AIへの指示、「察してちゃん」で損してない? 出力が変わる、プロンプトに入れたい4項目
「バナーに入れるキャッチコピー、いい感じに作って」
AIにそう指示して、出てきた案をひととおりチェックする。
なんだか薄っぺらい。
使い回されたような表現。
「AIのコピー作成能力ってこんなものなのかな…」
そうモヤモヤした経験ありませんか?
そんな時。
AIを見限る前に、ちょっと見直してほしいことがあるんです。
それは、AIに送った「指示」です。
うまくいかない指示には、「察してちゃん」が隠れている
先日「AIって使えなくない? 全然いい案を出してくれない」と言う主人に、実際に使ったプロンプトを見せてもらいました。
画面にはこうありました。
「いい感じのキャッチコピーを作って」
……うーん、なるほど。
誰に向けたコピーなのか。
何の商品なのか。
どんな印象を与えたいのか。
何文字必要なのか。
これらの情報は、きっと主人の頭の中にあったはずです。
でも、AIに渡された文章には一文字も書かれていない。
「いい感じで」とざっくり頼むとき、私たちは無意識に、自分の頭の中を察してもらおうとしているんです。
もしくは、「AIがいい感じに察してくれる」と思ってしまう。
とはいえ、人のことは言えません。
自分のプロンプト履歴をさかのぼったら、
「もっとおしゃれに」
「なんか違う」
「もっと良くして」
なんて、曖昧表現のオンパレード。
「もっと良くして」なんて言われても、AIからすれば「どこを、どう?」という話ですよね。
AIは「今日入社した優秀な新人」
そう思えば、書くことが見えてくる
私はスーパーマーケット勤務を経てWebデザイナーになりました。
その新人時代、先輩にこう言われたことがあります。
「この売場、いい感じにしといて」
いい感じって、どんなん…!??
特売品を目立たせること?
商品をきれいに並べること?
商品の周りを造花で飾ればいいのか…?
正解がわからないまま作業したら案の定、
「何だ、このセンスない売り場!」
と怒られ、見事に全部やり直しに…!
AIに曖昧な指示を出すのは、あの日の先輩と同じことをしているわけです。
(先輩をディスってるわけではないのですが…笑)
私はAIを「今日入社した、非常に優秀な新人」だと考えています。
仕事はむちゃくちゃ速い。
知識も豊富でできることは無限大!
ただし、あなたの案件も、クライアントの好みも、これまでの打ち合わせの経緯も、何ひとつ知りません。
言葉にしていない意図まで汲んでくれる、長年の仕事仲間ではないんです。
指示に入れるのは「背景・相手・目的・条件」の4つだけ
ではAIに伝わる指示って、どう書けばいいのか。
大丈夫です。
まずはこの4つを伝えるだけで、出力結果は大きく変わります。
✅背景:何の案件で、何を作るのか
✅相手:誰に届けるのか
✅目的:どう感じて、どう行動してほしいのか
✅条件:媒体、文字数、トーン、必須要素、NG表現、案数
たとえば「いい感じのキャッチコピーを作って」のままだと、返ってきやすいのはこういう案。
・毎日に、おいしい幸せを。
・心と体にやさしいパン。
どのパン屋にも使えそう。
つまりどのパン屋にも刺さらない無難100%の案ですね。
では、先ほどの4つの情報を足してみましょう。
30代の子育て中の女性が主な顧客の、
無添加ベーカリーのチラシ用キャッチコピーを5案作成してください。
忙しい朝でも家族に安心して食べさせられるパンだと伝え、来店につなげるのが目的です。
20文字以内、安心感と手作り感を重視。
価格の安さや、健康効果を断定する表現はNG。
すると、
・家族を想う朝に、焼きたての安心を。
・バタバタの朝ほど、安心をひとくち。
・家族に食べてほしいから、素材からちゃんと手作り。
・「おいしいね」で始まる朝が、好き。
・毎朝の「いってきます」に、無添加パン。
と、ターゲットの生活に寄った方向へ生成結果が変わります。
AIが急に賢くなったわけではなく、
こちらが「どこへ向かってほしいか」を示したから、AIが能力を使う方向をしっかりと絞れただけ。
デザインの指示も同じです。
「整体院のバナー案を作って」と伝えたら、青と緑の清潔感のある、どこかで見たデザインに落ち着いてしまいます。
ではこんな指示ならどうでしょう。
地域密着の整体院の、初回体験キャンペーン用Instagramバナーのレイアウト案を3パターン作成してください。
ターゲットは、長時間のデスクワークで腰がつらい40〜50代。
「自分のことかも」と感じて、プロフィールのリンクから予約してもらうのが目的。
必須文言は「初回体験」「予約はプロフィールのリンクから」。
不安をあおる表現や、効果を断定する表現はNG。
清潔感は保ちつつ、医療機関ほど堅くしない方向で。
自分でも要件が固まっていないときは、無理に完璧な指示を書かなくて大丈夫です。
プロンプトの最後に、こう一文を足します。
情報が不足していたら、作り始める前に確認の質問をしてください。
するとAIのほうから
「主なターゲットは誰ですか」
「避けたい表現はありますか」
などと聞いてくれます。
完成品を作らせるだけでなく、要件整理の相手にもなってもらうんです。
指示がまとまらないなら、頭の中の整理されていない単語をどんどんAIに投げかけて、
このメモから、キャッチコピーを作成するためのプロンプトを作成してください。
と指示から作ってもらうのもありです。
AIへの指示力は、そのままディレクション力になる
「背景・相手・目的・条件」って、人に仕事を頼むときの基本、そのものなんです。
これまでお客様やパートナーさんに、作業をお願いする場面が何度もありました。
うまく伝わらなかったときの原因を振り返ると、ほぼ毎回「自分の頭の中にある基準を、言葉にしていなかった」ことに行き着きます。
AI相手の失敗と同じです。
「察してちゃん」になってました。
指示を丁寧に書くとは、長いプロンプトを書くことではありません。
何を作りたいのか。
誰に届けたいのか。
何を良しとするのか。
曖昧だったものを、分かりやすい言葉にする作業です。
だからプロンプトを書く練習は、AIを使いこなす練習であると同時に、ディレクション力の筋トレでもあります。
しかもAIは、何度説明をやり直しても嫌な顔ひとつしない。
新人さん相手では申し訳なくてできない試行錯誤が、心置きなくできます。
練習台としては、これ以上ない相手ですね!
おわりに
AIの出力がいまいちなとき、疑うのはAIの能力より先に「察してもらう前提」の指示のほう。
AIは「私の頭の中が見えない、今日入社した優秀な新人」。
伝えるのは「背景・相手・目的・条件」の4つだけ。
ぜひ、AIに送った「うまくいかなかった指示」を開いて、4つの情報を書き足し、もう一度チャレンジしてみてください。
なんて、偉そうに書いてきましたが、私もいまだに急いでいるときは「もう少し良くして」と打ってしまいます。
そして案の定、良くならないという…笑
お互い、新人さんへの頼み方を丁寧に心がけていきましょう✨️
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