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銀河フェニックス物語<出会い編> 第十九話(5) 恋と伝票の行方

第一話のスタート版
第十九話(1)(2)(3)(4

 案の定、話の長いお客様との打ち合わせは長引いた。

 わたしは急いで駆けつけたけれど、パキ星第二工場の会議に、五分遅刻した。
「遅くなってすみません」

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 謝りながら部屋に入ったわたしを、ジュディ先輩が怖い顔をしてにらみつけた。
「あなた、仕事を何だと思ってるの?」
 まずい。ここは謝った方がいい。

「すみませんでした。前の仕事が長引いてしまって」
「事前にわかっていたなら、伝えておきなさいよ。社会人でしょ」
 そう言われて、つい答えてしまった。
「伝えてあります。ダルダさんに」

 この一言が失敗した。「はい」と返事だけしておけばよかったのだ。
 一度口から出た言葉は消去できない。

 振りあげた拳を下ろせなくなったジュディ先輩は、冷たい声で言った。
「もういいわ、会議を進めましょう」

 それっきり、わたしの方へ一度も顔を向けなかった。
 ジュディ先輩の怒りに、燃料を投下してしまった。

 ジュディ先輩にも、事前に一言かけておけばよかった。
 けど、もう後の祭りだ。

 ああ、これで絶望的に伝票が回らない。

 会議が終わると、ダルダさんがわたしに聞いた。
「ティリー君、ジュディ君と何かあったのかい?」

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 ダルダさんはこのプロジェクトの責任者だ。

 経理、すなわちジュディ先輩とうまくいかないのはまずい、と思ったのだろう。

「厄病神のせいだと思います」
 わたしは正直に話した。
 レイターがジュディ先輩を振って、逆恨みされているようだ、と。

「そうだったのか、俺に任せなさい。ロマンスはリスクだ。ガハハハ」
 ダルダさんが胸を叩いた。

 わたしはダルダさんに話したことを、急に後悔した。

 翌日、驚いたことに伝票は止まることなく回った。

 出張の精算をした伝票も戻ってこない。
 わたしの心配に反して、ジュディ先輩の嫌がらせは、ピタリと止まった。

「あら、ティリー、おはよう」
「おはようございます」
 あいさつも普通に戻った。

 ダルダさんは、一体どんな魔法を使ったのだろうか。

 会議で一緒になったダルダさんにお礼を伝えた。

「ありがとうございました。ジュディ先輩に一体、何て説明したんですか?」
「俺は何にもしてないよ」
「え? でも、伝票は回りましたよ」
「ガハハハ、レイターに頼んだんだ。ティリー君が困っているぞって。あいつは女の扱いが上手いから」
「え、えええっ?」

 レイター本人に伝えるとは思わなかった。
「ティリー君、今晩、フェニックス号で飯を食おう」
 とダルダさんに誘われた。

 レイターとは顔を合わせたくない気分だけれど、ダルダ先輩に言われては断れない。

 フェニックス号のキッチンから、いい匂いがする。
 香ばしくて懐かしい香り。

 レイターが、きのこ料理を作っていた。
「いらっしゃい、ティリーさん。きょうは天然物のパキールだぜ」

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「えっ?! 天然物ってパキ星から持ち出すのって違法じゃないの?」
「俺はいいのさ」
 と答えるレイターに、ダルダさんが言った。
「こいつは、パキ星政府の恩人だからな。持ち出し許可も簡単だ」
 政府は工場誘致の推進役だ。

 ダルダさんが、いきなり本題を切り出した。
「それで、レイターは、ジュディ君に何て言ったんだ?」        最終回へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」