創作メモ|日常のズレを3点メモすると、小説の種になる理由
種の種類で、咲く花が変わるように、
素材の拾い方で、小説も変わると思っています。
創作に興味のある方だけ、
気楽に読んでいただければ嬉しいです。
僕は平日、仕事をしていて、
趣味で週末、小説を書いています。
時間も経験も限られている中で、
試行錯誤してきました。
その中で、大事だと思っている
「小説の素材をどう拾うか、どうメモしているか」
を書きます。
小説作りのための、プロット作りの本や、
設定の作り方の本はたくさんあります。
でも、
「日常のどこに着目して、どう切り取るか」まで
具体的に扱ったものは、あまり見当たりませんでした。
「当たり前を疑え!」
「常にアンテナを張れ!」
「感性を磨け!」
と言われましても…
別に新しい考え方ではないですが、
自分なりに言語化してみようと思ったのが、
この記事を書いたきっかけです。
僕は普段、
拾ったものを👇のやり方で
整理してから書いています。
少し慣れが必要な方法ですが。
一方で、あまり整理せずに、
実体験とメモが重なって小説に膨らんだ話もあります。
その一つが、👇の小説でした。
飛行機の中で急病人が出たとき、
医者ではあるけれど人間が専門ではない人間が、
それでも立つことを選ぶ小説です。
この小説が生まれたのは、
インドネシア滞在時の経験がきっかけでした。
雑居ビルの小さなエレベーターに
乗ったときのことです。
ボタンの前に、小さな椅子がありました。
そこに人が座っていて、
僕が手を伸ばす前に、ボタンを押してくれました。
その人の仕事は、
「1日中ボタンを押すこと」でした。
そういう仕事は、滞在している間、
何度も見かけました。
日本を思い出すと、
同じことが別の形で起きています。
エレベーターの中で、
次に入ってくる方のため、出る方のため、
「開」のボタンを押し続けている人がいます。
誰も頼んでいないのに、
気づいたら、誰かがやっています。
インドネシアでは、それは仕事でした。
日本では、それは善意です。
同じ行動なのに、意味が変わっている。
これは「①役割のズレ(構造)」です。
役割や立場によって、同じ行動の意味が変わります。
SFを主軸に、社会構造や制度の違いを扱う
小説につなげやすいメモです。
異文化や、職場で特に多く出会うズレです。
その役割を知らずに
インドネシアのエレベーターで、
手を伸ばしたとき、
その方が先に押してくれました。
引っ込めるしかなかった。
ここで戦っても、勝てない相手だった。
自分の当たり前とぶつかった瞬間でした。
このときの違和感を、あとでメモに残しました。
何がズレていたか
→ボタンを押す行為の意味が、
仕事と善意で違ったそのとき何を選んだか
→手を引っ込めた結果どうなったか
→自分の当たり前が通じなかった。
ただ、その場ではそれが正しかった
そのあと、帰国する飛行機の中で。
本を読んでいる最中に、大きく揺れて、
急病人が出たという実体験と、
このメモを重ねたとき、この小説が生まれました。
もう一つ、同じように書いた小説があります。
「そのまま行けよ」という言葉が、
受け取る人間によって全く別の意味になる小説です。
きっかけは、こんな体験でした。
その場が急いでいる中で、
「ゆっくりでいいよ」と言われたことがあります。
ただ、その言葉が本心なのか、
気を使っているだけなのか、
言葉だけでは分かりませんでした。
そのまま受け取って、
じっくり進めることにしました。
あとで分かったのですが、
やっぱり急いで欲しかったみたいです。
難しい……
それ、後出しで不正解になるやつやん。
これは「②認識のズレ(内面)」です。
日常の会話や、
職場、家族間で特に多く出会うズレです。
同じ言葉や行動でも、
受け取る人間によって解釈がズレる。
その差が、
伝えた側と受け取った側の間に食い違いを生みます。
「誰がどう受け取ったのか」を隠せるため、
ミステリーを主軸に、
サスペンスやSFにもつなげやすいメモです。
このときの違和感を、あとでメモに残しました。
何がズレていたか
→言葉の意味が、
伝えた側と受け取った側でズレていたそのとき何を選んだか
→そのまま受け取って、急がないことにした結果どうなったか
→選んだ言葉の意味が違っていた
このメモと、
エピソードを送ってくださった方の記憶、
自分が仙台に住んでいたころの記憶が重なって、
同じズレが起きる場面として 組み直したとき、
この小説になりました。
同じ体験でも、どこにズレを見るかで、
別の小説になると感じています。
漠然と出来事だけ書いても、あとで読み返したとき、
何の話か思い出せないことが多かったです。
普通のメモは、出来事だけで終わることが多いです。
例えば、以下のようなものです。
「駅前合流、うちらの可愛さで空間歪んだ✨」
「今日ビジュ過去一!自撮り100枚草www」
これだけだと、小説にしづらい。
だから僕は、この3点をセットでメモしています。
何がズレていたか
そのとき自分は何を選んだか
結果どうなったか
この3つを分けて書いておくと、
出来事をより客観的に見られて、
自分の選び方も一緒に残るので、
後で読み返したときに書きやすくなります。
もともとは、
僕が異文化と現地パートナーを
理解するために使っていた方法です。
小説づくりにも使えると気づいたのは、後からでした。
また、
「2.そのとき自分は何を選んだか」を書くとき、
選ばなかった方の選択肢も見えてきます。
手を引っ込めた、の反対は、そのまま押すことです。
そのまま受け取った、の反対は、確認することです。
選ばなかった方を選んだら、結果も変わります。
その「別の結果」を書きたくなる。知りたくなる。
それが、小説を書く動機になることがあります。
このメモは、
出来事を「ズレ→選択→結果」で切り分けています。
ズレで状況が立ち上がり、選択で流れが変わる。
短い形でも、起承転結の骨格になります。
やることは、気づいたときに流さないで、
思い出せる形でメモしておくだけです。
素材は、映画やテレビではなく、
日常の実体験から取るようにしています。
自分が実際に迷ったことや、選んだことの方が、
細かい感覚まで思い出せるからです。
自分が選ばなかった方を想像できるのも、
実際に選んだ体験があるからです。
ズレをメモすると、小説になる。
少なくとも、僕はそう感じています。
僕の中では、ズレは4種類あります。
①役割のズレ(構造):役割・立場で意味が変わる
②認識のズレ(内面):見方・解釈がズレる
③関係性のズレ(距離):人との距離で意味が変わる
④時間のズレ(再解釈):後から見ると意味が変わる
実際には、
これらのズレは完全に分かれているわけではありません。
「役割のズレ」が「認識のズレ」を生み、
その結果「関係性のズレ」につながることもあります。
さらに、時間が経ったあとで、
その出来事の意味自体が変わって
見えることもあります。
そういうズレが重なる瞬間に、
人間っぽさが出る気がしています。
今回は①と②を紹介しました。
③と④は付録に載せています。
よければ読んでみてください。
このやり方は、小説だけでなく、
エッセイでも変わらないと思っています。
体験をそのまま書くか、一度整理してから書くか。
それだけで、
意外と残り方が変わる気がしています。
みなさんは、
小説の種をどうやって拾っていますか。
どんなふうにメモしていますか。
差し支えない範囲で教えてもらえると、
僕も参考にしたいです。
読んでくださって、本当にありがとうございます。
付録|ズレの種類③④とメモの例
記事の本文では、
「①役割のズレ(構造)」と
「②認識のズレ(内面)」を
紹介しました。
ここでは、それ以外の2つのズレと、
実際にどうメモしているかを載せます。
「③関係性のズレ(距離)」
恋愛や友人、親子など、
関係が変化するときに多く出会うズレです。
雨の日に、
大切な人と1つの傘に入って
歩いていたときのことです。
気づいたら、
自分の左肩が濡れていました。
傘を、相手側に傾けていたからです。
ひとりで傘をさしているときとは、違いました。
相手がいることで、
同じ「傘をさす」という行動の意味が変わっていました。
何がズレていたか
→相手との関係によって、
自分の行動の意味が変わっていたそのとき何を選んだか
→無意識に、相手側に傘を寄せていた結果どうなったか
→気づいたときには、自分が濡れていた
相手との距離によって、
同じ行動でも意味や重さが変わります。
恋愛を主軸に、
エッセイや人間関係の小説につなげやすいメモです。
「④時間のズレ(再解釈)」
過去を振り返るとき、
年齢を重ねるほど多く出会うズレです。
インド、ベンガルールのホテルで、
同じ日本人の方にお金を貸したことがあります。
同じ国の人だから、
という気持ちがどこかにありました。
異国で日本語を話している人を見ると、
勝手に親戚みたいに感じてしまうんです。
でも、お金は返ってきませんでした。
そのときは、
「同じ日本人でも信用できないことがある」
と判断しました。
その後、ミャンマー滞在時に、
現地でお世話になっている
ミャンマー人の方の家に招いてもらいました。
案内された家は、ヤンゴンの一角にある、
トタン屋根の平屋でした。
外壁は古く、雨風で傷んでいました。
一瞬、躊躇しました。
それでも、上がることにしました。
「日本人が好きだから。
普段お世話になっているから、
いっぱい食べて欲しい」
それだけでした。
あとで振り返ると、
最初に持っていた判断は、どちらも違っていました。
何がズレていたか
→その場での判断が、時間が経つと違って見えたそのとき何を選んだか
→日本人にお金を貸した
→躊躇しながらも現地の方の家に上がった結果どうなったか
→信頼の根拠は、
国籍でも第一印象でも判断できなかった
時間が経つことで、
過去の出来事の見え方や意味が変わります。
エッセイを主軸に、
後から意味が反転する構造として
ミステリー(伏線回収)にもつなげやすいメモです。
以上が、僕が日常でメモしている、
小説の種になりやすいズレの種類③④と例です。
そういえば、このあいだ、種まきをしました😁
小説の種の話を考えていたら、
本物の種もまきたくなりました。
ラベンダー、ひまわり、マリーゴールド、コキア等。



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