【世界はひとつの世界】第一章ウタリ編丨第2話丨ギルドに現れたよそ者
『おー。こんなとこにあったのか』
大通りから小道に入ってしばらく歩いた住宅街の一角、Guildと書かれた小さい木の看板が掛けられた建物があった。
【ギルド】住民や役人等が困りごと解決の依頼とお金を出し、ハンターと呼ばれる職業の人間が解決し報酬を得る、その仕事の斡旋所である。
役人が依頼するのは主に、近隣に出現し住民に危害を与える危険モンスターを討伐する仕事だ。
「手配モンスター」という形で、モンスターの特徴や目撃場所・懸賞金額が書かれた紙が掲示されていることもある。
それを手配書に書かれた条件の通り討伐すれば報酬が貰える。
大概はモンスターの首を持ち帰る、というものだ。
空になった紙袋をポケットにねじ込みながら男がウエスタンドアを押して中に入っていく。

カウンターにはガタイの良いスキンヘッドのマスターが座り、ジロリとこちらを睨みつけてくる。
部屋の奥に置かれたテーブルに座った4人組も、酒を飲みながら同じように睨んでくる。
男は気にせず声をかける。
『ちーっす。何か仕事ある~?』
『・・・・。よそ者にやるような仕事はねぇよ』
4人組は見下すような目でニヤニヤしている。
『そっかー』
別に驚く様子もなく受け入れる。珍しいことではないようだ。
『おっ、手配モンスターいんの?』
壁に貼られたポスターのような手配書を眺め…1枚に目が留まる。
『おぉっ!50万ゴールド!?これマジ!?』
店内の男たちが顔を見合わせる。
『ぶっ…がはははは』
『なんだ!とんだド素人か!』
『いや、単に頭が悪いだけだろ!』
店内に笑い声が響き渡る中、マスターが渋い顔をして諭すように言う。
『おいお前。懸賞金が高いってことは討伐が難しい、つまり強いってことだ。
そいつは国の討伐隊でもなかなかトドメを刺せず苦労してるヤツだ。
お前なんかじゃ即食い殺されて終わりだ』
『へー。で、このユング山ってどこ?』
マスターは小さくため息をつく。
『がっはっは。馬鹿につける薬はねぇんだとさ』
良いつまみを見つけた4人は上機嫌になって酒をあおり始める。
『教えてやればいい、マスター。どうせすぐションベンぶち撒けながら帰ってくるさ』
ゲハゲハ下品な笑い声にマスターはもう一度小さくため息を吐きしぶしぶ答える。
『町の東の出口を出て道なりに行った先だ』
『おっけー。さんきゅー』
聞くや否や男はドタドタと走って行った。

ずっと死んだ魚の目をしてぼーっと突っ立っていた青年は、変わらず手配書の方を見ていた。
『おい兄ちゃん!あんたは行かなくていいのか?』
『さっきの馬鹿と違って頭がいいから、
怖くて足が動かねぇんだろ。
そっとしといてやれよ。ぐへっぐへっ』
『おい!聞こえてんのかぁ?』
青年は何も起きてないかのように突っ立っている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ミニアニメ版👉こちら(Instagram)
第1話👉こちら 第3話👉こちら
全話⇩
