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GLP-1作動薬によるダイエット

糖尿病治療薬として開発されたGLP-1作動薬は、現在ではダイエット目的でも広く知られるようになりました。
一方で、その普及は供給不足や適応外使用など、さまざまな問題も引き起こしています。

GLP-1作動薬による炎上

2023年、あるお笑い芸能人がリベルサスで減量に成功した体験談をSNSで発信し、炎上しました。
リベルサスは本来2型糖尿病の治療薬であり、当時は供給不足も懸念されていた時期です。
日本医師会や日本糖尿病学会が安易な「GLP-1ダイエット」に注意喚起を行っていた中での発信だったため、批判が相次いだのです。
これを受け、所属事務所は「一部不適切な表現があった」として動画を削除したということがありました。

GLP-1作動薬の作用
GLP-1作動薬は、正式にはGLP-1受容体作動薬といいます。
この薬は、食事の際に小腸から分泌されるホルモン「GLP-1」の働きを薬で再現するものです。
主な作用は三つあります。
血糖値が高いときだけインスリン分泌を促すこと、胃の動きを遅らせて食後の血糖上昇を抑えること、そして脳に直接働きかけて食欲を抑えることです。
これらが組み合わさることで、血糖管理だけでなく体重減少にも効果があることが報告されています。

GLP-1作動薬販売の歴史
GLP-1作動薬は、日本では2010年に1日2回注射タイプが初登場し、その後1日1回注射タイプの発売、週1回注射タイプの発売と利便性が向上していきました。
2021年には世界初の経口薬「リベルサス」が発売されました。
この発売でGLP-1作動薬を使用した治療の心理的ハードルが下がることになり、治療の選択肢が大きく広がることにつながりました。

GLP-1作動薬の痩身への利用
2010年代後半から美容クリニックなどの一部医療機関が海外承認の肥満治療薬を個人輸入し、「GLP-1ダイエット」が広まりました。
なお、未承認薬の個人輸入による使用は、使い方を誤ると薬機法上の問題が生じる可能性があります。
この後、2020年頃に週1回注射の「オゼンピック」がSNSで拡散されたことで、美容目的の利用が急増しました。
その後にはGLP-1だけでなく、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)にも作用するマンジャロが発売され、これらの薬剤がダイエットに利用されました。
しかしこれが糖尿病患者への供給不足につながり、冒頭で述べた学会や厚労省が適応外使用の自粛を求める事態となりました。
現在は、同じ成分の薬剤が「ウゴービ」「ゼップバウンド」など正式な肥満症治療薬として整備され、適切な医療提供体制が構築されつつあります。
ここで少し補足します。
オゼンピックとウゴービはどちらもセマグルチドを有効成分とする薬ですが、オゼンピックが2型糖尿病治療薬であるのに対し、ウゴービは肥満症治療薬として承認されており、適応が異なります。
同様に、ゼップバウンドはマンジャロと同じチルゼパチドを成分とする薬ですが、マンジャロが2型糖尿病治療薬であるのに対し、ゼップバウンドは肥満症治療薬として承認されています。
このように同じ有効成分でも、適応が異なれば別の薬として承認・流通することがあります。
中身が同じでも、適応が異なれば別の薬剤として扱います。

薬剤師として感じたこと
私がかつて勤務していた薬局は、糖尿病専門医のクリニックの近隣にありました。
また、その薬局はその地域の中でGLP-1作動薬を払い出す数が最も多い薬局でした。
糖尿病の薬は、いろいろ処方されますが、GLP-1作動薬は経口薬のリベルサスと注射薬のマンジャロが多く処方されていました。
ただし、マンジャロが合わない患者さんにはオゼンピックが処方されるといったケースも見られました。
内服か注射かの選択は、医師が患者さんの生活スタイルをていねいに聞いた上で決めていたと理解しています。
注射薬は、痛みを伴いますが週に1回の投与で終わります。
内服薬は、痛みはありませんが、毎日朝一番に薬を服用する必要があり、服用時の水の量が決められており、食事するまでの間隔を30分以上開ける必要があります。
また、糖尿病の治療である以上、患者さんは多くの場合体重を減らすことも目標のひとつです。
しかし、薬を使っても思うように体重が減らない方もいらっしゃいました。
また、副作用としての吐き気(悪心)がひどく、内服も注射も続けられないという方も一定数いました。
GLP-1作動薬は効果の高い薬ですが、すべての人に合うわけではないのです。

リバウンドという問題
痩身目的でGLP-1作動薬を使用していた方が薬をやめると、リバウンドが激しいという話をよく耳にします。
これは体質による部分もありますが、薬だけに頼るダイエットの限界を示しているとも言えます。
食習慣や生活習慣の改善を伴わないまま薬で体重を落としても、やめた途端に元に戻りやすいのです。
GLP-1作動薬はあくまで治療の手段であり、生活習慣の見直しと組み合わせてはじめて意味を持つものだと思います。

まとめ
・GLP-1作動薬は糖尿病治療薬として開発され、体重減少効果でも注目された
・美容目的での利用拡大により、糖尿病患者への供給不足が問題となった
・同じ成分でも糖尿病治療薬と肥満症治療薬では適応や名称が異なる
・実際の治療では効果だけでなく、副作用や個人差への配慮も必要である
・薬だけに頼らず、生活習慣の改善を組み合わせることが重要である


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