空気が固まった日 ― 最後のプロジェクト・前編 ‖ #15-仕組み屋の記録帖
谷川です。
プロジェクトが失敗することもあります。
でも、現場の誰もが
「これはもうダメかもしれない」
と思いながら、
それでも走り続けることがあります。
私が開発職を離れるきっかけになった
「最後のプロジェクト」の記録です。
当時は語れなかったことを
今なら静かに書ける気がしています。
読み進める方は
そっと心の準備をして、お進みください。
※今回の登場人物はすべて仮名。
実体験をもとに
複数の経験を再構成して表現しています。
どうか広い心でお許しください🙏
🧑🤝🧑登場人物紹介はこちら
👇️前回のお話はこちら
📝今回のお話について
今回の話はこの流れで進みます。
🌕 空気が固まったプロジェクト
今も忘れもしない私の最後のプロジェクト。
「旧システムのリプレイスを!
期間は1年!!」
プロジェクトメンバーへ
号令があった瞬間、時が止まりました。

え?
……それ、本気で言ってます?
現場の全員が意味がわからず、
一瞬、空気が固まったのを覚えています。
長年取引のあるB社様。
老朽化した旧システムを刷新し、
ブリラントの販売/会計へ切り替えると。
私は肺炎入院明け2ヶ月で
要件定義の途中から参画しました。
(なんて、無茶すぎるアサイン…!)
🤝長年積み上げられた信頼ゆえに・・・
プロジェクトの主幹は
旧システムを長く支えてきた
「天の声(長年の功労者の一人)」。
天の声さんは
「一人で背負える範囲で
あれば必ず形にしてきた人」でした。
B社様の旧システムも
「設計〜開発〜保守」を一貫して担い、
今の形に育ててきました。
現場、B社様の信頼が厚く
「天の声さんが言うなら」
と言うのが当時の雰囲気。
今回はERPのブリラントの導入。
本来は業務の洗い出しを行い
旧システムと新システムの違いを
把握した上で整理が必須。
ところが…
B社様も仕様/業務については
「天の声さん」がいるから
御社にお任せしますと一言。
🌕 木蓮さんから、火の男へ
スラップ側の
プロジェクトマネージャーは木蓮さん。
かつてのERP事業の花園班の一人。
その後、別事業へ転属、コツコツ積み重ねて
今回初の大型案件のマネージャーに。
1年で導入という期間があり
「旧システムと同じですね?」と
要件定義という名の消化試合している状況。
要件定義の資料作りの中…
「同じ機能とのことですが、
旧システムではどうなってますか?」
「旧システムを見て、同じように設計を。」
「えっ…!
ブリラント開発メンバーは
旧システムのソース、全く読めませんよ?」
当時は旧システム仕様を翻訳できる人も
業務として整理し直す役割の人も
プロジェクトには存在していませんでした。
不穏な空気を察したB社様から
「この体制で本当に大丈夫でしょうか」
と声が上がり…
プロジェクトの舵は
「木蓮さん」から「香取さん」へ
と渡されました。

……でも、正直、あの時点で
現場にはうっすら漂っていたと思います。
これは、たぶんうまくいかない。
でも、
止まれないまま、走り続けていた——
そんな空気でした。
🔥火の男は“敗戦処理”を知っていた
香取さんも「火になる」案件だと
分かっていたと思います。
それでも引き受けた。
成功が難しい案件ばかりを
任されるポジション。

矢面に立つ役割を背負うのは
簡単なことではありません。
前に立てる時点で
すごいことなんですよね。
もっと評価されるべき人だったと
私は思いました。
✉️ そして、退職届を出した
だけど、今の空気のままだと
…確実にまずい。
黙ってきた私が「退職届」を出しました。

目的は「天の声さん」に
計画を見直してもらうため。
「このまま進めば何かが壊れる」と
うっすら分かっていたから。
あの瞬間、何かが変わった気がします。
周囲の空気も少し重かった。
その後は吹っ切れたように、
「この案件は失敗すると思います。」と
反対の言葉まで口にしていました。
「完成できるかどうか」の段階ではない。
そもそも成立していないのではないかと。
そう思ったとき、私は腹を括りました。
🔜 次回予告
次回は最後のプロジェクトと腹を括った私。
「香取さん」からの「見積依頼」後、
進んだ道を書きます。
お読みくださる方は
ひと呼吸整えた後、お進みくださいませ。
