2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
H 8260:2007
目
次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 種類及び化学成分 ············································································································· 1
5 化学成分の分析試験及び物理的性質の測定 ··········································································· 12
5.1 溶射材料の試験・測定項目······························································································ 12
5.2 試料の採取 ·················································································································· 12
5.3 化学成分の分析試験 ······································································································ 13
5.4 粒度の測定 ·················································································································· 13
5.5 粒子形状の測定 ············································································································ 13
5.6 見掛け密度の測定 ········································································································· 13
5.7 流動性の測定 ··············································································································· 13
5.8 微細構造の測定 ············································································································ 13
5.9 結晶構造の測定・分析 ··································································································· 13
5.10 溶融温度の測定 ··········································································································· 13
6 溶射材料の表示方法 ········································································································· 14
7 出荷状態 ························································································································ 14
8 試験報告書 ····················································································································· 14
附属書A(参考)溶射用粉末材料の粒子形状(SEM像)と製造方法との関係·································· 15
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 19
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本溶射協会(JTSS)及び財団法人日本規格協
会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審
議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
(2)
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日本工業規格
JIS
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溶射用粉末材料
Powders for thermal spraying
序文
この規格は,2000年に第1版として発行されたISO 14232を基に作成した日本工業規格であるが,材料
の成分などの細かい数値が異なるため,部分的に技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,溶射用粉末材料(以下,溶射材料という。)の化学成分及び物理的性質について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14232:2000,Thermal spraying−Powders−Composition and technical supply conditions (MOD)
なお,対応の程度を表す記号 (MOD) は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを
示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS H 8200 溶射用語
JIS Z 2500 粉末や(冶)金用語
JIS Z 2502 金属粉−流動性試験方法
注記 対応国際規格:ISO 4490,Metallic powders−Determination of flow time by means of a calibrated
funnel (Hall flowmeter) (MOD)
JIS Z 2503 粉末や(冶)金用金属粉−試料採取方法
注記 対応国際規格:ISO 3954,Powders for powder metallurgical purposes−Sampling (IDT)
JIS Z 2504 金属粉−見掛密度試験方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 2503,JIS Z 2500及びJIS H 8200による。
4
種類及び化学成分
溶射材料の種類及び化学成分は,次による。
a) 金属粉末 金属粉末の種類は,コード番号及び記号によって,表1のように区分する。
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2
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なお,これらの金属の化学成分は,5.3によって分析し,表1の値を満足しなければならない。
表1−金属粉末
種類の区分
コード
番号
記号
化学成分
%(質量分率)
主成分
Ti: 99以上
0.3以下
0.3以下
0.3以下
0.1以下
Nb: 99以上
0.3以下
0.3以下
0.3以下
0.1以下
Ta: 99以上
0.3以下
0.3以下
0.3以下
0.1以下
Cr: 98.5以上
0.8以下
0.1以下
0.1以下
0.5以下
Mo: 99以上
0.3以下
0.15以下
0.1以下
W: 99以上
0.3以下
0.15以下
0.1以下
0.3以下
Ni: 99.3以上
0.5以下
0.1以下
0.1以下
Cu: 99以上
Al: 99以上
0.5以下
Si: 99以上
b) 各種の合金粉末 各種の合金粉末及びそれを混合した粉末の種類は,コード番号及び記号によって,
表2〜表10のように区分する。
なお,これらの粉末の化学成分は,5.3によって分析し,表2〜表10の値を満足しなければならな
い。
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3
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表2−自溶合金粉末及びそれを混合した粉末
種類の区分
化学成分
%(質量分率)
コード
記号
その他
以下
残部
以下
0.5以下
以下
残部
1以下
10以下
4以下
以下
残部
以下
0.5以下
以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
以下
以下
以下
0.5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
1以下
10以下
4以下
4以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
以下
0.5以下
残部
1以下
4以下
残部
0.6以下
残部
1以下
5以下
残部
0.5以下
残部
1以下
5以下
残部
0.5以下
残部
1以下
4以下
4以下
5以下
残部
0.5以下
残部
1以下
4以下
4以下
5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
1以下
5以下
残部
0.5以下
残部
番号
以下
以下
以下
以下
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4
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表2−自溶合金粉末及びそれを混合した粉末(続き)
種類の区分
化学成分
%(質量分率)
コード
番号
記号
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
その他
残部
0.5以下
残部
残部
以下
0.5以下
残部
残部
0.5以下
残部
以下
以下
以下
0.5以下
残部
以下
残部
10以下
7以下
5以下
残部
以下
0.5以下
残部
8以下
5以下
残部
以下
0.5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
以下
以下
以下
以下
16以下
残部
5以下
残部
以下
注a) 2.15には,混合粉末材料もある。
b) 自溶合金とWCとの混合粉末である。
残部
残部
残部
残部
残部
残部
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表3−ニッケル−クロム合金粉末及び鉄−クロム合金粉末
区分
化学成分
%(質量分率)
コード
記号
残部
1以下
以下
以下
残部
残部
1以下
残部
16〜18 6以下
以下
以下
残部
以下
以下
以下
残部
残部
残部
以下
以下
残部
残部
以下
以下
残部
2以下 1以下
8〜10 1以下
以下
番号
残部
残部
残部
以下
残部
残部
注a) メカニカルアロイ法で作製したものである。
その他
以下
以下
以下
以下 Nb:3〜4
以下
以下
以下
以下
以下
以下
残部
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表4−MCrAlY合金粉末
種類の区分
化学成分
%(質量分率)
コード
記号
その他
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
0.3〜0.7 0.02以下
番号
注記 MCrAlYのMは,Ni,Co,NiCo又はFeを表す。
表5−ニッケル−アルミニウム−鉄合金粉末及びそれを混合した粉末
種類の区分
コード
番号
記号
化学成分
%(質量分率)
残部
1以下
0.5以下
残部
1以下
0.5以下
1以下
0.25以下
残部
1以下
0.5以下
1以下
0.25以下
残部
1以下
0.5以下
残部
1以下
0.5以下
残部
残部
注記 上記材料は,混合法だけでなく合金法,クラッド法,メカニカルアロイ法などで作製され
る。
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表6−高合金鋼粉末
化学成分
%(質量分率)
種類の区分
コード
記号
番号
残部
残部
1以下
1以下
残部
1以下
2以下
残部
1以下
2以下
残部
1以下
2以下
残部
1以下
2以下
残部
1以下
2以下
残部
1以下
2以下
残部
残部
1以下
2以下
残部
以下
2以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
その他
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8
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表7−コバルト−クロム合金粉末
種類の区分
コード
化学成分
%(質量分率)
記号
以下
番号
その他
残部
以下
以下
残部
以下
以下
残部
以下
残部
以下
以下
以下
以下
以下
残部
以下
以下
1以下
以下
残部
1以下
以下
残部
以下
残部
以下
以下
以下
表8−銅−アルミニウム合金粉末
種類の区分
コード
番号
化学成分
%(質量分率)
記号
その他
残部
残部
1以下
残部
残部
0.4以下
残部
残部
1以下
表9−アルミニウム合金粉末
種類の区分
化学成分
%(質量分率)
コード番号
記号
残部
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表10−ニッケル・グラファイト混合粉末
種類の区分
化学成分
%(質量分率)
コード
番号
記号
グラファイト
0.5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
0.5以下
残部
c) 炭化物粉末及び炭化物サーメット粉末 炭化物粉末及び炭化物サーメット粉末の種類は,コード番号
及び記号によって,表11のように区分する。
なお,これらの炭化物粉末及び炭化物サーメット粉末の化学成分は,5.3によって分析し,表11の
値を満足しなければならない。
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10
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表11−炭化物粉末及び炭化物サーメット粉末
種類の区分
コード
番号
記号
化学成分
%(質量分率)
79.5以上
残部
残部
残部
86以上
12.5以上
0.7以下
0.1以下
残部
5.2以上
残部
残部
残部
残部
残部
4.8以上
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
残部
注a) この粉末材料は,他の粉末と混合して使用する。
d) 酸化物粉末及びりん酸塩粉末 酸化物粉末及びりん酸塩粉末の種類は,コード番号及び記号によって,
表12のように区分する。
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なお,これら酸化物粉末及びりん酸塩粉末の化学成分は,5.3によって分析し,表12の値を満足し
なければならない。
表12−酸化物粉末及びりん酸塩粉末
種類の区分
コード
記号
番号
化学成分
%(質量分率)
以上
以上
0.1以下
0.1以下
0.1以下
0.1以下
1.0以下
1.0以下
1.0以下
1.0以下
96以上
94以上
94以上
1.5以上
1.0以下
1.0以下
残部
0.5以下
1.0以下
残部
0.5以下
1.5以下
0.5以下
1.5以下
残部
残部
残部
残部
以上
0.2以下
0.1以下
0.3以下
残部
0.1以下
0.2以下
残部
0.1以下
0.2以下
0.1以下
以下
以上
以上
1.0以下
96以上
1.0以下
1.0以下
0.5以下
3.0以下
以上
残部
0.5以下
0.5以下
残部
0.5以下
0.5以下
残部
0.5以下
99以上
0.5以下
0.5以下
98以上
0.5以下
0.5以下
0.4以下
0.4以下
0.5以下
残部
0.5以下
90以上
0.5以下
残部
0.4以下
0.5以下
残部
残部
1.5以下
1.5以下
73以上
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12
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表12−酸化物粉末及びりん酸塩粉末(続き)
種類の区分
コード
番号
化学成分
%(質量分率)
記号
0.2以下
0.5以下
0.2以下
0.5以下
0.2以下
0.3以下
残部
0.2以下
0.3以下
残部
85以上
残部
0.2以下
0.5以下
0.3以下
残部
0.3以下
残部
98以上
95以上 a),b)
注a) H-Aは,Hydroxylapatiteの略語である。
b) その他の不純物は,As:0.000 3 以下,Cd:0.000 5 以下,Hg:0.000 5 以下及びPb:0.003 以下とし,As,
Cd,Hg及びPb以外のその他不純物の合計:0.1以下とする。
5
化学成分の分析試験及び物理的性質の測定
5.1
溶射材料の試験・測定項目
溶射材料の試験・測定項目は,表13による。
なお,表中の○印は最重要特性であり,必ず試験又は測定を行わなければならない項目,△印は,重要
特性で,測定することが望ましい。□印の項目は補足特性で,受渡当事者間の協定によって測定を行う項
目,−印は,参考特性で,測定を行わなくてもよい項目を示す。
表13−溶射材料の試験・測定項目
粉末の分類
化学成分
粒度
粒子形状
見掛け
密度
流動性
微細構造
結晶構造
溶融温度
金属
合金
炭化物
炭化物サーメット
酸化物
りん酸塩
注a) 高速フレーム溶射の場合は,○印とする。
b) フレーム溶射(高速フレーム溶射を除く。)の場合は,○印とする。
c) プラズマ溶射及び高速フレーム溶射の場合は,△印とする。
d) 自溶合金粉末及びそれを混合した粉末にだけ適用する。ただし,フレーム溶射(高速フレーム溶射を除く。)
の場合は,○印とする。
5.2
試料の採取
試料の採取は,JIS Z 2503によるものとし,溶射材料を均一に混合して,粒径にむらのない箇所から採
取する。各特性項目ごとの試料採取手順,試料抜取器などの装置は,受渡当事者間の協定による。
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5.3
化学成分の分析試験
化学成分の分析試験は,次による。
a) 化学成分の分析方法は,受渡当事者間の協定による。
b) a)の分析結果は,箇条4の規定に適合しなければならない。
5.4
粒度の測定
粒度の測定は,次による。
a) 試験試料の粒度分布を測定し,上限粒度及び下限粒度を求め,溶射材料の粒度範囲とする。
b) 上限粒度は,試験試料を分級し,ある大きさを超える分級物の質量と全試験試料の質量との割合は,
受渡当事者間の協定による。
c) 下限粒度は,試験試料を分級し,ある大きさに満たない分級物の質量と全試験試料の質量との割合は,
受渡当事者間の協定による。
d) 粒度分布の測定方法は,測定する溶射材料に適した方法とし,受渡当事者間の協定による。
注記1 粒度分布の測定方法には,ふるい法,X線吸収法,レーザビーム散乱法などがあるが,ふ
るい法は30 μm以下の粉末の測定には適さない。30 μm以下の粉末の測定には,X線吸収
法及びレーザビーム散乱法が高分解能,高い再現性及び短時間の測定が可能である。
注記2 粒度分布の測定結果は,測定法に依存する。例えば,造粒粉を液体に分散して測定する場
合には,結合材の溶解度が結果に影響を与える。したがって,粉末の性状に適した測定法
の選択が重要である。
5.5
粒子形状の測定
粒子形状及び表面性状は,走査電子顕微鏡又は実体顕微鏡で測定し,画像化する。この画像から粒子形
状及び表面性状を分析する。走査電子顕微鏡又は実体顕微鏡の画像は,製造業者から提供された参照用画
像と比較してもよい。溶射材料の粒子形状と製造方法との関係の例を参考として,附属書Aに示す。
5.6
見掛け密度の測定
試料の見掛け密度の測定は,JIS Z 2504による。
5.7
流動性の測定
試料の流動性の測定は,JIS Z 2502による。
5.8
微細構造の測定
粉末粒子の微細構造の測定は,粉末を樹脂に埋め,金属顕微鏡観察用に作成した観察用試料の断面を金
属顕微鏡で観察することによって行う。観察用試料の作製方法は,受渡当事者間の協定による。
5.9
結晶構造の測定・分析
結晶構造の測定・分析は,試料の化学成分が異なる複数の相から構成される複合粉末である場合又は試
料のそれぞれの粉末粒子が結晶構造の異なる複数の相から構成されている場合は,各相の種類,量,形状,
配置,化学成分及び大きさ(粒状組織の場合は粒径,層状組織の場合は層の幅など。)をX線構造解析,
電子線マイクロプローブ分析及び/又は金属顕微鏡写真の定量的画像解析によって行う。
5.10 溶融温度の測定
自溶合金粉末及びそれを混合した溶射材料は,自溶合金溶射のフュージング温度を設定するための溶融
温度の情報を,使用者に提供することが望ましい。
注記 自溶合金溶射のフュージングは,通常,固相液相共存状態で行うため,自溶合金粉末材料の固
相線温度(擬三元共晶晶出温度),液相線温度(初晶晶出開始温度)及び中間相晶出温度が有用
な情報である。これらの晶出温度は,JIS K 0129に示す示差熱分析(DTA)又は示差走査熱量
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測定(DSC)で測定することができる。その測定値を参考にして適切なフュージング温度を求
めることができる。
6
溶射材料の表示方法
溶射材料には,適切な方法によって,種類のコード番号,種類の記号及び粒度範囲をこの順に“-”で区
切って表示する。粒度範囲は,粒径の上限値と下限値との間を“/”で区切って書き表す。
なお,溶射材料の製造方法にかかわる重要な情報(溶融粉砕粉末,焼結粉砕粉末,結合粉末,凝固粉末
及び噴霧粉末)を,粒度範囲の後に表示してもよい。
例 11.12-WC/Co 88 12-45/5-焼結粉砕粉末
この例は,タングステンカーバイド・コバルトの焼結粉砕粉末で,コード番号11.12(約12 %
のコバルト,約5 %のカーボンを含む。),粒度範囲の上限が45 μm,下限が5 μmの溶射材料の
場合の表示である。
7
出荷状態
溶射材料は乾燥した状態とし,“異物”を含んでいてはならない。また,壊れにくい防湿容器に密封し,
出荷しなければならない。ただし,例えば,フランジの付いた真空容器など,特別な容器を利用する場合
は,受渡当事者間の協定による。
なお,容器には,“使用前に十分混合すること”及び“粉末の取扱いは定められた安全規程に従うこと”
を明記したラベルをはり付けなければならない。
8
試験報告書
溶射材料の製造業者及び供給業者は,製造ロットごとに試験報告書を,溶射材料に添付しなければなら
ない。
なお,試験報告書には,化学成分及び物理的性質の試験結果に加え,粒度分布の測定方法,製造業者の
略号,製造ロット番号などを記載する。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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H 8260:2007
附属書A
(参考)
溶射用粉末材料の粒子形状(SEM像)と製造方法との関係
序文
この附属書は,溶射用粉末材料の粒子形状(SEM像写真)と製造方法との関係について記載するもので,
規定の一部ではない。
A.1 塊状粒子形状
図A.1−Cr2O3溶融粉砕粉末
図A.2−Cr2O3焼結粉砕粉末
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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H 8260:2007
A.2 不定形粒子形状
図A.3−NiAl水アトマイズ粉末
A.3 球状粒子形状
図A.4−NiAlガスアトマイズ粉末
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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H 8260:2007
図A.5−WC/Co造粒焼結粉末
A.4 コーティング粉末
注記 粒子形状は,しん(芯)の材料形状による。この写真は球状。
図A.6−NiAl多孔質コーティング粉末
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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H 8260:2007
注記 粒子形状は,しん(芯)の材料の形状による。この写真は塊状。
図A.7−Niグラファイト高密度コーティング粉末
参考文献 JIS K 0129 熱分析通則
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS H 8260:2007 溶射用粉末材料
(Ⅰ)JISの規定
箇条番号
及び名称
内容
3用語及
び定義
この規格で用いる
主な用語の定義を
規定。
4種類及
び化学成
分
表1〜表12に溶射材
料の種類をコード
番号及び記号によ
って区分し,化学成
分を規定。
国際規格
番号
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅲ)国際規格の規定
箇条番号
内容
表2〜12
箇条ごと
の評価
追加
追加
変更
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
技術的差異の内容
分かりやすくするためにJISの
用語規格を追加した。
ISO規格にない材料を追加。材 ISOへ追加提案する。
料のコード番号にAを付加し,
記号は,末尾にAを付加。
3.12,3.13,3.14,4.9は一部の成 ISO規格の誤植を修正した。ISO
分範囲を変更。
へ修正提案する。
5化学成
分の分析
試験及び
物理的性
質の測定
有機材料
削除
JISは有機材料について検討中で
あり,規定から削除した。
JISとほぼ同じ
ISO規格は,溶射材料
及び溶射方法に対する
試験項目の重要度を記
述している。
変更
ISO規格は,組合せでの適用が
不明確であるため,JISは,溶
射材料に対する試験項目の重
要度だけの表とし,注によって
溶射方法に対する試験項目の
重要度を補足した。
実質的な差異はない。
5.1溶射材料の試
験・測定項目
溶射材料の分類ご
とに,化学成分及び
物理的性質の試験
項目の重要度を規
定。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅲ)国際規格の規定
箇条番号
及び名称
内容
5化学成
分の分析
試験及び
物理的性
質の測定
(続き)
5.4粒度の測定
粒度範囲の測定方
法は,測定する溶射
材料に適した方法
(受渡当事者間の
協定)と規定。
ISO 3310-1によって測
定し,上下限割合を規
定。
変更
ISO規格の測定方法は具体的で
なく,測定値に誤差を生じやす
い。
5.6見掛け密度の測
定
見掛け密度の測定
は,JIS Z 2504(ISO
3923-1に対応)によ
る。
ISO 3923-2による。
変更
JISは,測定精度のよいJIS法
(JIS Z 2504)を引用した。
追加
5.10 溶融温度の測
定
自溶合金粉末及び
それを混合した溶
射材料の溶融温度
の提供を推奨。
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14232:2000:MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ·················· 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ·················· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ·················· 国際規格にない規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD·················· 国際規格を修正している。
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
技術的差異の内容
ISOへJIS法を提案する。
国際規格
番号
(Ⅰ)JISの規定