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HRBPの在り方②:HRBPは「期待の星」か、それとも「新たな理想論」か

9マトリクスで読み解く、HRBPが本当に価値を発揮するための思考法


前回の記事では、AIが進化するこの時代に、HRに残るのは「構造を変える力」と「関係を作る力」だという記事を投稿させていただきました。
そして、その能力が必要だと語られながらも、発揮できる制度・権限・時間が整備されていない「制度設計なき能力論」という落とし穴についても触れました。

今回は、その続きです。

「構造を変え、関係を作るHR」の先行事例として、近年新たに議論が深まっているのがHRBPという役割(ロール)だと感じております。

ただ、HRBPを担う当事者の一人として、正直に言います。

HRBPもまた、「制度設計なき能力論」の罠にはまりやすい役割のひとつです。

「HRBPを置いたのに、結局何でも屋になっている」
「現場から信頼されない」
「経営の議論に入れない」
そんな声を、私はHRの現場でよく耳にしてきました。私自身も、そのジレンマを何度も経験しています。

では、HRBPはどうすれば本当の価値を発揮できるのでしょうか。

今回は、私が実務の中で整理してきた「HRBPナインマトリクス」という思考フレームを使いながら、HRBPの在り方を一緒に考えていきたいと思います。

では、いきましょう!



HRBPに求められる2つの軸

HRBPの活動を整理するとき、私は大きく2つの軸で考えています。
詳細はこちらの記事でも紹介しておりますのでご参考ください。
また、すでに記事を読んでいただいたことのある方は読み飛ばしていただいて大丈夫です!
HRビジネスパートナー(HRBP)に求められる”9(ナイン)マトリックス思考”

図1: HRBPナインマトリクス

縦軸:対応するエリア(Lv.1〜Lv.3)

  • Lv.1「Action」:まずは部門が考えるActionの解決を支援する

  • Lv.2「As-Is and GAP」:As-Isのディスカッションを行い、新たなGAPを解決する

  • Lv.3「To-Be」:To-Beのディスカッションを行い、目指す姿を一緒に考え実行する

横軸:組織文化の理解(Lv.1〜Lv.3)

エドガー・H・シャイン氏の組織文化モデルに対応しており、

  • Lv.1「Artifact」:目に見える組織構造とプロセス

  • Lv.2「Espoused Beliefs and Values」:標榜される信条と価値観(戦略・目標・哲学)

  • Lv.3「Underlying Assumptions」:背後に潜む基本的仮定(無意識のうちに当たり前となっている信念・認識・思考・感情)

この2軸を組み合わせた3×3のマトリクスが、「HRBPナインマトリクス」です。


HRBPの成長は「左下から右上へ」

このナインマトリクスのポイントは、HRBPの価値貢献は左下(Lv.1×Lv.1)から始まり、右上(Lv.3×Lv.3)へと積み上がっていく、という点です。

最初は「組織図や業務の流れを理解する」「現場に顔を出す」「隠さず質問でコミュニケーションする」といった、地道な活動からスタートします。

これを積み重ねながら、現場からの信頼を少しずつ獲得していく。その信頼があって初めて、As-IsのGAP分析や、To-Beのディスカッションに入れるようになっていきます。

「いきなり戦略的な議論をしよう」とするHRBPが機能しないのは、この順序を飛ばしているからではないでしょうか。

私自身の実体験でも、現場の部門に入った初期は、とにかく「見えにくいニーズを聞き出す」「現場の人と同じ情報に触れる」「チームのMTGに参加する」ということを繰り返していました。
それが、後の組織変更プロジェクトや部門戦略の議論に入るための土台になっていたと感じています。


「制度設計なき能力論」がHRBPに与える影響

ここで、前回のテーマに戻ります。

HRBPナインマトリクスの「左下から右上へ」という成長の道筋は、手前味噌ながら、理論としてはそれなりに整理ができていたのかなっと自負しております。
しかし、実際の組織では、この成長を阻む「制度設計なき能力論」の壁が随所に存在します。

たとえば、こういったケースです。

壁①:HRBPに与えられた権限が曖昧
現場の課題を発見しても、制度変更や採用優先度の変更を自分では決められない。提案はできるが、動かせない。

壁②:HRBPの評価指標がインプット中心
「相談件数」「研修実施回数」など、活動量だけが評価される。右上(To-Be・Lv.3)への挑戦が評価に結びつかない。

壁③:現場マネージャーにHRBPを使う文化がない
HRBPが配置されても、マネージャー側に「HRBPに相談する」という行動様式が根づいていない。信頼構築以前の問題として、接点自体が生まれない。

これらの壁がある状態でHRBPに「戦略的に動いてください」と言っても、それは能力論の話であって、制度設計の話ではありません。そして、戦略的に動けないのはHRBPの個々人の能力などが足りていないからだ。といわれる始末。。。なんともつらい立場です。

HRBPが機能するためには、能力開発と同時に「HRBPが動ける制度・権限・時間」を整備することが必要です。
これは、我儘も含めて発信させていただくと、CHRO・HR責任者が設計すべき事項で、ある種の経営課題だと私は考えています。


では、HRBPは何から始めればいいか

「制度が整っていないから動けない」という状態を待っていても、何も変わりません。

私が実務の中で大切にしてきたのは、まず自分がコントロールできる「左下」から始めるという姿勢です。

現場に顔を出す。隠さず質問する。マネージャーが困っていることを、人事の立場からではなく、「一緒に考えるパートナー」として聞きに行く。

その積み重ねが、信頼という見えない資産になっていきます。

そして、その信頼があるからこそ、HRBPは「現場からの信頼を持った人事」として、経営への発言力も少しずつ高めていけると感じています。


次回予告

HRBPナインマトリクスの成長の道筋の中で、私がもう一つ重要だと感じているのが、コミュニティマネジメントという視点です。

現場の信頼を獲得し、組織文化の深層に関わっていくためには、「個人との1on1」だけでは限界があります。組織の中に「人と人がつながる場」を意図的に設計し、育てていく力が、これからのHRBPに求められるのではないかと考えています。

次回は、私が構想している「CAMPモデル」と、HRBPがコミュニティをどう活用するかについて論じていきます。

HRBPが「何でも屋」ではなく、組織の変革パートナーとして認められる事例が増えていくことを願っています🌱




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Shugo HORIGUCHI 本記事が皆さまのキャリアや組織運営のヒントになれば幸いです。より良い職場環境づくりや人材育成に役立つ情報を発信していきますので、ぜひサポートいただけると励みになります!いただいたチップは、さらなる価値あるコンテンツの制作に活用させていただきます。

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