占い師天童美沙対火吹き男爵・雨降れ祭り
占い師天童美沙と日美香は、自宅の高級マンション近くの山の空き地に立っていた。
二人とも携帯用の白い天女の羽衣を身に着けており、手には魔法の箒を持っていた。
美沙は金の箒を持ち、日美香は銀の箒を持っていた。
携帯用の白い天女の羽衣は、空を飛ぶ力を持ち、雨風を防ぐ力を持っているのだ。
万が一の場合に備えて、落下防止のために身に着けたのだ。
美沙は金の箒に跨り、ゆっくりと空に向かって舞い上がっていく。
日美香も銀の箒に跨り、その後を追うようにして空に舞い上がっていった。
二人は、A村へ向かっていた。
A村から美沙へ雨降れ祭りを行ってほしいという依頼があったのだ。
A村へは過去に数回行って雨を降らせていた。
「やっぱり美沙姉様は、魔女だったんですね。だって空飛ぶ箒を持っているんですもの」
「あら天女の羽衣も持っていますわよ」
「ああ、なるほど」
「魔女でもあり、天女でもあり、仙女でもあるのよ」
「どう違うんですか」
「呼び方が違うでしょう」
美沙は、あっさりと言う。
「変な理屈ですわね。まあ、いいですわ」
夏の風が、優しく吹いて気持ちいい。
一時間ほど飛ぶと、A村の役場が見えてきた。
その近くの広場で、雨降れ祭りを行うのだ。
「降りるわよ」
美沙は、そう言うと、ゆっくりと広場に舞い降りた。
日美香も後に続いてゆっくりと広場に舞い降りる。
村人達は、天から降りてきた二人の天女を不思議そうに眺めていた。
村長の簡単な挨拶が終わると、美沙は、設置された木製の台に上がった。
美沙は、紫色の服の中から金色の鉄の扇子を取り出した。
美沙は、金色の鉄の扇子を開くと、天に向かってクルクルと回し始める。
カラカラに乾いていた大地は、雨を欲しているように思えた。
雲一つなかった空に、どこからともなく黒い雨雲が湧き出てきた。
雨が降り出した。
村人達の喜ぶ声が上がった。
しばらく雨が降り続いた。
久し振りの雨は、村人達の心を潤したようだ。
美沙と日美香は、天女の羽衣を身に着けていたので雨には濡れなかった。
その時、村人達の悲鳴が上がった。
広場の入口に太った男が現れて火を吹き出したからだ。
「ああ、あれが火吹き男爵なのね」
美沙が呟いた。
A村から雨降れ祭りの実施と火吹き男を何とかしてほしいという依頼があったのだ。
「日美香、村の皆さんを安全な場所に避難させて」
「承知」
日美香はそう叫ぶと、村人達を避難させ始めた。
「気にいらねえなあ。雨を降らせるなんて気にいらねえなあ」
火吹き男爵は、そう言うと、美沙めがけて火を吹きながら突進してきた。
美沙は、フワリと身をかわすと、金色の鉄の扇子を振って衝撃波を火吹き男爵にぶつけた。
火吹き男爵は、数メートル吹っ飛んだが、すぐに立ち上がった。
「そんなに熱いのが好きなら、これでどうよ」
美沙は、天を指差すと右手を振り下ろしながら叫んだ。
「雷電ドーン!」
雷が火吹き男爵を直撃した。
火吹き男爵は、気絶したが、しばらくして立ち上がるとよろけながら去っていこうとした。
「困っているのなら、相談に乗るわよ」
美沙が事務的に言うと、火吹き男爵は、コクリと頷いた。
「日美香、帰りますわよ」
「承知」
美沙と日美香は、空飛ぶ箒に乗って帰っていった。
火吹き男爵火山太は、失業して生活に困り村人達とトラブルを起こしていたのだ。
その後、美沙の紹介で、火吹き男爵火山太は、サーカスのオーナーの所で働くことになった。
サーカスのオーナーは、サーカスで火吹きのパフォーマンスを期待していたのだ。
このサーカスのオーナーは、エネルギー関連の会社も経営しており、火吹き男の火吹き能力を上手く活かせるのではないかと考えたらしい。
火吹き男爵は、サーカスで火吹きのパフォーマンスを披露し、人気者になった。
「まあ、自分の能力を社会のために活かせるということは良いことではないかしら。ねえ日美香さん」
「やだあ、日美香さんなんて、くすぐったいですわ。美沙お姉様」
日美香は、嬉しそうに言うのであった。
【終わり】
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