【世界はひとつの世界】第一章ウタリ編丨第3話丨ザワつくギルド
数分後…
外からドタドタという音が近づいてくる。
バァン!
と扉が開き左手で何かを掴んでいる男が帰ってきた。
『なぁ!こいつだろ?こいつで合ってるよな?』
4人組の酒の手が止まり、マスターの顔が軽く引きつる。
青年はまるで気にせずぼーっと突っ立っているが、待ちくたびれたのか口が半開きになっていた。
『えっ…えっ…』
『おいおい嘘だろマジかよ…』
男の手には、自身の倍くらいの大きさのある三つ首の狼のような魔物が掴まれていた。
全ての首は折られ既に息絶えているようだ。

スタスタと中へ入っていき、マスターに見えるようにカウンター前の床に乱雑にモンスターを置いて再度尋ねる。
『なぁ、こいつで合ってるよな?』
ハッと我に返ったマスターが慌てて答える。
『あっ…あぁ、ちょっと待て。今確認する。スカウトー!』
マスターに呼ばれた緑髪の青年が奥からやってきた。
『何ですかマスタ…うえっ!?』
床に転がっているモンスターの死体に思わず変な声が出る。
『こいつが本物か見てくれ』
『は…い…。急に動き出して暴れたりしませんよね…?』
『死んでるのは間違いない』
『ひぇ~』
恐る恐るカウンターから出てモンスターに近づき、床に膝をついて両手をモンスターにかざし集中する。

両手が淡い白色の光に包まれ、それがモンスターも包んでいく。
『………種族、動物系……属性、風……ケルベロス、レベル218……。本物の手配モンスターです』
4人組は真っ青になった互いの顔を見つめ合う。
『はっ…ははっ!すげぇなアンタ!一体何者だよ!
城の討伐隊もずっと手こずってたってのによ!』
マスターの顔はぱあっと明るくなった。
その顔は子供の頃から憧れていたスーパーヒーローに出会えたかのようだ。
そんなことは気にもとめず、男は右手を差し出しグイっとマスターに笑顔を近づける。
『んん?』
顔が?マークになったマスターにもう一段グイっと笑顔が近づいてくる。

『あっあぁ、金か。ちょっと待ってろ』
奥に行ったマスターがしばらくして、ずっしり感のある麻袋を持って戻ってきた。

『ほれっ、50万ゴールドだ』
真剣な顔で男の顔を見つめている。
よそ者でも絶対的な強者には尊敬の念が抑えきれないようだ。
『ひゃっほ~う!これで暫く金には困らないな!
よーし、メシでも食いに行こうぜ!』
1000ゴールド硬貨が500枚入った袋を受け取り、いまだにぼけーっと突っ立っている青年に声を掛けるとギルドを出て行った。
声に反応してのそりと動き出した青年は口を閉じて後について出て行った。
『あれが…「賢者」か…。生きてるうちにお目にかかれるとはな…』
呆けた顔でぽつりと呟くマスターとは対照的に、4人組は小さく縮こまっていた。
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