチャ~リン(お金)を少しずつ出してもらい、橋の修復に充てたいと思ってます。」
働きバチ
「橋、直すの?」
カモ
「はい。ボロボロですので。」
シマウマ
「それ本当だよ。昨日走ってたら橋の板がグラグラしててさ」
ライオン
「えっ!?じゃあ僕、昨日危なかったの!?」
働きバチ
「橋、僕の憩いスポットなんだよ!壊れたら嫌だから、僕、出すよ!」
シマウマ
「僕も出す。走るとき橋がグラグラするの、ちょっと気になってたんだ」
ライオン
「ぼ、僕も出すよ!……えっと、今これ“出す流れ”だよね?空気、合っているよね!?」
④その名も「愛のチャ~リン収集(税金)」

その様子を、ハシゴの上からアリクイが見ています。
アリクイ
「おーおー!みんなチャ~リン出してるじゃん!」
カモ
(ネギ型の掃除機を軽く叩く)
「みんなのチャ~リン吸引(税金)専用掃除機、
ネギバキューム2000です。」
アリクイ
「おー!いいねぇ!(少し首をかしげて)……ネギバキューム2000?、なんかそれ、空飛べそうな名前だねぇ。」
カモ
「…飛びません。吸引専用です。吸引力自慢です」
アリクイ
「おー、よくわかんないけど、なんかいいねぇ!
(ホースを指さして)いよっ!愛のチャ~リン収集!」
働きバチ
「愛のチャ~リン収集?」
アリクイ
「そうそう!橋も直る!村もきれい!(カモの肩を叩きながら)カモくん、カモンカモンベイビー!」
カモがネギ型の掃除機のスイッチを入れます。
みんなが差し出してくれたチャ~リンが、ネギバキューム2000に吸い込まれていきます。
少しすると、橋の上では新しい板を打つ音が聞こえ始めました。
とんま村では、珍しく静かな午後でした。
突撃インタビュー(イグアナ)

(岩から降りてきて、働きバチにマイクを向ける)
イグアナ
「……あ、ちょっと失礼。今日はですね、
石を奪うのではなく橋を直すために出していますが。……今どんなお気持ちですか?」
働きバチ
「なんか変な感じだよ。いつもはチャ~リンを集めるばっかりだったけど、今日は出してるんだ」
イグアナ
「……なるほど。チャ~リンが自分のポッケではなく橋に向かって動いている。……実に珍しい光景ですねぇ」
エンディング(イグアナ)

(夕方、橋が少し直り始めている)
「……こうして、とんま村では、チャ~リンを“集める(税金)”という新しい習慣が始まりました。
……橋はまだ少し傾いています。
……水路もまだ泥だらけです。
それでも今日は、どうぶつたちが鼻血を出さずに同じ方向を向いて働いています。
……もっとも。明日になればまた、誰かが誰かのポッケを狙い始める可能性もかなり高いのですが。……それではまた次回」
