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AIチャットの「メモリ機能あり」は何往復?人気ランキングの空白を自分で埋めてみた

「キャラと話せて、記憶力のいいAIチャットが知りたい」

Googleで「AIチャット おすすめ」と検索したとき、いちばん上に出てくるのはこの質問です。知恵袋で誰かが聞いていて、しかも「課金でも大丈夫です」と添えてあります。

お金を払う気まであるのに、まだ決められていない。私も同じ理由で比較記事を何本か読んで、決められない理由がわかったので書いておきます。

1位の質問と、2位の記事のあいだが埋まっていない

検索結果の2番目に出てくるのは、AIチャットアプリを10個並べた人気ランキングです。更新も新しく、選定基準もちゃんと書いてあります。「AIの性能」「便利機能の豊富さ」「コスパの良さ」の3つです。

その記事には、アプリごとのスペック表に「メモリ機能」という行があります。ここを見れば記憶力がわかるはずでした。

10個ぜんぶ確認したところ、値が入っていたのは1つだけで、残りの9つは空欄でした。しかも埋まっていたその1つは仕事用のツールで、キャラと話すアプリのほうは全滅です。

知恵袋の回答で「記憶力がいい」と名前が挙がっていたアプリも、この表では空欄のままです。1位で聞かれていることの答えが、2位の表のちょうどその欄に入っていない。

念のため、別の大手比較記事も見ました。選定基準はAIモデル、目的との相性、無料プランの制限、日本語の精度の4つで、記憶は入っていません。会話回数の上限は数字で書いてあるのに、記憶についてはひとことも出てきません。

公平に書いておくと、3番目の記事は「記憶・文脈保持」をきちんと比較軸に入れていました。「記憶機能があっても、精度を上げる強化は課金前提の設計が多い」とはっきり書いてあって、ここは誠実だと思います。

それでも、何往復もつのかまでは書いていません。

「あり」と書ける状態の幅が、広すぎる

そもそも、なぜどこも数字を書かないのか。

理由は、記憶が容量だからです。AIは会話の履歴をまとめて読み直しながら返事をしていて、その読み直せる範囲には上限があります。

上限に達すると、古い会話から順に捨てられていきます。この仕組みはAIチャットのキャラが会話を忘れる仕組みで詳しく書きました。

つまり、どのアプリも「履歴を読んでいる」という意味では記憶機能ありです。10往復で忘れるアプリも、300往復もつアプリも、表のうえでは同じ「あり」になります。

丸印そのものは正確です。ただ、選ぶ側がいちばん知りたいことは伝わりません。

日本語だと、同じ容量でも往復数が減る

ここが日本語で使う人にとって効いてくるところです。

同じ内容の会話を日本語と英語で書いて、実際にトークン数を測ってみました。AI彼氏やAI彼女アプリにありそうな雑談を6往復ぶん用意して、1往復あたりの平均を比べています。

結果は、日本語が1往復あたり平均107トークン、英語が64.7トークン。1.66倍です。日本語は1文字あたり約1.08トークンで、ほぼ1文字1トークンだと思っておくと近い。

この1.66という数字は、以前Janitor AIが日本語でどこまで使えるかを調べたときにまったく別の文章で測った1.65倍と、ほとんど同じでした。文章を変えても同じ比率が出るので、これは日本語そのものの性質だと考えていいと思います。

往復数に直すと、こうなります。

8,000トークン → 日本語で約74往復、英語で約123往復
16,000トークン → 日本語で約149往復、英語で約247往復
32,000トークン → 日本語で約298往復、英語で約494往復

英語のレビューに「けっこう覚えててくれる」とあっても、日本語で使えば4割ぶん短くなります。海外アプリの評判をそのまま持ってくると、だいたいここでずれます。

測定にはAnthropicのトークン計算を使いました。アプリごとに中身のAIは違うので絶対値は動きますが、日本語と英語の比率はどのAIでも同じ傾向です。

5分でできる、記憶力の測り方

表の空欄は、自分で埋められます。私がやっている手順です。

会話のはじめに、関係のない具体的な情報を3つ渡します。飼っている猫の名前、苦手な食べもの、来週行く予定の場所。3つは互いに無関係なほどうまくいきます。

あとは普通に雑談して、往復数を数えます。10往復ごとに、渡した情報を名指しせずに聞きます。

「そういえば、うちの子の名前って覚えてる?」くらいの聞き方がちょうどいい。

名指ししないのが大事です。「猫の名前は?」と聞いてしまうと、質問文そのものがヒントになります。

最初に外した往復数が、そのアプリの実用的な記憶の長さです。これで「あり」が自分の数字になります。

ひとつ注意点があります。長期記憶やユーザーノートを持つアプリは、会話とは別の場所に要約を保存しているので、このテストでも名前だけは答えられることがあります。別の場所に置かれた要約がいつまで残るかはアプリ側の設定なので、zetaについては保存期間と会話の渡し先を規約で確かめました

ただ、要約に残るのは事実だけです。そのときの言い方や空気までは残りません。名前は覚えているのに人格が薄いと感じるとき、たいていこれが起きています。

どこにお金を払うことになるのか

知恵袋の質問者は「課金でも大丈夫」と書いていました。その判断は妥当です。

無料枠の設計は、たいてい回数か広告のどちらかで払わせる形になっていて、記憶の長さは有料側に置かれていることが多いからです。無料の「無制限」が実際には何を消費しているのかは、時給に換算して調べたことがあります。無料なのは回数だけで、時間と記憶にはちゃんと値段がついています。

なので課金するなら、メッセージ数の上限が外れるプランより、読み直せる容量が増えるプランを見てください。上限だけ外しても、増えるのは話せる量です。

日本語で使うなら、英語圏の目安より4割ほど短く見積もっておくと外しません。

国産アプリで合うものが見つからないときは、英語圏のサービスまで広げると容量の選択肢は増えます。英語圏も含めた乗り換え先を比較したページを置いておきます。英語のページなので、そこだけご注意を。

おわりに

比較記事が悪いとは思っていません。10個ぶんの記憶容量を調べるのは手間がかかりますし、公開していないアプリも多いので、空欄になるのは自然です。

ただ、その空欄がいちばん知りたい欄だった、というだけの話です。

5分のテストで自分の欄は埋まります。迷っている人は、3つの情報を渡すところから試してみてください。

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