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銀河フェニックス物語<出会い編> 第十九話(最終回) 恋と伝票の行方

第一話のスタート版
第十九話(1)(2)(3)(4)(5

 ドキっとした。
 答えを聞きたいような、聞きたくないような。

 ダルダさんが重ねて聞く。
「『愛しの君』の話でもしたのか?」

 気になる。
 思わず、レイターの次の言葉を待ってしまう。

「あん? 男と女の秘め事を聞くなんて、野暮だぜ」
 と言って、レイターはわたしに頭を下げた。
「ティリーさん、悪かったな。迷惑かけて。すまなかった」

n28下向き下向き一文字エプロン

「・・・・・・」
  わたしは混乱した。

 レイターに謝られるとは思ってなかった。
 わたしはレイターに、お礼を言わなくてはいけないのではないか。

 いや、そもそもの原因は厄病神だ。

 ダルダさんがレイターに言った。
「おまえ、三百億リル儲けたんだろ。謝るならティリーさんを高級レストランに誘うとかしても、いいんじゃないか」
「っつっても、もう、手元にねぇんだよな」

 手元に無い? 
 わたしはびっくりした。

n36@3スーツ呆気

 流石のダルダさんも驚いている。
「おいおい、三百億を一ヶ月で何に使ったんだ、女か?」

「うーん。借金の八割が返せた、ってところかな」 
 どんな金銭感覚をしているのか。

「あなた、一体いくら借金してるのよ?」
「船を維持するにゃ、金がかかんのさ」

 ダルダさんがうなずきながら言った。
「まあ、お前には立派な保証人がついてるからな。将軍の名前を出せば、いくらでも金は借りられるんだろうが」
「そうでもねぇんだぜ、あいつケチだから」
 レイターの後見人は将軍だ。

 思わず聞いてしまう。
「将軍ってケチなの?」
「違う違う、アーサーさ。あいつジャックがいい、って言ってんのに、ジャックにサインさせねぇよう、妨害しやがるんだ」

アーサーとジャック

 アーサーさんは将軍のご子息。

「そんな借金、しないのが普通よ」
「俺が死んだら、チャラになる借金しかしてねぇんだぜ。将軍家に迷惑もかかんねぇのに。そうだ、今度はダルさんが保証人になってくれよ」
 ダルダさんは、実家から一億リルをお小遣いとしてもらう大金持ちだ。

「ガハハハハ、お断りだね」
「じゃあ、ティリーさん」
「わたしが保証人になったところで、あなたの希望するような額は借りられません」
「そうでもねぇんだ。三十万リルあったら、エンジンのパーツが買える」
 三十万リル。
 それならわたしでも借りられそうだ。でも、そんな借金生活は良くない。

「お断りします。お金はちゃんと計画的に使わないとダメでしょ。欲しいものがあるからって、我慢しないで借金して買っていたら高くつくのよ」
「わかってねぇなあ。今、必要だから借りるんだよ」
 議論にもならない。
「あなたと結婚したら、大変ね」

 ダルダさんが慌てた声を出した。
「そ、それは大変だぞ、ティリー君。レイターと結婚だなんて。スリルとデンジャラスだぞ」

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「は?」
 わたしは一般論を言っただけだ。

「いやあ、ティリーさんが俺の連帯保証人を、一生務めてくれるってのは助かるぜ」
 レイターも悪乗りしてニヤリと笑った。

「ち、違います、勘違いしないでください。一般論です」
 大慌てで否定した。

 厄病神と結婚だなんてありえない。


「ほれ、高級レストランの味だぜ」
 天然物のパキールは一年前と変わらず、美味しかった。
 調理師免許を持つレイターの腕は確かだ。

 ダルダさんとレイターが大声で武勇伝、というか、ナンパの失敗談を始めた。
「ガハハハ、ティリー君。人生はロマンとスリルとロマンスだよ」
 この人たちは、出張先で何をやっているんだか。

 高級なレストランに憧れはあるけれど、こんな風に楽しくは過ごせないだろうな。人目が恥ずかしくて、と思った。



 翌日、ベルが近づいてきて言った。
「ティリーはレイターと結婚するって宣言したの? 噂になってるよ」
「はあ?」

 ダルダさんだ。あの人、声が大きいから。

 ありえない。
 わたしは頭を抱えた。  (おしまい)
第二十話「バレンタインとフェアトレード」へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」