子どもの問題に見えて、実は『親の状態』で起きていることがある
「発達の相談において、医療が担う役割は何か」
こちらの記事で、不真面目小児科医 しうまい先生はこう仰っている。
診断はゴールではない、
子どもの特性を理解するための道具であると。
そして、医療だけでは完結しない。
この一文に、発達を診る本質が詰まっている。
薬剤師として、私もそう感じる。
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医療だけでは、足りないことがある。
だって発達の問題は、子どもに表れている症状が、本人の中だけで完結するものではないから。
家庭、学校、保育園。
その子が生きている「環境」の中で、困りごとは形を変えて現れる。
実際の臨床でも、こういうケースは珍しくない。
発達特性のように見える行動が、
実は強い不安、苛立ち、環境の影響から来ていることが多い。
「子どもの問題」とされているものの中には、実際にはそうでないケースが少なくないのだ。
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ここで少しだけ、漢方薬学の話をしたい。
漢方には「母子同服」という考え方がある。
母子同服。
子どもの不調に対して、
子どもだけでなく、母親(養育者)も一緒に薬を服用し、母子を同時に整えるという考え方だ。
夜泣きやかんしゃく。
不安定さ、落ち着きのなさ。
それらを「本人の問題」として切り分けるのではなく、「環境、関係性の中で起きている現象」として捉える。
例えば、強い不安を抱えた養育者のもとでは、子どもも落ち着きのなさやかんしゃくとして表出することがある。
その場合、子どもだけにアプローチしても、根本は変わらない。
だから、子供が落ち着かなかったとして、すぐに原因を子供自身の特性と言い切るのは早計だ。
子どもは親(養育者)の影響をモロに受けるのだから。
子どもと、子どもを取り巻く人を、同時に整えることが必要だ。
人の健康も状態も、環境で左右されるのは当たり前のこと。
医学領域をはみ出しているようでいて、極めて本質的な考え方だ。
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小児の診療において、
「落ち着きのなさ」や「かんしゃく」に対して、いきなり強い薬を使うことは慎重になる。
もちろん、必要な場合には適切に使われる。
ただ、
• まだ体も脳も発達途中であること
• 副作用への配慮
• 長期的な影響
そういったものを踏まえると、
強く抑え込むよりも、調和の方向の治療が選ばれる場面は少なくない。
その一つの代表的な手段として『漢方薬』が挙げられる。
全体に作用する穏やかな効能と、
副作用の少ないことが利点とされるのが漢方だ。
漢方薬は、一つの症状を抑えるだけのお薬ではなく、全体を整えるお薬である。
無理に変えるのではなく、少しずつ体全体のバランスを取って不調を治す。
それが漢方薬学の考え方。
このアプローチは、症状だけではなく全体を見るという、子どもの発達治療と似ている部分が多くあるように思う。
小児領域で漢方薬が多く使われる理由は、安全性からだけという訳ではないのかもしれない。
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そしてこの「母子同服」、
実は小児だけのものではない。
「関係性で診る」という視点は、
子どもに限った話ではないからだ。
介護にもこの考え方は応用されることがある。
たとえば被介護者(介護される側)の状態は、
介護者の状態に強く影響を受ける。
介護する側が疲弊していれば、
その空気は確実に伝わる。
逆に、関わる側の状態が安定すると、
驚くほど落ち着くケースもある。
ケアされる側の問題は、ケアする側と切り離せない話になるのだ。
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人は、環境や、他者との関係の中で生きている。
医療は大切だ。
診断も薬も支援も、すべて意味がある。
でも、それだけでは足りないことがある。
人は、単体で存在しているわけではない。
誰かとの関係の中に存在している。
様々な環境が取り巻く中で生きている。
だからこそ、
その人だけを見た治療では、大事なことを見逃すことがある。
全体と個を両方鑑みた上で、診断も薬物療法も行っていくことが、健やかな成長への第一歩。
穏やかな大人の見守りは、目に見える薬ではありません。だけれど、子どもを支える環境として大きな作用しています。
処方箋には載っていないけど、ときに薬よりも強く、子どもに作用する。
その子のありのままを見るというあなたの愛情が、子どもの不安を溶かしていく。
子どもの治療を通して、子どもへの理解を深めてまいりましょう。
いちばんに効く治療は、薬ではなく、関わり方に在るのかもしれません。
より具体的な例や視点に触れたい方は、ぜひしうまい先生の記事も読んでみてください!
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