新未来世界からこんにちは第15話飛男の話
【あらすじ】20世紀の日本に住む大学生の茶倉と竹馬が子孫のゼモン達とともに円盤に乗って50世紀にやってきた。ゼモンの家でくつろいだ後、ゼモンの息子の飛男が住む大型円盤の中にやってきた。
第15話 飛男の話
家の入口で女性タイプのロボットであるビーナスが待っていた。
「皆様ようこそいらっしゃいました」
精巧に作られたその姿は、遠くから見るとロボットには見えない。
目は大きく、鼻がすっと上を向いており、なかなかの美形であった。
ビーナスの姿を見たバックスが嬉しそうに鼻を鳴らす。
ロボットにも異性に対する感情が備わっているらしい。
バックスとビーナスは手をつなぐとロボット言語で話し始めた。
飛男は、二台のロボットを笑いながら、ちらっと見ると、家の中へ入って行った。
その後にゼモン達が続いた。
卵形の家の中は思った以上に広々としており、紺色の天井と壁が中にいる者の気持ちを落ち着かせた。
部屋中央にある八角形のテーブルを囲むように全員が座ると、ブルーの服を着た飛男が口を開いた。
「はじめまして長男の是門飛男です」
横に座っていたショートカットの美女が、春風のように朗らかに笑いながら、「妻の薫です」と言うと、その横にいた少年を見て、
「これが息子の航一です」と紹介した。
賢そうな顔の少年がペコっと頭を下げた。
「茶倉光一です」
「竹馬友和です」
二人が簡単な自己紹介をすると、
「何か飲み物を持ってきて」と、薫がビーナスに言った。
今までバックスと話していたビーナスが、さっと動くとバックスも後に続いた。
「この人達ね、ミューとギンガしか飲んだことないのよ」
エレナがやや同情するように言った。
「せっかく未来に来たんですから、もっと色々な飲み物を味わって下さいよ」
そう言うと飛男が二人の方を見た。
「ところで未来へ来た感想はどうですか?」
飛男が二人のジーンズ姿を珍しそうに見ながら尋ねた。
「そうですね。まだ来たばかりですけど、ユートピアって感じですかね」
茶倉が答えた。
「我々はこの世界が普通だと思うんですけれど、具体的にはどういう所なんでしょうか?」
今度は、竹馬が喋り出した。
「やはり何と言っても食べるために働く必要がないことですよ。俺達の世界では、お金を稼ぐために好きでもない仕事をやらなければならない人達が多いんですよ。今は不況で仕事すらできない人達が街中にあふれており深刻な社会問題になっています」
飛男は、失業という状況にピンとこないのか首を傾げた。
「ところでゼモンから聞いたんですけど、未来では生活を支える労働はロボットがやり、人間達は社会活動を行っているらしいんですけど、飛男さんは何をやっているんですか?」
茶倉が尋ねた。
ビーナスとバックスが、飲み物を持ってきた。
茶倉と竹馬の前に置かれたのは、金色の液体であった。
薫が「どうぞ」と言って勧めた。
茶倉が飲むのを見て竹馬も飲んだ。
その後、二人は何とも言えない心地良さを感じた。
ゼモンがニヤニヤしながら言った。
「それは元気を出すドリンクだよ。力が出てくるよ」
二人の様子を見ていた飛男が話し出した。
「我々は食べるために働く必要がない分、自由に色々なことをする時間がたっぷりあります。私は普段歴史の研究をしています。最も関心が高いのは二十五世紀から現代までの歴史ですね。依頼があれば講演も行います」
「う~ん、優秀なんだな」
竹馬が感心した。
「未来人は優秀な人が多いですよ。個々の能力が優れていると言うよりも、地球自体の進化により地球人も進化したからです」
【続く】
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