なぜ、今ホラーなのか。現役編集者が語る読者が今、喉から手が出るほど欲しがっている“許しの物語”|書籍化ログ(IPビジネス/web小説/出版/創作論/ホラー)
私たちは長いあいだ、
「間違えないこと」や「自分の選択に責任を持つこと」を
当然のように求められてきました。
失敗すれば自己責任。
選択を誤れば能力不足。
そんな空気の中で生きていると、
“正しく判断できる自分”でいようとする姿勢が、
ほとんど反射のように身についてしまいます。
けれど、その姿勢はいつしか
自分の視野を狭め、
自由に感じるはずの世界を 「正しさ」で塗りつぶしてしまう。
そうやって“正しさ”を武器にし続けるうちに、
自分自身を縛り、
他人にも厳しい目を向けるようになり、
気づけば心の余白がどんどん削られていく。
なぜ私たちは、 自分の心をすり減らしてまで、
そんな窮屈な立場を取ってしまうのでしょう。
その背景には、
「正しさ」と「自己責任」に洗脳され続けた、
現代人の潔癖な「正しさへの過剰適応」
があるのだと思います。
先日、編集者の箕輪厚介氏が動画配信の中で、
これからの時代について、こんな予測を話していました。
「自分の努力不足を責める“自己責任”の時代が過ぎ、
次に“社会や環境のせい”にする時代が来た。
そして今、人々はついに“お化け”のせいにする時代に向かっている」
この言葉を聞いた瞬間、
妙に腑に落ちました。
たしかに――と思ったのです。
たとえば、
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」
累計30万部を突破した大ベストセラーになりましたが、
あの本がこれだけ支持された背景には、
「社会や環境のせい」という論調への共感があるように思います。
「私が悪いんじゃなかったんだ」
「読めないのは、怠惰だからじゃなかったんだ」
そう思えた人が、
きっと多かったのでしょう。
そして、遡って平成。
この時代は、圧倒的な自己責任論でした。
努力不足。
根性不足。
能力不足。
私を含め、就職氷河期世代は、
この「自己責任論」に精神を抉られ続ける地獄を
経験した世代ではないでしょうか。
頑張れなかった自分が悪い。
報われないのは実力不足。
そんな言葉を、
何度も何度も飲み込んできた。
そして――
そのどちらの論調も通用しなくなった先にあるのが、
“お化けのせい”なのだそうです。
ここでいう「お化け」とは、
理屈で説明できないもの。
動画では「占い」も含まれていました。
つまり、
「自分のせいでもない」
「社会のせいでもない」
「人間には理解できない何かのせいだ」
そう思える世界観です。
この予測は、
これからのヒットIPや物語のあり方を、
かなり正確に射抜いている気がしました。
そもそもマーケットという場所は、
正しさを押し付ける場所ではありません。
人が「信じたい」と思っているものを肯定し、
信じさせてあげる場所です。
これだけ論理やデータが溢れ、
どんな悩みにも最適解が提示される世の中になっても、
私たちの心はちっとも晴れません。
それどころか、
いっそう追い詰められている。
なぜなら、
私たちが抱える本当の「悩み」とは、
AかBかという二択の行動がどうしても選べない、
理屈では割り切れない瞬間にこそ生まれるからです。
気持ちは「辞めたい」。
でも転職を選べない。
やるべきことはわかっている。
でも動けない。
人間の苦しみは、
「選択できない気持ち」にあります。
動画でも言及されていましたが、
ドナルド・トランプ氏の気持ちひとつで、
世界情勢や社会の常識がひっくり返ってしまう現代。
努力の方向性も、
人生の指標も、
定めにくくなっています。
人々はもう、
疑問を挟む余地がないほど閉じてしまった構造や、
論理的な成功哲学に、
疲れ果ててしまっているのかもしれません。
だから、
次に人の心を強く動かし、
熱狂を集めるIP。
それは――
圧倒的に理解できない狂気であり、
論理的思考を伴わないスピリチュアルであり、
人間がコントロールして楽しめる枠を超えた「畏怖」を持つ物語。
「この不幸は怪奇のせいである」
「この理不尽は、運のせいである」
そんなふうに、
人間に都合よく解釈できない存在へ、
あえて責任を転嫁する。
絶望的なまでの格差と、
逆転できない人生の“答え合わせ”が
簡単にできてしまう現代社会において、
それはとても自然なことなのかもしれません。
自分ではコントロールできないものに身を委ねて、
「これは自分のせいでもない」
「社会のせいでもない」
「人間には理解できない何かの働きなんだ」
そう思えることで、
少しだけ救われる。
ロジックに疲れ果てた現代人にとって、
その“許される感覚”こそが、
最大の救済になるのかもしれません。
箕輪氏は、
「時代を読む」ことにかけては天才的です。
そもそも“本”というものは、
noteの記事と同じで、
「内容が良いから読まれる」ものではありません。
これは、web小説の世界でも執筆者の多くが
メンタルを削るポイントでもあるのですが、
「読まれるもの=時代が求めているもの」
という残酷な事実があります。
作品そのものの価値だけではなく、
“今の空気に合うかどうか”が、
生死を分けてしまう。
箕輪氏は、
そこを誰より理解している人です。
最適なタイミングで、
最適な本を市場に投入するプロ。
ご自身の「死ぬこと以外かすり傷」はもちろん、
「多動力」「メモの魔力」「お金2.0」――
どれも、その時代の空気を捉えたベストセラーでした。
そんな驚異的な「時代を読む力」を持つ人の
IP予測なのです。
かなり精度は高いでしょう。
実際、現在の出版業界では
空前のホラーブームが来ています。
私はホラーが大好きです。
でも、まったく書けない。
だからこの潮流に乗るのは難しいのですが、
もし出版を目指していて、
ホラーを書ける人なら、
今はかなり大きなチャンスだと思います。
この動画の箕輪氏の発言から読み解けるのは、
「人間の魂」に直接触れてくる物語が
これから強いということ。
大好きな都市伝説の関暁夫さんや、
私が必ず観覧に行く稲川淳二さんの怪談ナイト、
スピリチュアル全開なコヤッキーチャンネルが
いっそう活気づく未来が見えます。
うれしい限りです♪
つまり、
「怖い」だけではないんです。
人間の理解を超えたものに触れたときに生まれる、
ざわつきや、救いや、祈りのようなもの――
そういう“魂が揺れる瞬間”を持ったコンテンツが、
これからの時代に求められていくのだと思います。
理屈を超えた恐怖や畏怖。
あるいは、
半径5メートルの日常の中でふと見上げる、
説明のつかない奇跡や
運がいい人の共通点。
そんな、人間の理解を超えた「お化け」的なIPこそが、
これから多くの人の心を肯定し、
深く静かな熱狂を生んでいくのだと思います。
皆さん、スピリチュアルの準備はできていますか?
時代の覇権を握るチャンスですよ!
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