
東京証券取引所は6月18日、ヘアケアブランド「ボタニスト(BOTANIST)」などを展開するI-neについて、市場区分変更時の宣誓書違反が認められたとして、再審査に係る猶予期間入りを決定した。また、上場契約違約金3360万円の支払いを求めることも発表した。猶予期間は6月18日から2027年6月18日までの1年間。
今回の背景には、I-neが22年4〜6月期に実施した「リンクフェード(Wrink Fade)」の商標権取得を巡る事案がある。この取り引きでは、取得額18億円の相手先である化粧品会社Right Here(ライトヒア)が、当時I-neの連結子会社または関連当事者に該当していた可能性が指摘されていた。
東証によると、I-neは4月に公表した特別調査委員会の調査報告書で、過去の商標権譲受取引の相手先企業が実質的に関連当事者だった可能性があるとの疑義について調査を実施。その結果、同社の大西洋平社長が取引先企業の設立や運営に深く関与し、個人的な融資も行っていたことなどから、当該企業が関連当事者に該当していたことが明らかになった。さらに、取締役会や監査等委員会、会計監査人に対し、事実と異なる説明が行われていたことも判明した。
プライム市場移行時の宣誓書違反が発覚
加えて、同社が23年9月にプライム市場へ市場区分を変更した際、提出した宣誓書では「提出書類は全て真実である」と誓約していたにもかかわらず、経営陣が問題を認識しながら事実と異なる説明を行い、市場区分変更の承認を受けていたことが確認された。東証は、この状態ではプライム市場への変更審査における「企業経営の健全性」や「コーポレートガバナンス」「内部管理体制の有効性」といった実質基準を満たしていなかったと判断した。
ガバナンス不全や証拠データ削除も問題視
調査では、経営陣のガバナンス意識やコンプライアンス意識の不足、関連当事者取引管理体制の不備、内部通報制度の機能不全など複数の問題点も指摘された。また、疑義発覚後に経営幹部らが証拠となり得る電子データを削除していたことも認定されている。
今後、I-neが猶予期間内にプライム市場の新規上場基準に準じた基準への適合を示し、審査を通過した場合は上場を維持できる。一方で基準を満たせない場合は上場廃止となる可能性がある。また、同期間内にスタンダード市場またはグロース市場への市場区分変更を申請し承認された場合は、当該市場での上場継続が可能となる。
東証は今回の措置について、「市場区分変更審査時の宣誓書違反により、株主および投資家の市場に対する信頼を毀損した」としている。