抜け毛は1日何本までなら正常?AGAとの見分け方
シャワーのあと、排水口にたまった髪を見る。
昨日より多い気がして、つい一本ずつ数えてしまう。
そして検索窓に「抜け毛 何本 AGA」と入れる。
この流れ、かなり自然だと思います。数字なら白黒をつけられそうですから。
ただ、先に結論を言うと、抜け毛の本数だけでAGAかどうかは判断できません。
そもそも「今日抜けた毛」を正確に数えるのは難しい
排水口に残った毛は、その瞬間に抜けた毛だけとは限りません。
前日に洗髪していなければ、髪にとどまっていた毛がまとめて落ちることもあります。洗う前にブラッシングしたか、整髪料を使ったかでも、目に入る本数は変わります。
抜け毛を数える研究では、こうした条件をそろえるために、決められた方法で計測します。
脱毛症のない健康な男性60人を対象にした「60秒ヘアカウント」という研究では、同じ方法で数えても、20〜40歳の結果は0〜78本とかなり幅がありました。
これは「78本までなら安心」という意味ではありません。洗髪時の一日分を数えた研究でもありません。
私が面白いと思うのは、数える条件をそろえても、人によってこれだけ違ったという点です。
AGAで見たいのは、本数より「髪の育ち方」
AGAでは、髪の成長期が短くなり、前頭部や頭頂部の毛が少しずつ細く、短くなる変化が起こります。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、診断は抜け毛の本数一本で決めるのではなく、これまでの経過や家族歴、生え際の後退、前頭部・頭頂部の毛髪が細く短くなっているかなどを確認します。
つまり、排水口の毛が少ないからAGAではない、とも言い切れません。
反対に、ある日たくさん抜けたからAGAだ、とも限らない訳です。
そもそもAGAと普通の抜け毛は何が違うのか。その見分け方はAGAと普通の抜け毛の違い|見分け方3つのポイントで整理しています。
薬理の研究でも、一つの測定値だけを見て原因を決めることはしません。測った条件、時間による変化、ほかの所見を重ねて考えます。
髪についても、私は同じ見方が大切だと思っています。
数えるより、同じ条件で写真を残す
自宅で変化を見るなら、毎日抜け毛を数え続けるより、月に一度ほど、同じ場所・同じ照明・同じ髪の乾き具合で写真を残す方が比較しやすいです。
見るのは、たとえば次のような変化です。
生え際の形が以前と違って見える
前髪や頭頂部に細く短い毛が増えた
同じ髪型でも地肌が見えやすくなった
一方、短い期間に急に抜け毛が増えた、円形やまだら状に抜けた、頭皮に強い赤みや痛みがある、といった場合は、最初からAGAと決めつけない方がよいでしょう。
本数は、変化に気づくきっかけにはなります。
でも、診断の答えそのものではありません。
排水口の数字に毎朝振り回されるより、「いつから、どこが、どう変わったか」を見ていく。その方が、次に確認すべきことが見えやすくなります。
もし写真を見比べて、細く短い毛が増えていると感じたなら、それは対処を考える段階かもしれません。年齢を理由に諦める必要はないことを、AGA治療は何歳まで有効?40代50代でも手遅れではない理由で書いています。
抜け毛以外にどんな初期変化を見るのかは、ブログで詳しく整理しています。
→ 抜け毛以外の初期変化も確認する
あわせて読みたい
参考資料
日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
Wasko CA, et al. Standardizing the 60-second hair count.
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。診断や治療については医師へご相談ください。
