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『誰かの何かにならなきゃダメですか?』 プロローグ&美希の話❶ 

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パンデミックの最中に社会人になった美希。いろんな選択を諦めざる終えなかったあの時と今、新しい選択肢に戸惑いと小さい頃のトラウマが美希の行く手を阻む。婚約中の彼氏からのある一言をきっかけに普通の生き方、自分の幸せについて考え始める沙織。ある日、そんな沙織に一本の連絡が。新卒から勤めた会社でずっと仕事一本で生きてきた真里のもとに恋の気配がやってくるが、そんな真里には忘れられない夢があった。
女性の生き方が増えていく中での彼女たちが出すそれぞれの答えとは____

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「あー。うるさいうるさい」

アラームを止めて、もう一回目を閉じようとしたが流石に起きる時間だった。ベットでゴロゴロしながら朝一番に開くのはInstagramのストーリー。
まあ大体が月曜日が憂鬱だという内容か、土日のそれぞれの華やかな休日の記録だろうが。

畑瀬 美希。26歳。21卒。会社員。最近流行りのMBTIはINFPで一言でまとめるとメンタルが弱いらしい。何か学生時代、輝かしい功績があるかと聞かれても何もない。それなりに勉強して、それなりに頑張って今は普通の社会人だ。
ただ、コロナが一番猛威を振るっている時期に就活が被って思いもしなかった業界に飛び込んでしまったことは確かだけど。

とりあえず、このままゴロゴロしていると流石に遅刻するので起きていく準備をしようとキッチンへ行き、電気ケトルに水を入れスイッチを入れる。白湯を飲まないといけないというマイルールを守るために。どこかの誰かのリールだったか、Tiktokだかで白湯は身体にいい。痩せやすい身体に。とか言っていたっけ。いつからかは忘れたけど毎日のルーティンに取り入れるようにしている。

お湯を沸かしている間に、ささっと着替えてメイクを済ます。コロナが明けたとはいえ、どこに行ってもパーテーションはついてるし、従業員はマスク必須。最近はアイメイクしかしていないので10分もかからない。メイクが終わった頃、沸かしたお湯が白湯になっているのでレモン汁を入れて、体に少しずつ流し込んでいく。レモン汁も何処かで見た情報で、効果があるかと聞かれてもよくわかっていないまま飲んでいる。

そのあとは手早く身支度を済ませ、飼い猫のココに行ってきますを言って家を出る。外に出ると、梅雨の独特なジメジメした暑さと夜に降ったであろう雨の匂いがする。気分が上がらないなあと思いながらも、いつものようにイヤホンを耳に突っ込み、いつもの道のりを歩く。

満員電車で椅子に座れる今週1週間分の運を使って、のんびりとInstagramを無駄に眺めていたとき、滅多に動かないコメントマークに❶がついた。沙織だ。
沙織は近所に住んでた幼馴染、幼稚園からの一緒で人見知りの私が唯一心を許している親友。彼女は今、沖縄のリゾートホテルで働きながら、大好きなシュノーケリングをして週末を過ごしているようだ。

『来週末、東京行くんだけど会える?話したいことがあって』
「久しぶりー、夜ご飯だったら行けるけど。どこがいい?」
久々に会える喜びを一生懸命抑えて、返信した。だって自分だけ舞い上がってたら恥ずかしい。彼女はたくさんの友達がいるし私と違って人気者。
沢山予定がある中で時間を割いてくれるのが申し訳ないくらいだ。
『個室がいいかなー。』
「いいけど、そんな込み入った話?」
『うーん。そうでもないけどちょっと相談。』
「そかそか、わかったじゃあ来週末。いつもの品川駅のところね!」

いつも違う沙織の返信に少し戸惑いながらも、久々に今週の仕事を頑張る目的ができたのでその後の足取りは早かった。

私の職場は地元のスーパーで今日は第三土曜日、いつもに増して緊張感が漂うせいかさっきまでの軽い足取りはいつの間にか鉛をつけたようなものに変わっていた。学生の時は知りもしなかったが、土日のスーパーは戦場だ。
穏やかな週末などあった試しがない。

今日をどう乗り切ろうかと頭をフル回転させながら、開店準備に向かった美希だった。










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