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Decktetですら遊ばない【Decktetで遊ばない番外編】(2)〜ルノルマンさんが作ってないルノルマンカード

前回の記事はこちら。

タロットカードとオラクルカードを同じ棚に入れない本屋さんの話でした。
微妙に違うんだがそんな話でした。

今回は、前回の最後で予告した――もうタイトルにも入れてしまいましたが――ルノルマンカードを取り上げてみます。


ルノルマンカードはどちらにある?

前回の話を引きずります。
ルノルマンカード――はのちほど説明するとして――は、前回の本屋さんの棚、タロットカードのある「実用占い棚」もしくはオラクルカードのある「人文神秘学棚」、どちらにあるでしょうか?

赤棚がタロットカード
緑棚がオラクルカード

とっとと発表。
「実用占い棚」です。

ルノルマンカードとルノルマンさん

ルノルマンカードのルノルマンとは、実在の人物Marie Anne Adelaide Lenormand(マリー・アン・アデレード・ルノルマン)さんを指します。

Lenormandさんは、1772年生まれで1843年没。
フランス革命からナポレオン1世の時代あたりに、天才占い師として名を馳せていました。
18世後半は、タロットカードに「古代エジプトかっけー」要素が入り始めた時期なのである意味重なっております。

さて、36枚1組で構成されるルノルマンカードはいつ生まれたか。

1850年頃
……って、
Lenormandさん死んだ後かいっっ!

なのですが、実は1843年にも54枚1組で構成される異なるルノルマンカードが生まれています。
なんじゃ、このややこしい話は。

36枚1組のデッキは、現在よく知られているルノルマンカードで、54枚1組のデッキ「グラン・ルノルマン」と区別して「プチ・ルノルマンカード」とも呼ばれます。
グラン・ルノルマンについて調べようと、Wikipediaを「ルノルマンカード」の項目を確認すると、英語版ありませんでした。

ただ、ドイツ語版Wikipediaで「Lenormandkarten」の項目がありました。

グラン・ルノルマンのカードがどのようなものであるかの記述を引用します。

【引用】
Die Kartenbilder des großen Spiels, des „astromythologischen Decks“, zeigen Szenen aus der griechischen Mythologie, Sternbilder, Geomantie, 22 Buchstaben (Kabbala), 7 Talismane, Skatkarten und jeweils eine Blume (Blumensprache).
【翻訳】
大型デッキである「アストロミソロジー・デッキ」のカードには、ギリシャ神話、星座、風水(ジオマンシー)、22の文字(カバラ)、7つの護符、スカートのカード、そして花(花言葉)がそれぞれ1つずつ描かれていました。

引用:https://de.wikipedia.org/wiki/Lenormandkarten

文章だけではイメージ湧きませんよね。
カードみたいですよね。
おめでとうございます、たまたま見つかりました。

1962年以降に出版された復刻版グラン・ルノルマンのデータ資料です。

たとえば、ダイヤのキングを引用。

引用:http://a.trionfi.eu/WWPCM/decks03/d01079/d01079dK.jpg

上をみると左はトランプ(スカート)、中は星座、右は文字。
中央はギリシア神話。
下は中は花ですが……両隣はなんでしょ?

グラン・ルノルマンはこれくらいにしておきます。

『希望のゲーム』

1850年頃に生まれたとされる、プチ・ルノルマンカード。
下は19世紀頃に出版したデッキ1組です。

引用:https://de.wikipedia.org/wiki/Lenormandkarten#/media/Datei:Print,_playing-card_(BM_1896,0501.308_1).jpg
https://de.wikipedia.org/wiki/Lenormandkarten#/media/Datei:Print,_playing-card_(BM_1896,0501.308).jpg

上部にトランプのスートが含まれているので、トランプがルーツ……ではあるのですが、ちょっと間にはさまる話がございます。

1799年にドイツ・ニュルンベルグ出身のJohann Kaspar Hechtel(ヨハン・カスパル・ヘヒテル)さんが考案し発表した『Spiel der Hoffnung(希望のゲーム)』を元にしています。
ちなみに、Hechtelさんは1799年に亡くなりました。

『Spiel der Hoffnung』はどのようなゲームだったかというと、

スゴロクです
……
カードゲームちゃうんかい!

ざっくばらんに遊び方を書くと、
・36枚のカードは6x6に配置して盤面を作る。
・1番のカードからスタートして35番のカードがゴール。
・サイコロを2個を振り目の合計だけ進む。
・特定のカードにはイベントがあり、従う。
です。

もうちょっと詳しい部分は、英語版Wikipedia「Marie Anne Lenormand」の項目に「Lenormand cards(ルノルマンカード)」の章に書かれています。

……って、なんで「ルノルマンカード」を分離しない!って話ですな。


ミンキアーテにコーヒー

とまあ、いろいろ書いてきたわけですが、どうやらこれらの話の元情報がありまして、それが「Tarot History Forum(タロットの歴史フォーラム)」です。

2012年に「German Lenormand 1846 / Spiel der Hoffnung 1799(ドイツのルノルマン 1846年/希望のゲーム1799年)」のトピックが立ち、ルノルマンカードに関する歴史的情報がかわされております。

これまたざっくりと斜め読みをしているのですが、どうも『Spiel der Hoffnung』に関わってきそうな元ネタ?と思われるもの(真偽は検討中です)があります。

Huckさんが投稿した内容を引用します。

【引用】
1. Minchiate had 35 numbered trumps (at least around 1550) plus 5 unnumbered cards.
2. The first reader of the rest of the coffee is given as a man of Florence in late 17th century. In Florence Minchiate had a certain influence, so it wouldn't be a revolutionary conclusion, that the man of Florence might have been influenced by Minchiate.
3. Franco Pratesi found once a cartomancy list in Bologna with 35 symbols (maybe from 1750, but no precise date).
4. I found a German text of 1763, which for the moment is the oldest German cartomancy note (as far I know it)
It reports also about coffee reading, and presents a list with 35 symbols.
5. We found the author of the Spiel der Hoffnung (1799), which was a running game, in which the game table was made by 36 cards. But the 36th card has a special function and it isn't really part of the game. Card 35 is the Hoffnung (hope) and the place, where you can finish the game as the lucky winner.
6. In 1846 appears the "Le Petit Lenormand" as a German divination deck and uses rather precisely the 36 figures of the Spiel der Hoffnung. It becomes very successful in Germany - and still it is in a strong competition to Tarot divination.

【翻訳】
1. ミンキアーテは35枚の番号付きトランプ(少なくとも1550年頃)と5枚の番号なしカードを持っていました。
2. 残りのコーヒーの最初の占い師は、17世紀後半のフィレンツェの人と言われています。フィレンツェではミンキアーテが一定の影響力を持っていたので、フィレンツェの人がミンキアーテの影響を受けたとしても、革命的な結論にはならないでしょう。
3. フランコ・プラテージはかつてボローニャで35個のシンボルが描かれたカード占いのリストを発見しました(おそらく1750年ですが、正確な日付は不明です)。
4. 私は1763年のドイツ語のテキストを見つけました。これは今のところ最古のドイツのカード占いのメモです(私の知る限り)。
コーヒー占いについても報告されており、35個のシンボルのリストが示されています。
5. 私たちは、36枚のカードでゲームテーブルが作られたランニングゲームであるSpiel der Hoffnung(1799)の作者を発見しました。しかし、36枚目のカードには特別な役割があり、実際にはゲームの一部ではありません。35枚目のカードは希望(Hoffnung)であり、幸運な勝者としてゲームを終えることができる場所です。
6. 1846年、ドイツの占いデッキ「ル・プチ・ルノルマン」が登場し、 Spiel der Hoffnungの36の数字をほぼ正確に使用しています。これはドイツで大成功を収め、現在でもタロット占いと熾烈な競争を繰り広げています。

※原文で赤字の箇所を太字に変更しました。

引用:https://forum.tarothistory.com/viewtopic.php?p=12597#p12597

なんかエライこと考えています。

まず、ミンキアーテ(Minchiate)。
これもトランプやタロット同じくゲームに用いる、ひと揃いのカードデッキです。

ミンキアーテはタロットと類似した構成をしてます。
いわゆるタロットの小アルカナ、4つのスートと14のランクの56枚の構成は共通しています。
一方、タロットの大アルカナにあたる切り札ですが、倍近く膨れ上がって40枚あります。
それぞれの切り札はローマ数字でナンバリングしてあるのですが、5枚ナンバリングされてなく、1から35(IからXXXV)までしかありません。

この点にHuckさん注目したわけです。

で、一方コーヒー占い(Coffee Reading)ですが、Tasseography(タセオグラフィー)とかtasseomancy(タセオマンシー)とも呼ばれます。

コーヒーや紅茶などを飲み終えたあとカップに残った沈殿物のさまから、読み取ります。

沈殿物の残り方のパターンを35用意したのは、ミンキアーテの切り札とかけているから、がHuckさんの見立てです。

ところがですね、ミンキアーテ関係無しに発展した分派もありまして。
1796年、イギリスで沈殿物のパターン32種をカードにし、そのデッキを『コーヒーパック』と名付けて発表していたりします。

で、日本でも『コーヒーパック』を元にして、ルノルマンカードも引いてきて『コーヒーカード占い』を発表しております。

なんかよくわからんが
スゴイことになっていることは
たしかかもしらん。


締め

ということで、謎のデッキ、ルノルマンカードについてあれこれ書いてみました。

ちなみに、ルノルマンカードやタロットカードは、「Decktetを入手する」でも紹介したDrive Thru Cardsでも購入できるので、一応情報まで。

次回は、タロットカードやルノルマンカードを使った「占い」のルーツに触れてみます。
このルーツから、とんでもないところに飛び火する予定です。

では。

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