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茨城百景補足資料 映画『米(1957年)』レビュー

茨城百景 歩崎の眺望のおまけで話題に出した映画『米』のDVDを購入し視聴したのでレビューです。今時デーブイデーやぞデーブイデーw(サブスクに無いので泣く泣く購入)
この記事はあくまで茨城百景の補足資料としてこの映画をレビューするものであって真面目な映画のレビューではありません。

DVDディスクとか1億年ぶりに見たよ?

この映画は1957年のモノで茨城百景 歩崎の眺望の地である出島村(現:かすみがうら市)と茨城百景 水の里安中の地である安中村(現:美浦村)でロケが行われています。つまりほぼ茨城百景選定当時と言っていい時代の現地の景色が映像として記録されています。
歩崎の眺望の記事を書いている時に映画の存在を知り、その頃から観よう観ようと思ってたんですがいつもの後回し癖で今になってしまいました。

とりあえず場面場面のロケ地を調査した人がいたのでそれを参照しつつ茨城百景と関係あるシーンを抜粋していきます。

と、思ったんですが軽くレビューします(ADHD特有の衝動性)

映画自体のシナリオはオマケ程度でオチもありません。というか全体的に暗い話で胸糞の悪い終わり方をします。この映画はあくまでその当時の農村の生活、風景を映画にするというのが主目的になっています。
そもそもこの映画自体が1939年のという映画のオマージュというかリメイク版なんですね。この土という映画は同名の小説の映画版で、この小説は農民文学の代表格とされるものなのでその系譜の米も農民の苦労を描く暗い感じになってるってワケです。
そして映画の公開直後の1960年代から日本の農村の生活水準は急速に上がっていくのでこの映画が作られたタイミングは本当に奇跡的なものですね。

えーちなみにセリフの半分は訛りが強すぎて何言ってんだかわかりません。しかしこれも起源のオリジンである土の小説版も同じらしく、わざとかと思われます。
それに加えて画質と音質が悪すぎるのでマジで何言ってるか分かりません。日本語字幕ください。DVDで360pの映像視聴させられるとは思わなかったぞ。

一番感動したシーンは仙吉というヤンチャなお兄ちゃんが祭りの宴会で酔った勢いで「船で沖クルーズすっぺや!卍卍卍」と主人公に言い始めて、周りの人達が「昼に漁船出してる所を監視船に見られたら罰金とられっぺよ」(なんか禁止らしい)と静止するけど結局行くところでしたね。

制止してるシーン

現代の茨城県民とノリが同じなのでこの映画は忠実に現地の茨城県民を再現したようです。

とまぁ映画のレビューはこんな所で肝心の茨城百景関連のシーンを整理していきます。
まず最初はロケ地の調査をした人がおそらくかすみがうら市の柏崎あたりではないかと主張している場所で撮影されたシーンです。ここは茨城百景とは直接の関係はないんですが茨城百景が選定された時代の里山の状況が分かるシーンなのでとりあげます。

該当シーンのキャプチャ

茨城百景の記事では度々、選定当時は時代的に里山に人の手が入っていたから(いわゆる入会地だったため)今よりもっと山がハゲていて見晴が良かったとかなんとか書いてますがそれが実際映像として見れるシーンです。
田舎だと大体1960年代後半あたりまでは里山からの資源に頼る古来からの半自給自足生活が続けられていたようなので茨城百景選定当時と現代では見晴台系の景は大分見た目が違ったわけです。
今の山や丘は鬱蒼とした緑に覆われているのが常で茨城百景の見晴台の景も何も見えなくなってるパターンが非常に多いです。
また昔は山の落ち葉や枝を燃料として採集していたため土の栄養が欠乏し植生も現在と違うので景色も少し異なります。

栄養の少ない土地でも育つ松や低木がまばらに生えていて山中でも動き回りやすいように下草が処理されている状態が基本だったようです。

また、みんな大好きスギ花粉の原因になった杉の木の植林事業は1950~1960年代にかけて行われたので丁度百景選定後から徐々にこういった松や低木が生える絵面が失われていったという感じですね。
選定当時の風景は白黒写真では見た事があったんですがカラー映像で見たのはこの映画で初めて。実際カラー映像で観る方が今まで巡った景の選定当時のイメージが湧きます。

歩崎のシーン

そんで歩崎の景色です。
まずは霞ヶ浦上で行われている歩崎の観音祭の祭事を長禅寺の断崖から見物客が見下ろしているシーン。

映画のキャプチャ

現在同じ場所から同じように見下ろすとこんな感じ。

現在

湖岸が埋め立てられ霞ヶ浦が遠くなっている上に緑が鬱蒼としていて景色が違います。前途の通り植生も変わっていて現在だと松もないですね。
ちなみに現在の写真を撮影したのは境内に設置された展望台からでここだけ草木が刈られています。境内の他の場所はこんな感じで何も見えません。


次は長禅寺の境内を映したシーン。

昔より緑が増えているので映画に映る境内より暗いです。ここまで鬱蒼としてると落ち葉掃除も追っつかないのか地面も落ち葉まみれ。

これは長禅寺の鎮座する丘の麓の道路を映したシーンです。

で、これが現在の同じ場所。湖岸が埋め立てられてますがなんと堤防のコンクリ部分がそのまんま残っています。

現地でここの写真を撮らなかったのでストビューで代用(テキトー)


そして次は霞ヶ浦の象徴的景色とされていた帆引き船が操業しているシーン。

帆引き船は漁船なんですが現在は近代的な船が漁に使われています。なので現在帆引き船は特別な時にしかお目にかかれません。
帆引き船が霞ヶ浦を航行するのは主に現在歩崎で行われるあゆみ祭り(観音祭の後継)のお披露目イベントの時か、観光船として操業している所くらい。あゆみ祭りは年1だし観光船も便数が少ないので今ではレアな光景となっています。
このシーンは本当に美しかったですね~。かなり力が入ってる感じだったのでどうしても映像に残したかったんでしょうね。

安中のシーン

次は安中のシーンです。主人公たちが船で対岸の村の娘たちにちょっかいかけに行くべ!と言って上陸している対岸の村はここ安中なんですね~

主人公と恋仲になる娘の家がある湖岸を映したシーンです。背後に見えている丘は馬掛ですね。

つまり場所的には大山ビーチのあたり。

大山ビーチ

現在は少し湖側を埋め立てて造られた堤防があります。この堤防は霞ヶ浦をグルっと一周して建設されていて浜がある所は現在では極一部となっています。

お次はバス乗り場のシーン。ここが一番変わってて驚いたかな。

場所は鹿島海軍航空隊基地跡(水の里安中の包含風景、大山弁天がある所)の手前あたりらしい。つまり当時の茨城百景巡礼者はここでバスを降りたわけで当時の巡礼者が見た景色というわけです。
そして現在はこんなんです。

キャプチャー画像とほぼ同じ構図。道の先は鹿島海軍航空隊跡方向。

薄汚いソーラーパネル畑で視界がw 国はさっさと相続放棄以外で土地放棄出来るようにしろカスコラ!
このバス停はとっくに廃止されてるみたいなんですが昔のストビューを遡ると十数年前まではバス停跡があったっぽいですね。

2014年のストビュー
ギリギリ心霊写真かもしれない

そして先ほどのシーンの逆方向(鹿島海軍航空隊跡の逆方向。すなわち上り方面)を映したシーンもあります。

上り方面に向かうバス
現在の同じ構図

道は舗装され幅も広くなっていますがこのシーンを観た時すぐどこだか分かってちょっと感動しました。

また最後の葬列のシーンではまだ堤防が無く建屋も少ない頃の大山湖岸の景色もチラ見えしています。

背景は霞ヶ浦方向
現在の同じ構図。ソーラーパネル畑があると参考にならないので無かった頃の昔のストビュー。

水の里安中編ではこのあたりの昔の地図を参照しましたが明治頃の地図にあった畑、水(水田)、松(松林)という表記と一致します。実写版(?)を見るとなんか変な気分。

あと水の里安中の記事で包含風景の『馬掛一斗落』は馬掛の丘の上から見下ろす馬掛一斗落の事を言っているんじゃないかと考察しました。
で↓このシーンは正にその馬掛一斗落を見下ろす景色なのでは?と疑っているシーンです。

左奥に集落が見える

集落、水田、霞ヶ浦の位置的に滅茶苦茶馬掛っぽいんですがどーなのよ。

1960年代の航空写真。赤丸の所かその南あたりの農地?
現在の同地点。田畑は自然に還るかゴルフ場になってしまっている。
いやここだろ絶対

またこのオバハンとヒロインが日常生活を送るシーンの殆どは安中で撮られているのでここも普通に考えたら安中のどこかだと思うんですよね。
しかもオハバンとヒロインの家のロケ地は大山の湖岸で馬掛の丘はそこからすぐ近くなのでますます怪しい。
ま、決定的な証拠も無く例のロケ地調査を行った人も特に言及してないし謎ですね。制作陣も撮影当時のジモピーも全員この世にいないと思われるので永遠に謎です。

総評

この映画は茨城百景選定当時の水郷エリアを映像として記録したモノなので百景巡ラーにはオススメです。バス停のシーンは当時にタイムスリップして大山のバス停に降り立ったみたいな気分になりました。
しかし現代人の娯楽映画としては最悪の部類でそういった目的で観るのはオススメしません。
茨城百景の事をアレコレ調べてて実感するのは日本は70年代を境にインフラや生活様式がガラリと変わっているという事です。原風景的な農村社会の生活を描いたこの映画はお話として見るより当時の農村社会にタイムスリップして生活を覗き見るという気持ちで観る方が正解かもしれません。
茨城百景は1950年の選定で70年代以前のこの世界観を前提としているのでその時代を知りたいと言う人にとっては一見の価値があるかも?

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