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余計なことだけ聞こえるのが老人の耳。

義母イノコはいわゆる老人性難聴だ。

89歳という年齢を考えれば自然なことではあるが、耳が聞こえないと認知症のリスクが高まると言われているし、これ以上ボケられても困るので、補聴器を新調しようという話になった。

👱「補聴器はね、実は持っているの。でも数年前に壊れちゃって、だから使ってないの」

👩「完全に壊れちゃったんですか?」

👱「違うの。電池を入れればまだ使えると思うの」

👩「じゃあ電池を入れたらいいじゃないですか」

👱「でもね、なんだか壊れているの。だから使ってないの」

どっちやねん。

👱「それにね、補聴器ってお高いのよ」

👩「いくらくらいするんですか?」

👱「そうね、これだって1つで数十万円はしたわ」

👩「ってことはだいたい20万前後ですね?」

👱「違うの。いろいろあるの」

イノコが「高い」という時は、だいたい半分の値段だと思えば正解というのが我が家のセオリーだ。

👩「ところで、オカーサンが今持ってる補聴器ってどこのですか?」

👱「リオンっていうメーカーのものなの」

👩「へぇ、有名なんですか?」

👱「リオンっていうくらいだから、確かフランスの会社よね」

後で調べたら、リオンはれっきとした日本のメーカーでした。
リオンさん、すみません💦

耳鼻咽喉科の先生に書いてもらった紹介状を手に、2人で補聴器センターへ。

純音聴力検査(音の聞き取り能力検査)と、語音聴力検査(言葉の聞き取り能力検査)をしてもらい、どれくらい聞こえていないのかを具体的な数値で見せてもらった。左はまだいいだが右耳はだいぶ悪く、補聴器をつけても仕方がないらしい。

知ったかぶり星人のイノコは、終始穏やかに「そうだと思います」を繰り返していたが、担当者が席を外した途端「あれはどういう意味?」と聞いてくる。

聴力の問題か、前頭葉の問題か?結局どっちもなんだろうな。

しばらくお試し用補聴器を借りることにして、この日は終了。

イノコに続いてドアを出ようとした私に、担当者が「本当に品のいいお母さまですね」と小声でささやいた。

先に店を出て前を歩いていたイノコが振り返り、なにやら得意げに聞いてきた。

👱「あの担当者の方、『品がいい』とかなんとか言ってなかったかしら?」

👩「え?そうでしたか?よく聞こえませんでした」

ほんと、余計なことだけはよく聞こえる耳だ🤣



★何の根拠もなく「自分、カッケー!」なイノコは、自分が褒められるのが大好き。

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