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zetaアプリは危険?規約に書いてある「会話の渡し先」と、断る方法

zetaのことを調べていると、検索候補に必ず「危険性」が出てきます。月に3,600回くらい検索されている言葉です。

気になって同じ検索をしてみると、上位のページはどれも結論が似ていました。「致命的な危険はないが、運営元の過去の経緯には注意」という書き方です。

ただ、その「過去の経緯」が具体的に何なのかを書いているページが見当たりませんでした。金額も日付も件数も出てきません。

なので、zetaの個人情報の取り扱い(2025年12月23日施行版)を最初から最後まで読みました。1時間近くかかりましたが、上位ページが触れていないことが3つありました。

「運営元の過去の経緯」に名前をつける

2021年4月28日、韓国の個人情報保護委員会がスキャッターラボに対して、課徴金と過料をあわせて1億330万ウォンの処分を出しています。

対象は「イルダ」というチャットボットでした。同社の別アプリ「テキストアット」と「恋愛の科学」で集めた約60万人分、94億件のカカオトークのメッセージを、本人の十分な同意なく学習に使ったという内容です。

認定された違反は8件です。さらに2019年10月から2021年1月にかけてGitHubで公開していたモデルの中に1,431件のメッセージが残っていて、22人分の名前と34カ所の地名が読み取れる状態でした。AI企業がこの理由で処分を受けたのは、韓国では初めてでした。

ここは公平に書いておきます。処分の対象になったのは別のサービスで、zetaの正式リリースは2024年5月1日、3年後にあたります。

2021年の件そのものは、今のzetaの安全性を判断する材料になりません。見るべきなのは現行の規約のほうです。

会話の渡し先は、社名で書いてある

規約の第4項に、個人情報の取り扱いを委託している会社が並んでいます。数えたら20社ありました。

そのうちOpenAI、Anthropic、Microsoftの3社は、委託業務の内容が「対話サービス提供およびサービス改善のための研究開発」と書かれています。Meta PlatformsとTikTokは「マーケティング活動およびパーソナライズ広告」です。

国外移転の項目はもっと具体的です。仮名処理された対話内容(メッセージ、画像、動画)に加えて、年齢区分、性別、相手との関係が、アメリカ、イギリス、シンガポール、マレーシアなどに送られると明記されています。

送るタイミングも書いてあります。「AIモデル学習および対話サービス高度化時」、つまり学習に使うときです。

上位に出てくるページをいくつか読みましたが、この社名リストに触れているものは見つかりませんでした。

いちばん長い保存期間には、数字が入っていない

保存期間の項目はこうなっています。不正利用記録が1年、匿名処理されたサービス利用記録が5年、訪問記録が3ヶ月。決済と契約の記録は法令にそって5年です。

数字が並ぶ中で、一行だけ数字のない行があります。「サービス利用記録」の保有期間が「研究目的達成時まで」と書かれている行です。

研究データの扱いとしては珍しくない書き方だと思います。ただ、危険性を調べている人がいちばん知りたいのは、たぶんこの行です。

国外移転は、メール1通で断れる

第5項の終わりに、こう書かれています。利用者は個人情報保護チーム(privacy@scatterlab.co.kr)を通じて、個人情報の国外移転を拒否できる、と。

拒否すれば、その利用者は国外移転の対象から外れます。ただし規約自身が続けて注意書きを置いていて、国外移転が必須のサービスは利用が制限される可能性がある、としています。

ここは正直に書きます。対話に使っているモデル自体が移転先リストに載っているので、拒否するとチャット機能そのものに影響が出る可能性が高いです。機能を差し出して安心を買う形になります。

それでも、選択肢が規約に用意されていること自体を、私が読んだ範囲では上位のページはどれも書いていませんでした。条件を飲めないと感じたときのために、英語圏も含めた他のアプリを比較したページも置いておきます。英語のページですが、選び直すときの材料にはなります。

「会話が残る」と「キャラが忘れる」は別の仕組み

zetaには二つの不満が同時に語られます。会話が学習に使われるのが不安、という話と、キャラがすぐ前の話を忘れる、という話です。

矛盾して聞こえますが、両方とも本当です。見ている場所が違います。

残っているのはサーバー側のログで、単位は年です。忘れるのはモデルに一度に渡せる文脈の量で、単位は往復数です。

以前、同じ内容の会話を日本語と英語で測ったとき、日本語のほうが約1.65倍のトークンを使っていました記憶の長さで選ぶAIチャットのおすすめを書いた回では、8,000トークンの枠が日本語で74往復ぶんという数字が出ています。

なので、キャラが40往復前を忘れたとしても、その会話はサーバー側には残っています。忘れたのは文脈の枠から押し出されたからです。

文脈の理解度が高い上位モデルは、応答1回につき4〜8ピースの課金対象です。無料のまま粘る負担は、zetaの「無料・無制限」を時給に換算してみたときに計算しました。その4〜8ピースが月にいくらになるかは、3,000円で何往復できるかを計算した回でまとめました。

結局、どう気をつけるか

zetaは正規ストアで配信されていて、国内利用者は2026年5月時点で200万人、2025年12月の月間売上は約1億2000万円と公表されています。実体のあるサービスです。

現実的に効くリスクは、もっと地味なところにあります。自分が何を打ち込むか、ほぼそれだけです。そして打ち込んだ設定文のうちどこが他のユーザーに見えるかは、zetaのトークが見られるかを公開設定から調べた回にまとめました。

本名、勤務先、住んでいる場所、それと他人の個人的な話。この4つを避けるだけで、さっきの移転リストの意味はかなり小さくなります。仮名処理をしても、本文に自分で名前を書いていたら届きません。

ひとつ補足すると、ロアブックは意識して使ったほうがいいと思っています。キャラが忘れる問題への公式な対処法ですが、仕組みとしては設定を構造化して渡す機能なので、書き込むほど手渡す情報は増えます。ロアブックが反映されない三つの原因を調べた回では、書き込んだ分がそのまま文脈の枠を食うことも数字にしました。

記憶の弱さを埋めようとするほど、渡す情報が増える。この二つは同じ蛇口につながっています。

危険かどうかを一言で答えるなら、使い方しだい、という平凡な答えになります。ただ、規約に書いてあることを知って選ぶのと、知らずに使い続けるのとでは、同じ「使う」でも中身がだいぶ違います。

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