銀河フェニックス物語 <会社員編> 起業家の夢は宇宙に輝く(4)
スチュワートの前でレイターとコルバは再会を喜んでいた。
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・起業家の夢は宇宙に輝く(1)(2)(3)
「お前たち知り合いなのか?」
コルバが答える。
「はい。オーナー、彼を連れて来るとは流石です。彼に僕のパイロットの座をお渡します」

それを聞いたレイターがコルバの頭を小突いて言った。
「あんた、相変わらずバカだな。俺は今、クロノスの社員だぜ」
「えっ?」
コルバが驚いて固まる。コルバは二十代半ばだが、どう見ても十代のレイターの方が落ち着いている。
「別に、スパイって訳じゃねぇから。あんたん所から盗むものなんて何もねぇし」
随分と口が悪いが、こいつの言うことは正しい。うちの工夫とアイデアは大企業のクロノスでは必要ない。
「スチュワートさん、レイターと僕は連邦軍で一緒に戦闘機を飛ばしていたんです。彼は僕の隊のエースパイロットでした。とにかくすごいんです。銀河一の操縦士なんです」
「戦闘機乗りだったのか」
S1機が操れるはずだ。コルバが興奮して訴える横で俺はこの若者の年齢を計算していた。コルバが軍を辞めたのは三年前の筈だ。
「一体、いくつの時の話をしてるんだ?」
レイターが答えた。
「俺は十四の時に仕事用の仮免を取ったんだ」

十四歳で正規軍戦闘機部隊のエースパイロットだと。天才パイロットという言葉が頭に浮かぶ。
「お前、パワーバンド五で船を飛ばせるのか?」
「今、見てただろが。この船じゃ五がマックスだな。俺はクロノスの機体なら三で飛ばせるぜ」
にわかに信じられない数字だが、こいつが話すと説得力があった。
「エースも三で飛ばせるのか?」
クロノスのエースパイロット、無敗の貴公子エース・ギリアム。今の自分たちでは相手にもならないが、情報は少しでもほしい。

「飛ばせるぜ。だけど、安心しろよ。本番でエースは三じゃ飛ばさない。あいつ、っていうか監督が五よりきついのはリスクが高い、って慎重だからな」
パイロットのコルバがあせった声で聞いた。
「レイター、君はクロノスのS1機に乗るのかい?」
「あん? 乗らねぇよ。レーシング免許持ってねぇし」
「持って無いのか」
驚いたような、ほっとしたような声だった。
「プロのレースには出られねぇけど、ほら、免許も取ったし」
レイターは自慢げに免許証をコルバに見せた。プラチナに輝いている。驚いた。限定解除免許だ。
「大型戦艦だって飛ばせるぜ」

「そっか、アレクサンドリア号もレイターがよく操縦してたしね」
コルバは納得してうなずいているが、そんな簡単な話じゃない。
レーシング免許はチームの推薦と研修を受ければ二週間で取れるが、限定解除免許証は実務が十年必要なはずだ。俺は聞いた。
「お前、どうして限定解除を持ってるんだ?」
「う~ん。飛ばし屋チームを解散させたらくれる、って言われたんだよね」
一年前、飛ばし屋最大グループのギャラクシー・フェニックスが東西統一を果たした直後に突然解散した。
「お前、もしかして、裏将軍なのか?」
「んぱ」
はぐらかされたが間違いない。ギャラクシー・フェニックスの総長、飛ばし屋の世界で最強の裏将軍。

身元を一切明かさないまま引退したのは、無免許を隠すためだったのか。
面白い。
うちのS1機がもう少し安定したら、パイロットを増やして二機体制でレースに臨みたい。こいつを乗せたい。
俺の夢が一つ増える。
*
事業が拡大して資産が増えるのは純粋にうれしい。世の中で売っているもので俺が買えないものは無い。
一方でやっかむ奴も増える。財界の長老たちは面白くなさそうだ。慈善事業へ寄付してはどうか、企業の果たす社会貢献を考え給え、と意見してくる。
俺は俺の金を好きに使う。寄付による節税なんてくそくらえだ。全部S1につぎ込んでやる。と意気込んだのはいいが、結果がついてこないと苦しい。損切りしたい性分がもたげてくる。
こいつなら、銀河一の操縦士なら、俺の煩悶を取り除いてくれる。 (5)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」