【回復の記録㉔】 『普通』を知った日|初めて過去が見えた
回復の記録|鎧を脱ぎ、愛へ還るまで 24話目。
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回復の記録㉓ 人生で一番うまくいった選択|安心できる人と生きるということ
BGMを流しながらどうぞ。
大変だったね。
昔、周りの人からそう言われても、
どこか他人事のように聞いていた。
そして心の中で、
「私の大変さなんて、理解できるはずがない。」
そう思っていた。
理解されないつらさ。
共感だけしてもらっても、偽善に感じてしまい、優しさを受け入れることができないつらさ。
そういうものを抱えていた。
事実、大変な出来事はたくさんあった。
母がいなくなったこと。
家庭が壊れたこと。
安心できる居場所がなかったこと。
でも、それは「過去の出来事」であって、
「いつまでも引きずってるんじゃないよ」という周りからの圧があった。
「そのくらい普通」
「みんな、大変だよ」
そう言われ続けてきたから。
仕方なくそう思って生きていた。
だから、自分が傷ついているという感覚そのものを、少しずつ閉じていった。
私が知らなかったのは、「普通の暮らし」だった。

責められない会話。
急かされない環境。
会話のキャッチボール。
目を見て話すということ。
安心して眠れる夜。
不安がない日々。
疲れたら休めること。
心や体を大切に扱い、育てるということ。
やりたいことに思い切り挑戦できること。
失敗しても帰れる場所があるということ。
私という存在を丸ごと受け入れて、
喜んでくれる人たちがいるという場所。
両親がいて、家庭があるのなら─
24時間、365日、何十年か、
みんな経験しているはずの日々。
そんな『普通』の生活を、私は知らなかった。
そんな私は、
夫と暮らし始めても、すぐに安心できたわけではなかった。
結婚と同時に店を始め、毎日が必死だった。
ようやく軌道に乗ったと思えば、
引っ越しがあり、コロナで店の移転も経験した。
本当に落ち着けるようになるまでには、10年近くかかった。
ここ数ヶ月で、やっと少しずつ身体の力が抜けてきた。
過去を振り返った時、ずっと隣で支えてくれていたことに気づいたから。
少しずつ、安心できる時間が増えていった。
緊張しなくてもいい時間が増えた。

「何も起きない時間」の中で育っていった。
「今日はゆっくりしよう。」
そんなふうに思えるようになった。
怒られない。
否定されない。
優しい眼差しでただ隣にいてくれる。
その積み重ねが、私の中の「普通」を少しずつ書き換えていった。
そして最近、ふと思った。
「あれ……私、本当はすごく大変だったんだな。」
それまで押さえ込んできた感情が、
誰にも理解されなかった過去が、
急に輪郭を持ち始めた。
苦しかった。怖かった。不安だった。
ずっと、必死だった。
でも当時は、それが普通だったし、
誰も認めてくれなかったから、
自分でも無かったことにしていた。
親もまた、その親から受け継いだものの中で生きていた。
戦後を生きた世代。
我慢すること、大変なことが当たり前だった時代。
心よりも、生き延びること、何かを成し遂げることが優先された時代。
その中で育った人たちが親になり、私を育てた。
だから、誰か一人が悪かったという話ではないのだと思う。
時代には、時代の傷がある。
その波紋は、思っているより長く続くのかもしれない。
そのことはこの記事でも書いている。
だから私は、
自分の人生を「個人だけの問題」として考えられなくなってきている。
家庭のこと。
時代のこと。
親世代のこと。
そして、自分自身のこと。
それらが重なり合って、今の私がいる。
時代や、大きな流れから切り離して、
私という存在を正しく理解することは、きっとできない。
そう思うようになってきた。
回復とは、過去を書き換えることではない。
よく、
「あの頃の自分に『よく頑張ったね』と言ってあげて」と言われる。
でも私は、
優しい言葉をかけられることに慣れていないせいか、
自分にすら優しい言葉をかけてあげることができない。
そして、優しい言葉をかけるだけで癒すことができるなんて、簡単なことじゃない。
そんなのは思い上がりだ。そう思ってしまう。
優しい言葉だけで癒えるほど、人は単純じゃない。
だから今の私に必要なのは、
自分を無理に励ますことではない。
「あの頃は、本当に大変だった。」
その「事実」を、
ようやく自分自身が認められるようになったこと。
それだけでも、
回復の第一歩なのかもしれないと思う。

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回復の記録㉕ このつらさの原因|発達障害だったのかもしれない
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