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【第二弾】ABC理論:介護の現場でどう使う?ストレスを軽くする実践ステップ



第1弾では、ABC理論の基本として、「私たちの感情は、出来事そのものではなく、その出来事をどう受け止めたかによって大きく変わる」という考え方を整理しました。


では実際に、介護の現場ではこのABC理論をどう使えばいいのでしょうか。

理屈としてはわかっても、いざ現場では、
「そんなふうに冷静に考えられない」
「イライラした後に後悔してしまう」
「結局、自分を責めてしまう」
そんなことも多いと思います。

介護や支援の場面では、相手の体調、認知機能、生活歴、家族関係、その日の雰囲気など、さまざまな要素が重なります。

そのため、思い通りにいかないのが当たり前です。
それでも、ABC理論を“知識”ではなく“使える形”に変えていくと、心の消耗を少しずつ減らしていくことができます。

今回は、介護の現場で起こりやすい場面をもとに、ABC理論をどう活用するかを具体的に見ていきます。



なぜ介護の現場では気持ちが乱れやすいのか


介護の現場では、出来事そのものが大変なのはもちろんですが、そこに感情が絡むことでしんどさが大きくなります。

たとえば、
・拒否される
・怒られる
・思うように進まない
・何度説明しても伝わらない
・家族に責められる
・頑張っても感謝されない

こうした出来事が続くと、ただ忙しいだけではなく、

「自分の関わり方が悪いのでは」
「もっとちゃんとしないといけない」
「こんなことで疲れている自分はダメだ」
という思考が重なってきます。

つまり、介護ストレスは単なる作業負担だけではなく、受け止め方の負担が積み重なって強くなるのです。
ABC理論は、この“見えにくい心の負担”を整理するために役立ちます。



介護で起こりやすいABCのパターン


ここでは、介護の場面で起こりやすい例を見てみます。

【例1 入浴を拒否されたとき】


A:本人が入浴を拒否した

B:
「私の声かけが悪いからだ」
「ちゃんと説得できない私はダメだ」
「介護している以上、入ってもらわなければいけない」

C:
落ち込む
イライラする
無力感が強くなる
本人にきつい言い方をしてしまう

このときBを少し変えてみると、
B:
「今日は気分が乗らないだけかもしれない」
「入浴拒否はよくあることで、私の価値とは別の話だ」
「今日は清拭や時間変更でもいいかもしれない」

するとCも変わります。

C:
気持ちが少し落ち着く
別の方法を考えやすくなる
必要以上に自分を責めずに済む

【例2 介護が予定どおりに進まないとき】


A:食事の準備が遅れて、予定通りに進まなかった

B:
「私は段取りが悪い」
「もっと手際よくできるはずだ」
「ちゃんとできないのは怠けているからだ」

C:
自己嫌悪
焦り
疲労感の増加
余計にミスが増える
でも、こんなBもあります。

B:
「予定通りにいかない日があるのは自然なこと」
「介護は相手の状況で流れが変わる」
「完璧に回すことより、全体を崩さずに進める方が大事」

すると、結果も少し違ってきます。

C:
自分を追い込みすぎなくなる
優先順位を立て直しやすくなる
気持ちを切り替えやすくなる

ここで大切なのは、出来事を美化することではなく、思考を少し現実的にすることです。

ABC理論を現場で使う3ステップ


では実際に、介護の現場でABC理論を使うにはどうすればよいのでしょうか。
おすすめは、次の3ステップです。

【ステップ1 Aを具体的にする】


まずは、何が起きたのかをできるだけ事実として整理します。

たとえば、
「母が怒った」
ではなく、
「食事の声かけをしたら、母が『いらない』と言って皿を押しのけた」のように書いてみます。

事実を具体的にすると、気持ちと出来事を少し分けて見やすくなります。

【ステップ2 Bを言葉にする】


次に、その出来事を見て自分が何を考えたかを見つけます。

たとえば、
「私の対応が悪かった」
「また失敗した」
「ちゃんとできない自分はダメだ」

こうした考えは、頭の中で一瞬で流れていくので、普段はなかなか気づきません。

でも、感情が大きく動いたときほど、このBが強く働いています。

【ステップ3 別の見方を探す】


最後に、今の考え方だけが唯一の答えなのかを見直します。

たとえば、
「本人の体調や気分も影響しているかもしれない」
「今日はうまくいかなかっただけで、全部がダメなわけではない」
「完璧ではなくても、できていることはある」

この“別の見方”を探すことで、感情の強さが少し和らぎます。



日常で使いやすくするコツ


ABC理論は、毎回ノートを広げて丁寧に分析しなくても使えます。

むしろ、忙しい介護の現場では、短く・ざっくり使える形にしておく方が続きます。

たとえば、こんな問いかけだけでも十分です。

「今、何が起きた?」
「私は今、何を思った?」
「その考え方だけが本当に正しい?」

この3つを心の中で確認するだけでも、感情に飲み込まれにくくなります。

また、あとから振り返るだけでも意味があります。

その場ではイライラしてしまっても、「なんであんなに苦しくなったんやろう」と後で見直すことが、次の場面に活きてきます。

ABC理論は、“完璧に使うもの”ではなく、少しずつ自分の思考のクセに気づいていくための道具です。



忙しい介護者のための考え方の整え方


ここでは、日常で役立つヒントを3つ紹介します。

【1 “~すべき”を少し緩める】


介護をしている人ほど、責任感が強く、
「ちゃんとしなければ」
「怒ってはいけない」
「支える側なんだから弱音を吐いてはいけない」
と考えがちです。

でも、この“~すべき”が強すぎると、自分を苦しめやすくなります。

「できる範囲でやればいい」
「今日はしんどい日もある」
「感情が動くのは自然なこと」

こんな言葉に置き換えるだけでも、心は少しラクになります。

【2 友人にかける言葉を、自分にも向けてみる】


もし親しい友人が同じことで悩んでいたら、「全部あなたのせいだね」とは言わないはずです。

たぶん、
「それは大変やったね」
「頑張ってるやん」
「相手の状態もあるし、仕方ない部分もあるよ」

そんな言葉をかけるのではないでしょうか。
そのやさしさを、自分にも少し向けてみる。
これは思った以上に大事です。

【3 うまくいったことも記録する】


私たちは、うまくいかなかったことばかり覚えやすいものです。

でも実際には、
・今日は少し穏やかに声をかけられた
・無理に押し切らずに済んだ
・相手が一瞬でも笑顔を見せてくれた
そんな小さな“できた”もあります。

それを記録しておくと、Bの柔らかさが育ちやすくなります。



ABC理論がもたらす変化


ABC理論を使うようになると、出来事に対する反応が少しずつ変わってきます。

たとえば、以前なら「また拒否された。私は本当にダメだ」と強く落ち込んでいた場面で、

「今日は拒否が強い日なんやな」
「私のせいだけではないかもしれない」
「別の方法を考えてみよう」
と、少し距離を取って考えられるようになります。

すると、
・必要以上に自分を責めなくなる
・相手への怒りが少し和らぐ
・切り替えが早くなる
・次の対応を考える余裕ができる
こんな変化が起こりやすくなります。

ABC理論は、介護を一気にラクにする魔法ではありません。
でも、心が削られ続ける状態を和らげるための実践的な道具にはなります。

まとめ:介護の現場でABC理論を使うということ


第1弾では、「出来事と感情の間には、受け止め方がある」というABC理論の基本を紹介しました。
そして今回の第2弾では、その考え方を介護の現場でどう使うかを見てきました。

介護では、思い通りにならないことが日常的に起こります。
だからこそ、出来事をゼロにすることよりも、自分の受け止め方を少し整えることが大切になります。

Aは変えにくくても、Bは見直せる。
Bが変わると、Cも少し変わる。

この積み重ねは、介護を続けるための大きな支えになります。
まずは、今日しんどかった場面をひとつだけ振り返ってみてください。

そして、そのとき頭の中でどんな言葉が浮かんでいたかを見つけてみてください。
そこから、実践としてのABC理論が始まります。


あとがき


ABC理論は、知識として知るだけでも意味がありますが、本当に役立つのは「自分の場面に当てはめたとき」やと思います。
介護も支援も、相手がいるからこそ思い通りにはいきません。
だからこそ、自分の心を整える視点はとても大事です。

次回はさらに、感情そのものとどう向き合うかという視点か、ABC理論を深めていく予定です。

よければ第一弾もあわせて読んでみてください。
→【https://note.com/39kaigo/n/ndec641e52fbb


「実際にどう使えばいいのか」をもっと深く知りたい方へ

この記事では、ABC理論を介護や支援の現場でどう使うかを整理してきました。

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