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【世界はひとつの世界】第一章ウタリ編丨第20話丨イレンカの魔力②


【これまで】

千年前に魔王を倒した8人の賢者の生まれ変わり
陽気な金髪ウタリと無口な黒髪イレンカが
旅をしている。

地下7階溶岩フロアからの地下8階、氷フロア。
寒さに凍えるアッサムとキーモンをよそに
半袖のウタリは、雪に喜ぶ犬のように元気だった。

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次々襲ってくる雪男や雪だるまを
軽快に仕留めていく中、
ウタリはふと疑問に思った。

『こういう奴らからもアイテム作れんの?』

炎龍の角で作った湯たんぽ代わりの棍棒に
足をスリスリしているアッサムが答える。

『できますよ。
 雪男の毛皮からは防具、
 雪だるまからは氷属性アイテムが作れそうです。

 でも時間はかかりますし今は棍棒手放せませんし
 どうせならボスから作りたいとこですね。
 強いモンスターの方が
 より良いアイテムを作れますから』

『なるほどねー』


しばらく進むと奇妙な物が見えた。

ウタリはアッサムにきいてみる。

『なんだアレ?でっかい顔が…吹雪吐いてる?』

『あまり見ないタイプのモンスターですね。
 こいつが発生源ですかね?
 ボスっぽくはないですけど』

『動かないなら
 後ろから殴っちまえばお終いだなぁ』

後ろに回り込もうとするウタリに、
でかい顔はその場でぐるりと向きを変え
吹雪を浴びせかけた。

『うおっ!?そーくるか。
 さすがに直撃は効くなぁ』

とっさに距離をとり、
顔をガードして氷がついた両手を
パッパッとはらう。

大したダメージは無いようだ。

『せっかくだしさっきのアレ、使わせてくれよ』

アッサムから炎龍の牙を受け取ると、
両手で握り締めて闘気を込める。

牙はスーッと消え
ウタリの両手が力強い赤い光に包まれた。

『さっきのお返しだ!』

顔の真正面から飛び掛かると、
左手で吹雪を切り裂き右手で顔面を打ち抜く!

バシュウゥ……

炎属性を帯びたウタリの一撃に
顔は一瞬で蒸発してしまった。

『んっふふー。いいねぇ』

ご満悦のウタリにキーモンが声をかける。

『特に変化ないようですね…』

アッサムも続ける。

『"大元"ではないようですね…』

『ここはボス部屋があるんだろ。探そうぜ』



雪男に雪だるま、でかい顔も混じるようになった
敵の群れはウタリ無双で散っていく。


暫くして…

ひときわ強烈なブリザードが吹き荒れる一角が
目に入った。

『あれだな』

『あれですね。どーします?』

『そりゃ決まってるだろ』

ウタリがイレンカの肩をポンと叩くと、
眉間にしわが寄る。

『触るな。殺すぞ』

『ひええぇっ』

アッサムは恐る恐る
炎龍の瞳をイレンカに手渡した。

しぶしぶ、といった感じで受け取った瞳に
イレンカが魔力を込めると…

湧き出た炎がみるみる巨大な龍の形になっていく。

『うおぉっ。さっきのヤツじゃねーか』

驚く3人に目もくれず、炎の龍を
ブリザードの中心と思われる方へ放った!

ドガガガガッ!!!


轟音の後ブリザードが晴れ渡ると、
そこには壁に開いた大きな穴があった。

下への階段も見える。

『どんなボスだったのかすら分っかんねーな』

残念そうなウタリにアッサムが答える。

『この穴を塞いでいたんですかね?
 穴はさっきのでだいぶ広がっちゃってますけど』

フロアに吹き荒れていた吹雪も収まり、
遠くで様子見していた雪男と雪だるまは
逃げて行った。

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