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患者さんに会わない看護師|コールセンター看護師の仕事内容・働き方・給料・きついことを経験者が解説

この記事について

「患者さんに一度も会わない看護師の仕事がある」

病棟しか知らなかった頃の私は、想像もしていませんでした。

採血も点滴も身体介助もなし。使うのは、パソコンのみ。

「コールセンターって、座って電話するだけで楽そう」
転職前は、正直そんなイメージを持っていました。

実際に働いてみると、確かに負担は病棟よりかなり軽くなりました。

私は在宅勤務だったため通勤すらなく、残業もほとんどなし。残業が発生しても10分程度でした。

一方で、相手の顔色や表情、症状までも見えないなか、声と言葉だけで状況を把握する難しさがあります。

相談者の話から必要な情報を引き出し、状況を整理して、適切な案内につなげる。
さらに、会話を続けながらパソコンへ相談内容を記録しなければなりません。

決して「座って電話するだけの簡単な仕事」ではありませんでした。

それでも私は、医療行為をしなくても看護師としての知識や経験を活かせることに、大きなやりがいを感じていました。
機会があれば、また働きたいと思っている仕事の一つです。

この記事では、医療系コールセンターで看護師として働き、リーダーや教育業務も経験した私が、仕事内容・働き方・給料・大変だったことを本音でお伝えします。

「看護師は続けたいけれど、病棟以外の働き方も知りたい」
そう考えている方の参考になればうれしいです。


コールセンター看護師とは?

コールセンター看護師は、医療や看護の知識を活かし、電話やメール、チャットなどを通して相談者を支援する仕事です。
ただし、コールセンター看護師が電話だけで診断や治療を行うわけではありません。
勤務先が定めたマニュアルや対応範囲に沿って情報を聞き取り、必要な案内や担当部署への引き継ぎを行います。
同じ「コールセンター看護師」という求人でも、相談内容や対象者は異なります。
応募するときは、具体的な仕事内容を確認することが大切です。


受信業務と発信業務の違い

コールセンターの仕事は、大きく「受信」と「発信」に分かれます。

受信業務

相談者からかかってきた電話へ対応する仕事です。

  • 健康や症状に関する相談

  • 受診先の案内

  • 医薬品や医療機器への問い合わせ

  • サービス利用者からの質問

  • 苦情やクレームへの対応

私が経験したのも、相談者の話を聞き、必要な情報を整理して案内する受信業務が中心でした。

発信業務

看護師側から対象者へ電話をかける仕事です。

  • 自宅療養者の健康状態の確認

  • 服薬状況の確認

  • 保健指導

  • 受診勧奨

  • 医療機器を使用している方へのフォロー

同じコールセンターでも、受信と発信では仕事の進め方が異なります。
受信業務では、その場で相談内容を把握して対応する力が必要です。発信業務では、確認する項目や対象者があらかじめ決まっていることもあります。
求人を見るときは、受信と発信のどちらが中心なのか確認しておきましょう。


コールセンター看護師の主な仕事内容

1.健康・救急相談

自治体、保険会社、共済組合、ホームセキュリティー会社などが、利用者向けの健康相談サービスを提供していることがあります。
相談内容は、子どもの発熱、急な体調不良、どこを受診するべきかの相談などさまざまです。
看護師は相談者から必要な情報を聞き取り、勤務先が定めた範囲で、受診の目安や相談先を案内します。

2.医薬品に関する問い合わせ

製薬会社などの窓口で、医薬品に関する問い合わせへ対応する仕事もあります。

  • 薬の使用方法

  • 保管や取り扱い

  • 製品に関する情報

  • 医療従事者からの問い合わせ

  • 問い合わせ内容の記録や報告

私が経験したのは、受電を中心とした医薬品関連の問い合わせ窓口でした。
回答できる範囲は厳密に決められており、承認された資料やマニュアルを確認しながら対応します。
自分の知識だけで自由に回答するのではありません。
対応範囲を超える問い合わせは、社内の専門部署へ引き継いでいました。

3.医療機器に関する問い合わせ

医療機器メーカーの窓口では、患者さんや医療従事者から、製品の使用方法やトラブルについて相談を受けることがあります。

  • 血糖測定器などの使用方法

  • 在宅医療機器の操作

  • 消耗品の交換方法

  • エラー表示への対応

  • 製品トラブルの聞き取り

  • 担当部署への引き継ぎ

病棟や在宅医療で医療機器を使用した経験が、思いがけず役立つこともあります。

番外編:感染症やワクチンの相談窓口

感染症の流行時には、自治体や委託企業が専用の相談窓口を設置することもあります。
自宅療養中の症状やワクチン接種後の体調変化などを聞き取り、決められた基準に沿って案内します。
このような求人は、感染症の流行状況や社会情勢によって募集状況が変わります。


電話対応の流れ

私が経験した、受電中心の医薬品に関する問い合わせ窓口では、主に次のような流れで対応していました。

1.相談内容と対象者を確認する

最初に、誰からの問い合わせなのか(相談窓口の対象者か確認)、何に困っているのかを確認します。
相談者本人からの電話だけでなく、家族や医療従事者から問い合わせを受けることもあります。
製品名や使用状況など、その窓口で対応できる内容かどうかも確認していました。

2.必要な情報を聞き取る

相談者が、必要な情報を順番に話してくれるとは限りません。
不安が強い方は、話が前後したり、何から説明すればよいか分からなくなったりすることもあります。
相手の話を遮りすぎないようにしながら、回答や引き継ぎに必要な情報を一つずつ確認します。
顔色や動作を直接確認できないため、質問によって情報を補う必要があります。

3.情報を整理する

聞き取った内容を整理し、マニュアルや対応基準と照らし合わせます。
自分だけでは判断できない場合や、対応できる範囲を超えている場合は、上司や専門部署へ確認します。
病棟では、その場の状況に合わせて自分で動くことが多くありました。
一方、コールセンターでは、自分の経験を活かしながらも、決められた対応範囲を守ることが重要でした。

4.分かりやすく案内する

医療用語をそのまま使うのではなく、相談者が理解できる言葉へ置き換えて伝えます。
情報をたくさん伝えればよいわけではありません。
「まず、何をすればよいのか」
「次に、どこへ相談すればよいのか」
など、相手が実際に行動できるように整理して伝えることが大切です。

5.対応内容を記録する

相談者と話しながら、または通話後に、相談内容や案内した内容をパソコンへ記録します。
会話を聞く。必要な質問を考える。情報を整理する。パソコンへ入力する。
これらを同時に進めるため、慣れるまでは想像以上に頭を使いました。


実際に感じたメリット

1.身体的な負担が少ない

コールセンター勤務は、基本的にデスクワークです。
立ち仕事や身体介助がないため、病棟より身体的な負担を大幅に減らせます。
腰痛などの理由から病棟勤務を続けることが難しい看護師にとっても、選択肢の一つになると思います。

2.残業が少なかった

私の勤務先では、残業がほとんどありませんでした。
発生したとしても、対応内容の記録や引き継ぎを終えるための10分程度です。

3.在宅勤務ができた

私が働いていた職場は、在宅勤務が可能でした。
通勤時間がなく、仕事が終わった瞬間に自宅にいられるため、プライベートとの両立がしやすくなりました。
ただし、在宅勤務だからといって、自由に家事や育児をしながら働けるわけではありません。
作業場所や通信環境、家族の出入りなどについて細かなルールはありました。

4.医療行為への緊張が減った

与薬、点滴、採血など、直接的な医療行為はありません。
医療行為による事故への緊張や、勤務中ずっと誰かの命を預かっているようなプレッシャーは軽くなりました。
ただし、案内した内容が相談者の行動に影響するため、別の種類の責任があります。
「医療行為がないから、責任もない」という仕事ではありません。

5.説明力や接遇が身についた

電話では、表情や身ぶりを使えません。
言葉の選び方、声の速さ、間の取り方、相づちなどによって、相手が受ける印象が変わります。
医療用語を一般の方にも分かる言葉へ置き換える力も身につきました。
この経験は、その後、企業看護師として働くうえでも役立ちました。


「楽」だけではなかった、きついところ

1.相手の顔や症状が見えない難しさ

コールセンター看護師の難しさは、相談者を直接観察できないことです。
顔色、呼吸状態、動作などを確認できないため、具体的な質問によって情報を集める必要があります。
限られた会話から必要な情報を引き出すことは、慣れるまで簡単ではありませんでした。

2.厳しい言葉やクレームを受けることがある

相談者は、不安や焦りが強い状態で電話をかけてくることがあります。
ときには強い口調で話されたり、理不尽な要求を受けたりすることもあります。
相手の感情に寄り添いながらも、できることとできないことを冷静に伝えなければなりません。
一件の対応を引きずりすぎず、次の電話へ気持ちを切り替える力も必要です。

3.直接助けに行けないもどかしさがある

苦しそうな声を聞いても、自分がその場へ駆けつけて処置をすることはできません。
必要な相談先や受診につながるよう案内することしかできず、「もっと何かしてあげられたら」と、もどかしさを感じることもありました。
それでも、相談者が次に取るべき行動を整理し、不安を軽くすることも、大切な看護だと思っています。

4.会話と入力を同時に行う必要がある

相手の話を聞きながら、必要な質問を考え、パソコンへ内容を入力します。
会話とタイピングを同時に行うため、最初は頭が追いつかないこともありました。
入力の速さだけでなく、後から読んでも分かるように、内容を簡潔かつ正確に記録する力が必要です。

5.臨床技術を維持しにくい

点滴、採血、吸引、創傷処置などを行う機会はありません。
将来病棟へ戻りたい方は、臨床技術を使わない期間についても考えておいた方がいいかもしれません。
一方で、コールセンターでは、情報収集力、説明力、接遇、記録力、教育など、病棟とは違うスキルを身につけられます。


コールセンター看護師に向いている人

実際に働いた経験から、次のような方は向いていると思います。

  • 相手の話を聞くことが得意

  • 情報を整理するのが得意

  • 医療用語を分かりやすく説明できる

  • 冷静にコミュニケーションを取れる

  • 電話対応に強い抵抗がない

  • パソコン入力が苦にならない

  • マニュアルに沿って対応できる

  • 一件ごとに気持ちを切り替えられる

  • 身体的な負担を減らしたい

  • 在宅勤務やデスクワークに興味がある

  • 病棟以外でも看護師経験を活かしたい

話すことが得意な人だけでなく、相手の話を聞き、情報を整理することが得意な人に向いています。


向いていない可能性がある人

反対に、次のような方は慎重に検討した方がよいかもしれません。

  • 電話で話すことに強い苦手意識がある

  • 複数の作業を同時に行うのが苦手

  • パソコン入力を避けたい

  • マニュアルより自分の判断で動きたい

  • 厳しい言葉を長く引きずりやすい

  • 患者さんと直接関わりたい

  • 採血や処置などの看護技術を続けたい

  • 座り仕事が苦手

  • 対応件数や対応時間などの数値を意識することが苦痛

ただし、仕事内容やサポート体制は勤務先によって異なります。
一つの求人を見ただけで、「コールセンターは自分に向いていない」と決める必要はありません。


求人の探し方

私は、派遣の求人でコールセンター看護師の仕事を見つけました。
「派遣」と聞くと、デメリットが多い働き方だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、看護師免許がある方にとって、派遣はライフスタイルに合わせて働くための賢い選択肢の一つだと私は思っています。
特にコールセンターのように、病棟とは仕事内容や職場の雰囲気が大きく異なる仕事は、派遣から始めて、自分に合うかどうかを確かめることができます。

派遣で仕事を探すときは、ひとつの派遣会社だけで決めず、複数のサービスで求人や勤務条件を比較してみるのもおすすめです。

私が実際に登録した派遣会社や、派遣看護師として働いて感じたメリット・デメリットは、こちらの記事にまとめました。

時給2,500円・夜勤なし・フルリモートで働いた経験や、産休・育休の取得、出産手当金・育児休業給付金・傷病手当金を受け取った実体験についてもご紹介しています😄

派遣という働き方に興味がある方は、こちらもあわせて読んでみてください👇


未経験でも転職できる?

コールセンターで働いた経験がなくても、応募できる求人はあります。
私の職場でも、入職後に次のような内容を学びました。

  • 電話応対

  • 言葉遣い

  • サービスや薬品、製品の知識

  • システムの操作

  • マニュアルの使い方

  • 相談内容の記録方法

  • 模擬電話対応

ただし、「未経験歓迎」が、コールセンター未経験を指しているのか、看護師としての臨床経験も問わないのかは求人によって異なります。
応募条件や研修内容を確認しておきましょう。


給料は病棟より下がる?

給料については、私自身の経験をお話しします。
私の勤務条件は、次のようなものでした。

  • 派遣

  • 在宅勤務

  • 土日祝日を含むシフト制

  • 夜勤なし

  • 遅い日は22時までのシフトあり

  • 残業ほぼなし

  • 希望休を相談しやすい

  • 急な休みも全然OK

  • リーダー業務・教育業務あり

  • 常に受電しているわけではなく、システムが勝手に順番に回してくれるため、受電中以外は慌ただしくなく、学習などもゆっくりできました。

なんと、これで、時給は2,500円でした!

ボーナスはありませんでしたが、月収で見ると、病棟で働いていた頃の収入を超えました。
派遣の場合、働いた時間に応じて給与が支払われるため、休んだ分だけ収入が減る点には注意が必要です。

一方、条件を満たせば有給休暇は問題なく取得できます。
そして周りの派遣さんも私もみんな有給休暇はほぼ100%使っていました。
しかも、私は派遣で産休と育休を取得し、手当も受け取ることができました。
この経験については、次の記事で詳しくお話ししたいと思います。

もちろん、すべてのコールセンター看護師が同じ条件で働けるわけではありません。
夜勤手当や残業代がなくなり、病棟より手取りが下がる方もいると思います。
収入だけでなく、身体的な負担や自分の時間がどれくらい変わるのかまで含めて考えることをおすすめします。


最後に

私は、コールセンター看護師に転職してよかったと思っています。
病棟で身につけた知識を使って相談者の不安を軽くし、必要な行動につなげられる。
医療行為をしなくても、看護師として人を支えられる仕事でした。

病棟で働くことがつらいからといって、看護師に向いていないとは限りません。
必要とされる場所や、活かされる能力が違うだけかもしれません。
「看護師は続けたい。でも、今の働き方は続けられない」
そう感じている方にとって、コールセンター看護師は選択肢の一つになると思います。

私は転職を6回経験し、医療系コールセンターではリーダーや教育業務も担当しました。
ほかにも、健診センターや企業看護師など、病院以外の職場で働いてきました。

このnoteでは、病院以外で働く看護師の仕事内容、求人票だけでは分からないリアル、転職で後悔しないために知っておきたいことを、実体験をもとに発信しています。

「病院以外には、どんな働き方があるんだろう?」
「医療行為がない仕事でも、看護師経験を活かせるの?」

そう感じている方は、ほかの記事も読んでいただけたらうれしいです。

コールセンター以外にも、健診や企業看護師なども経験しました!
以下に経験談をまとめたのでご覧ください😄


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