黙々と働くカパ民へ、ご褒美のガルシャナ
※この記事は「わたしのディナチャリア」シリーズのひとつです。
シリーズの入り口(ディナチャリアって何?)はこちら。
※アーユルヴェーダを知らない人にこそ読んでほしい連載です。カタカナは意味を都度そえるので、わからなければ飛ばして、気楽にどうぞ。
このシリーズでは、白湯とか舌磨きとか、毎日の小さな習慣の話をしてきました。
でも今日のは、ちょっと違います。毎日はやらない。
わたしにとってガルシャナは、完全に「スペシャルケア」の位置づけ。
今日は時間もじっくりある、お風呂の時間を思いっきり楽しむぞ〜という日。
あるいは、めちゃくちゃ頑張ったあとの、自分へのご褒美。
そういう日にだけ、そっと取り出す特別な儀式です。
わたしのご褒美セット

まず、道具から。
絹の手袋(自分専用。ガルシャナ用のシルクのグローブ)
Kolakulathadi Churnam(コッタッカルの薬草の粉。インドで処方してもらったもの)
オイルウォーマー(オイルをじんわり温める陶器)
ボディ用オイル
これを並べただけで、もう「今日は特別な日だぞ」ってスイッチが入ります。
ガルシャナは、アビヤンガと「逆」
やり方は、お風呂場で。
まず、絹の手袋で体を擦っていきます。
これがガルシャナ。乾いた肌に、シルクの手袋でシャッシャッと。
ポイントは、アビヤンガとは逆向きだということ。
オイルマッサージ(アビヤンガ)は、体の中心から手足の先に向かって塗り込んでいくんですが、ガルシャナはその逆。
指先から、体の中心に向かって擦っていきます。
しかも、毛の流れに逆らうように、しっかりと。
これ、やってみると分かるんですが、逆向きに擦るのがすごく気持ちいい。眠ってた皮膚が「え、なになに?」って起きてくる感じがします。
ちなみに、なぜ絹(シルク)なのか。
絹の手袋で擦ると、その摩擦で余分な脂肪(メーダス)を削り、カパ(重さ)を鎮めると言われています。血行や代謝が上がるから、セルライト・むくみ・冷えにもいいし、肌のキメも整って、色艶までよくなる。
絹のたんぱく質が肌になじんで、脂肪にはたらく……なんて話も聞きます。とにかくこの“自分専用のシルク”が、わたしのガルシャナの相棒です。
体全体をひと通り擦って、「なんとなく、毛穴が開いて、オイルがしっかり入りそうだな〜」と感じてきたら、次の段階へ。
そして、アビヤンガ、からのウドワルタナ
肌が準備できたら、今度は温めておいたオイルで、アビヤンガ。
サッと塗り込みます。
ガルシャナで毛穴が開いてるから、オイルの入り方が全然違う。
そして、Kolakulathadi Churnam がある日は、ここでさらにもうひと手間。
粉とオイルをペースト状に混ぜて、またガルシャナと同じように、指先から体の中心へ刷り込んでいきます。これがウドワルタナ。
粉を使った、アーユルヴェーダのマッサージです。
このチュルナム、原料は馬豆(クルッタ/ホースグラム)や黒豆、大麦、ナツメ、ヒマラヤスギ(デーヴァダール)、菖蒲(ヴァチャ)、亜麻、ヒマシ……といった、薬草と豆をブレンドした粉。
伝統的には、脂肪やカファ(水と土の重い性質)を落とし、むくみ・こわばり・痛みをやわらげ、体を温めるために使われてきたものだと言われています。とくに、粉で擦るウドワルタナは、余分な脂肪へのアプローチとして古くから使われてきたそうです。
そして、本場インドのアーユルヴェーダ施設に“入院”したときにも、このウドワルタナを受けました。
あれがまた、気持ちよくて。
セラピストさんが2人がかりで、体が赤くなるくらい、しっかり擦るんです。自分でやるのとは、迫力が段違い。
すっかりハマってしまった、あのときの話は、インド滞在記のほうに書いてます。
皮膚が、起きる
でね、このウドワルタナが、すごいんです。
チュルナムにペッパー(胡椒)でも入ってるのか、皮膚に程よい刺激があって。擦っているうちに、どんどんポカポカしてきて、「シャキッ!」とします。
ぼんやりしていた皮膚の感覚が、起きてくる感じ。
体が生まれ変わるみたいな感覚なんです。
お風呂上がりは、とにかくスッキリ。
そして、体のポカポカがずっと続きます。
冷えとは無縁の、内側まで温まる感じ。
そして、いちばんうれしいのが翌朝。
体じゅうが、軽い!
むくみが抜けたのか、脂肪が動いたのか、理屈はどうあれ、鏡の前で「あれ、ちょっと細くなった…?」ってなるんです。
気のせいかもしれないけど、いや、たぶん気のせいじゃない。
毎日やってる白湯や舌磨きが「整える」ケアだとしたら、ガルシャナは「肌と感覚を生き返らせる」ケア。だから、ご褒美なんです。
……ただ、またお風呂場が惨状に
はい。ここで、いつものやつです。
アビヤンガの回で、オイルまみれのお風呂場を「家族はゲンナリ」って白状しましたが。今日はそれに、薬草の粉が加わります。
しかも、ウドワルタナのあと、そのまま湯船にドボンするんです。
だから油と一緒に、泥みたいな粉の粒が、お湯にぷかぷか浮く。
ふつうなら「うわ……」ってなる光景だと思うんですが。
わたしは、その湯に浸かって、うっとりしてます。
湯船を出れば、オイルで浮いたヘリ、ギトギトの椅子、粉の混じった排水溝。オイル単体より、確実にタチが悪い。これまた、詰まる寸前です。
わたしは生まれ変わって、お風呂場は死んでいく。
掃除の時には私もゲンナリ。嫌われないように、自分で掃除します。
*ウドワルタナをするときはネットを排水溝にセットした方がいいです。
だから、毎日じゃなくていい
……という惨状の件も含めて(笑)、正直、これを毎日やる元気はありません。道具も工程もそれなりにあるし、毎日にしたら、たぶん「面倒」が勝ってしまう。
スペシャルケアは、スペシャルなままがいい。
頑張った日。時間がある日。ちょっと自分を甘やかしたい日。
そういう日に、絹の手袋と薬草の粉を取り出して、お風呂でゆっくり自分を生き返らせる。
この「特別感」があるから、わたしはこれを、ずっと楽しみにしていられるんだと思います。
気持ちいいから、楽しいから、やってます。
次に頑張ったら、またやろう。そう思えるくらいが、ちょうどいい。
全カパ民に、届け
最後に、ひとつ思うこと。
ガルシャナもウドワルタナも、やってることは「余分な脂肪と、重だるさを削り落とす」ケア。……これって、わたしたちカパ民のための、最高のご褒美ケアなんじゃないでしょうか。
重い。むくむ。なんだか停滞する。冷える。刺激も欲しい。そういう体質と、長いこと付き合ってきた人ほど、たぶんこれはハマります。
そもそもカパの体って、安定してて、我慢強くて。こき使われてもいつも文句も言わず、黙々と働いてくれる。
そういう働き者の体なんですよね。
だからこそ、たまには思いっきり甘やかしてあげたい。
頑張った日の夜に、絹の手袋と薬草の粉で、自分をまるっと生き返らせる。しんどい養生じゃなくて、ちゃんと「ご褒美」として。
だからこれ、全国のカパ民に届いてほしい。
いつも黙々とがんばってる、あなたの体へのご褒美に。
同じように戦ってる誰かの、お風呂時間がちょっと楽しみになったら、うれしいです。(お風呂場の惨状は、各自がんばって。笑)
90日間のアーユルヴェーダ実験、本編はこちら。
