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HRBPの在り方①:AIの時代に、HRは何をする人たちなのか。「制度設計なき能力論」という落とし穴と、これからのHRの価値

「AIを活用してすぐに求人票が書けるようになった」
「サーベイの集計はAIに任せている」
「面接のスクリーニングをツールに置き換えた」

こういった声を、HR領域でよく聞くようになりました。

確かにその通りだと思います。AIによるHR業務の代替は、すでに「これから起きること」ではなく、「今、起きていること」です。

では、みなさんの組織のHRチームは、この変化にどう向き合っていますか?

ツールを導入して、業務を効率化できた。それは素晴らしいことです。
ただ、私がずっと気になっているのは、その効率化によって生まれた時間を「何に使うか」が設計されているか、という点です。
(その分週休3日にするというのも考えることもありますが、それはまたの機会に)

「業務が効率化されたこと」と「HRが進化したこと」は、まったく別の話だと私は感じています。

この記事では、AIが進化するこの時代において、HRが本当に発揮すべき価値とは何かを整理してみたいと思います。

では、いきましょう!



AIが代替できるHR業務とは何か

まず、現実を整理しておきます。AIが代替できる、あるいはすでに代替しつつあるHR業務には、以下のようなものがあるといわれています。

  • 給与計算・勤怠管理などのルーティン事務

  • 採用候補者のスクリーニングと初期評価

  • エンゲージメントサーベイの集計・分析・レポート作成

  • 標準的な研修コンテンツの設計と推薦

  • 人事データの可視化とトレンド分析

  • FAQ対応・社内問い合わせへの初期回答

これらに共通するのは、「情報を処理し、パターンを見つけ、定型的な判断をする」という性質です。AIが最も得意とする領域であり、今後さらに代替が進んでいくでしょう。

では、残るのは何でしょうか。


HRに残るのは「構造を変える力」と「関係を作る力」

私は、AIに代替されにくいHRの仕事は、大きく2つに分けられると考えています。


図1

1. 構造を変える力(ハード)

組織設計、評価制度の再構築、報酬戦略、労使関係の調整、M&A時の人材統合。こういった仕事は、「正解のないトレードオフ」を経営と一緒に議論し、意思決定に関与していくことが求められます。
データを読む力だけでは足りなくて、経営の文脈を理解しながら、人材の観点から選択肢を提示できる力が必要になってきます。

2. 関係を作る力(ソフト)

組織内の信頼関係の構築、現場マネージャーへの伴走、チームの心理的安全性の醸成、退職者・採用候補者・外部パートナーとの継続的な関係維持。
これらは「人と人の間に起きること」を設計し、介入していく仕事です。
アルゴリズムが再現できない領域だと感じています。

組織心理学の領域で著名なエドガー・H・シャイン氏が提唱した「組織文化の3つのレベル」で表現するならば、ハードはLevel1・Level2(目に見える構造と標榜される価値観)、ソフトはLevel3(無意識の前提・文化の深層)に対応します。

AIはLevel1の処理を担い始めました。HRが経営への貢献を保つためには、Level2・Level3の領域で価値を出し続けることが求められていると私は考えています。


「制度設計なき能力論」という落とし穴

ここからが、私が最も伝えたいことです。

AIによる代替が進む中で、多くのHR組織が取っている対応は「ツールを導入して効率化する」ことです。それ自体は間違いではありません。

ただ、問題はその先にあります。

効率化によって生まれた時間を「戦略的なHR業務に使う」と言いながら、その能力開発の機会や、動くための権限・制度が整備されていないケースを、私はよく目にしてきました。

「コーチングスキルを身につけよう」という研修が実施される。しかし、マネージャーと1on1を行う時間がHRBPに確保されていない。 「戦略人事をやろう」と経営が言う。しかし、HRBPが経営会議に入れる権限がない。

これを私は「制度設計なき能力論」と呼んでいます。

能力の必要性は語られるのに、その能力が発揮できる制度・権限・時間が与えられていない状態です。
これは、HRだけの問題ではありません。経営として、HRが新しい価値を発揮できる環境を整備しているか、という問いでもあります。


経営層・HR関係者の皆さんへ、3つの問いを

この記事を読んでいただいてる方に、3つの問いを投げかけさせてください。(私自身への問いとしても。。。)

問い1:自社のHRは、AIに代替されたあとに何をするチームか、定義できていますか?

「採用・育成・制度管理」という従来の機能定義のまま、AIにその一部を任せているだけであれば、HRチームの存在意義は縮小し続けてしまいます。

問い2:HRが経営の議論に入れていますか?

人材戦略が経営会議のアジェンダに上がるとき、HRは「資料を作る側」でしょうか、「議論に参加する側」でしょうか。
後者でなければ、HRはコストセンターのままになってしまいます。

問い3:HRが現場から信頼されていますか?

現場のマネージャーが困ったとき、最初に相談する相手がHRかどうか。そうでなければ、HRの「関係を作る力」はまだ機能していないサインかもしれません。


次回予告

これらの問いに対して、私が一つの答えとして注目しているのが、HRBPという役割をHR変革の先行事例にするという考え方です。

ただし、HRBPもまた「制度設計なき能力論」の罠にはまりやすく、期待されながら機能しないケースも少なくありません。

次回は、HRBPが本当に価値を発揮するための思考フレーム「9マトリクス」と、その実装における現実の壁について論じていきます。

HRが新しい価値を発揮できる組織が、一つでも多く生まれていくことを願っています🌱



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Shugo HORIGUCHI 本記事が皆さまのキャリアや組織運営のヒントになれば幸いです。より良い職場環境づくりや人材育成に役立つ情報を発信していきますので、ぜひサポートいただけると励みになります!いただいたチップは、さらなる価値あるコンテンツの制作に活用させていただきます。

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