ほっぴきの思い出
この記事は12月14日(日)に行われる「紅白記事合戦2025」の参考記事になります。詳細は11月29日(土)に発表します。
子供の頃、お正月休みには必ず祖父母の家に親戚一同が集まり、新年の楽しい時間を過ごした。
最初は普通の住宅だったが、後に敷地内に店舗スペースを増築し、祖母が駄菓子屋を営んでいた。

昼間は、日の当たる店舗側の座敷にみんなが集まり、ラジカセでカラオケを歌ったり、祖父の旅の話を聞いたり、子供たちでカルタをしたり。
夜になると、窓から繋がっている自宅へ戻り、祖父母から孫まで15人で大きな食卓を囲む。お酒が進む頃には、大人たちの方が楽しそうだった。
宴会が終わると、締めのイベントとして毎年恒例の「ほっぴき」が始まる。
ほっぴきとは、正しくは「宝引き(ほうびき)」とも言われる、室町時代からある伝統的な遊びのひとつで、地方では今でも正月の風物詩として親しまれているらしい。
まず親役が人数分の紐の束の端を持ち、もう一方の紐の端を場に広げて、他の人達がそれぞれ紐の端を選んで掴む。
親役が持っている側の紐の端には、そのいくつかに当たりの目印となる鈴が付いていて、何も付いてない紐はハズレ。親役が紐からゆっくりと手を放すと、それぞれの紐を手繰り寄せ、鈴が付いていたら当たり。
親役は、最初の数回は祖父が行っているが、やがて孫たちが順番に親役をやらせてもらえる。ただ、縄のような太い紐が15本もあるので、うっかり手を離さないよう、大人にもサポートしてもらう。
一般的なルールは、当たりの紐を引くと景品が貰える、いわゆる福引きのようなもの。
ちなみに家のルールでは、全員が10円玉10枚を手持ちの状態でスタート。15人が一回ごとに10円ずつを場に出し、その10円玉15枚を、一等50円・二等40円・三等30円・四等20円・五等10円と分配する。
これは、家が駄菓子屋だからたまたま10円玉をコインとして使っているだけなので、決して賭博などではないですよ!(必死)
面白いのは「こっちが当たりだ」「その紐はハズレだ」という根拠のない駆け引きの応酬で、どれも同じに見える紐の端を掴んでは、誰からともなく、ああでもないこうでもないと言い合う時間が、実は一番の醍醐味だ。
親役がゆっくり手を離すと、鈴の付いていない紐は引くとスーッと抜けるので、ハズレの場合は手応えで判る。しかし一等から五等までの当たり紐は、大小5つの鈴たちが端で絡み合うこともあり、最後まで「大当たりはどれだっ!?」というワクワク感が生まれる。
連続で一等を当てる強運の人や、何度やってもハズレしか引かない人。もし手持ちの10円玉がなくなった場合は、たくさん持ってるお金持ちから10円玉を借りることもある。
それをおよそ20回くらい繰り返して、最も多くの10円玉を持っていた人が優勝。しかし実際は勝負よりも、普段見られない大人たちの高いテンションや、熱い駆け引きのやり取りが楽しかった。
そして最終的に、10円玉は全てフーセンガムや数字のチョコやうまい棒などへと変わり、帰りの子供たちのお土産となるのだった。
着地点は、祖父母が孫にお菓子を買ってくれたのと同じだとしても、それを親戚一同巻き込んだ楽しいイベントにしてくれたこと。本当に周りの大人に恵まれた子供時代だったなと、昔のお正月の思い出を、懐かしく振り返ってみました。

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