直島,盛夏04 -ヤンの太陽 & ウィーラセタクンの月/石橋/碁会所/【瀬戸内国際芸術祭2025】
瀬戸芸2025夏(8月)開催中、猛暑の直島。

本村エリアの旅。

Ring of Fire -ヤンの太陽 & ウィーラセタクンの月 Solar(昼)
本作は、初めて鑑賞した。


外観、お庭のみ撮影可。


内部のようすは、公式サイトに。
地殻変動と呼応する作品
日本家屋の天井から、鈴や飾りが吊るされている。それだけでも美しいのだが、期せずしてそれらが小刻みに振動しだして、ふしぎな音を発する。
実はそれは、今まさに起きている地球の地殻変動。
直島の小さな古民家が、突然にして地球の地殻と連動していることに気づく、ダイナミックな作品だ。
なかなか来られない夜間のようすは、屋内の端末で観ることができる。予想を裏切ることなく、幻想的だ。


家プロジェクト
「本村」エリアは「家プロジェクト」が鑑賞できるエリアでもある。さきに紹介した「はいしゃ」も然り。
このプロジェクトの開始は1998年。空き家となったその家の記憶を現在につなげる形で、アーティストによって発想されているところが魅力だ。

(前略)点在していた空き家などを改修し、人が住んでいた頃の時間と記憶を織り込みながら、空間そのものをアーティストが作品化しています。地域に点在する作品は、現在も生活が営まれている本村を散策しながら鑑賞することになります。その過程では、場所の持つ時間の重なりやそこに暮らす人々の営みを感じることでしょう。生活圏の中で繰り広げられる来島者と住民との出会いにより、さまざまなエピソードを生み出しているのもこのプロジェクトの特徴です。都市と地方、若者とお年寄り、住む人と訪れる人とが交流していく中で生まれる新たなコミュニティの在り方を提起する契機になったこの有機的な取り組みは、日々変化しながら進化を続けています。
石橋 「ザ・フォールズ/空の庭」
石橋 「ザ・フォールズ/空の庭」へ。

千住博の作品。訪れたのは二度目だ。
明治時代、製塩業で栄えていた石橋家の家屋は、2001年4月まで個人宅として使われていました。直島では古くから製塩業が人々の生活を支えており、直島の歴史や文化をとらえるという観点からも、家そのものの再建に重点がおかれました。千住博が着想から5年の歳月を費やして「場のもつ記憶」を空間ごと作品化しています。
空(くう)の庭
まず、千住博の襖絵「崖」。


背景にあえて銀泥を使い、時間の経過とともに作品の風合いが変わっていくことを意図したという。


そして襖絵の対になるように、緑の芝生がまぶしい中庭が目に入る。

この2つが合わさった作品が、「空の庭」。完成までに5年を費やしているという。

もうひとつの作品「ザ・フォールズ」
これで終わりではない。廊下を進んでいくと、あえて外光を遮断した部屋があり、

そこには、こんな空間だ。

幅15mにおよぶ、滝。まるで水しぶきが本当にあがっているかのようだ。
この絵のリアルさは、もちろん画そのものの迫力に加えて、黒漆塗りの板が床に貼られていおり、ほのかな光が漆の表面に滝の絵を反射させている、それも理由だ。
ここはたしかに滝の前で、人々は空間に座り、描かれた水流を眺めている。涼をとるように。

部屋から出れば、この光のコントラスト。




碁会所
中庭がそのまま見通せる、小さな家屋。

この、不思議な「左右対称」が、本作のテーマでありヒントだ。

入って、まず対面するのが中庭。頑張って広く撮ってもこんな感じなので、家屋じたいのコンパクトさが伝わるのではないかと思う。

意味ありげな(もちろん意味はある)樹木が1本。これは、五色椿の木で、2月には美しい花が咲くという。
さて振り返れば、同じ大きさの建物(四畳半)が対になって並んでいる。

しかし。
向かって左の部屋。

そこには、速水御舟「名樹散椿」からインスパイアされたという、23輪の椿と1枚の葉。

向かって右の部屋。

そこには何もないようだ。
アーティスト須田悦弘のマジック
本作を手掛けたのは須田悦弘氏で、「騙され」続けた松涛美術館の展示も記憶に新しい。
椿は本物であるはずもなく、もちろん須田氏の手による木彫りだ。

本物の五色椿と木彫りの椿。椿の花(の木彫り)がちりばめられた部屋と、同じ造りの、椿のない部屋。

このコンパクトな空間に、いったいどれだけの対比が意図されているのだろう?
そして碁会所というタイトルのとおり、ここはかつての島民の方々のコミュニケーションの場所。1つひとつの対比を線にたとえれば、その線はそのまま交流というところにもつながるのかなと思ったり……。

本村エリアの散策は、まだまだ続く。
