機会損失と空腹との戦い💥|半額チキンを追いかけたクリスマス🍗
食べ物の恨みは恐ろしい。
クリスマスといえば、世間では恋人、イルミネーション、プレゼントなどを思い浮かべるのだろうが、私にとっての主役は半額チキンである。
ロマンより値引き。聖なる夜より割引シール。実に現実的なクリスマスである。
その日は昼のうちにイオンで下見まで済ませていた。狙いのチキンもケーキも確認済み。あとは夜になって割引シールが貼られる瞬間を待つだけだった。
ところが十九時、いざ出陣と玄関を開けると、雨が降っていた。
車で行くか。いや、もし何もなかったらガソリン代も時間も無駄になる。カッパを着て自転車で行くほどの情熱もない。聖夜の戦場へ向かう前に、静かに敗北を受け入れた。
仕方なく、徒歩で行ける駅前のスーパーへ向かった。閉店までまだ二時間以上ある。ところが惣菜コーナーには、割引シールどころかチキンそのものがなかった。
空っぽの棚を前に、私はしばらく立ち尽くした。売れ残りを避けたのか、人件費削減なのか、AIの読み違いなのか。
知らん。分かるのは、今ここにチキンがないという現実だけである。

食べ物の恨みは恐ろしい。
心の中で「二度と来るか」とつぶやき、向かいのスーパーへ向かった。そこには普通にチキンが並んでいた。客も多く、棚もにぎやかだった。ただし割引はされていない。半額でなければ、こちらにも用はない。
帰り道、吉野家のポスターが目に入った。

チキンレッグ三百九十八円。さっきのスーパーより百円安い。気づけばタッチパネルを押していた。
チキンレッグ
から揚げ
牛丼
合計千五百三十九円。
半額チキンを求めたはずが、立派な夕食代になっていた。それでも後悔はなかった。
車は出さなかった。
無駄足も最小限で済んだ。
腹も満たされた。
半額には負けたが、機嫌は守ったのである。
クリスマスの奇跡とは、イルミネーションの中にあるのではない。雨の夜、半額チキンを逃した男が、吉野家のから揚げで納得するところにある。
悪いのは、夜になって降ってきた雨だ。

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🌀 シリーズ序章:ADHD?いや、ただのナマケモノかもしれん🦥
