ビタミンとプロテインで変わる尿の色と匂い
尿の色や匂いは、意外と多くの情報を教えてくれます。
マルチビタミンやプロテインを飲みながら、自分の体で感じたことをお伝えします。
尿の色は健康状態のバロメータ
毎朝のトイレは、自分自身の体調を知るための「小さな観測所」のようなものです。
尿の色や匂いは、その日食べたものや飲んだもの、そして体の代謝の状態を驚くほど映し出します。
最近、自分の体を使ってある「観察」をしていました。
それは、サプリメントなどを摂取した際の変化です。
マルチビタミンが変える「色」と、届かない「匂い」
最近、ビタミンのサプリメントが本当に自分に必要かどうかを見極めるため、しばらくの間マルチビタミンを試しています。
主観的評価ですが、包装の単位でもある60日くらい飲むと、大まかな評価はできるかなと思っています。
そのサプリメントを飲み始めてから、尿の色が少し黄色みを帯びた色に変わる気がしていました。
マルチビタミンを飲むと尿が黄色くなるのはよく知られています。
ビタミンB2(リボフラビン)には特有の黄色があり、余分な量が尿として排出されると色が変わるためです。
私もてっきりその影響だと思っていました。
ところが包装を確認すると、含まれていたビタミンB2は1.4mgでした。
この量であれば、尿の色がはっきり変わるほどの影響は大きくないようにも思われますが、個人差もあり、別の要素も関係している可能性もあります。
同様に、ビタミンB1には特有の匂いがありますが、含有量は1.2mgと少なく、実際その匂いもまったく感じませんでした。
マルチビタミンとはいうものの、どれも含有量は控えめで、安全性には配慮された設計なのでしょうが、効果の実感は少ないかもしれません。
せっかくなので、60日間飲んでみます。
自分のことながら、買うときはちゃんと確認しなさいですね。
「昨夜プロテインを飲まなかった」という答え合わせ
その後、あらためていつも少し感じていた「ある匂い」が消えていることに気づきました。
理由はすぐに思い当たりました。
昨夜は筋トレをする時間が遅くなってしまい、プロテインを飲むのを控えたのです。
夜遅くにプロテインを摂取すると、消化や代謝の影響か夜中に何度か目が覚めてしまうことがあるため、昨夜は睡眠を優先しました。
「プロテインを飲まない朝は、あの独特の匂いがしない」。
つまり、尿の匂いの変化は摂取したタンパク質量と関係している可能性があります。
この実体験こそが、尿の匂いの正体を物語っています。
国家試験の記憶と、無臭の尿素
ここで、ふと過去の薬剤師国家試験を思い出しました。
ある回の試験で「尿素」が出ました。
「世界で初めて人工合成された有機化合物」を構造式の選択肢の中から選ぶという問題でした。
当時、その問題を見て、「尿素って、尿素と言うけど無臭なんだよね」と思ったことを覚えています。
そういえば、先日オープンキャンパスでも尿素を使った実験を行いましたが、誰一人として「臭い」と言った人はいませんでした。
もし尿素そのものに匂いがあるのなら、実習室はさぞかし騒がしかったはずです。
匂いの真犯人は「一歩手前」の物質
では、なぜプロテインを飲むと尿が匂うのでしょうか。
その正体は尿素そのものではなく、その前段階の代謝過程で生じるアンモニアや硫黄化合物などの窒素代謝産物にあります。
摂取したプロテインのうち、筋肉の合成などに利用されなかった余剰分は、分解される過程でアンモニアを生じます。アンモニアは肝臓で尿素に変換されますが、その過程で生じる関連物質や尿中の窒素代謝産物、さらに排尿後の分解によって生じる物質が匂いの原因になります。
また、プロテインに含まれるメチオニンなどの含硫アミノ酸が代謝されると、独特の匂いを持つ物質が生まれます。
これらが尿と一緒に排出される際、あるいは排出後にわずかに分解されることで、あの独特の匂いとして立ち上るのです。
プロテインを飲んで尿が少し匂うのは、体がタンパク質を代謝した結果ともいえます。
今朝は、改めて自分の体の中で起きている生化学反応の面白さを再確認しました。
まとめ
・尿の色や匂いは、食事やサプリメントの影響を受けることがある
・マルチビタミンによる尿の黄変はビタミンB群が関与している可能性がある
・プロテインを飲まなかった翌朝は、独特の尿の匂いが弱くなった
・尿素そのものは無臭で、匂いの原因はアンモニアや硫黄化合物などの代謝産物である
・自分の体を観察すると、生化学反応を身近に感じることができる
