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【絵】シギ寸景:些細で大切な55羽たち


『鳥の大群を描きたい』と2ヶ月前にお話ししましたが、一つ完成しました。

木の枠に大きな画用紙を貼り付けてアクリル絵の具で描いています。

ペインティング自体は合計24時間くらいかかりました。その前の、干潟で飛んでいる姿を観察する時間、体のつくりを学びながら1羽1羽を描いてみる時間、水張りの時間(最難関…)など含めたら、この2ヶ月間のひとつの集大成ともいえる作品ができました。

▼干潟を埋め尽くすシギたちに感動して、鳥の大群を描きたくなった話


▼いきなり大勢を描くのではなく、1羽の観察から始まった話



▼なぜ描くのかを自分なりに考えてみた話



今日はその制作過程を話します。



まず、左側の木製パネルに右の画用紙を2つに切ったものを貼り付けます。いつも小さな画用紙に描いているので慣れない大きさです。




写真を撮り忘れましたが、アクリル画で海をつくるとき、私は最初に全面を紺色で塗りつぶしたくなります。我流なので正確なやり方ではないと思いますが、画面が暗くなる代わりに、深みが出る気がします。




海と空。



少し明るくしました。朝をイメージしています。



海の上を鳥に飛んでもらいます。モデルは嘴が上に反ったオオソリハシシギです。


オオソリハシシギはこんな鳥です。



奥にも飛んでもらいました。
ハマシギ、キョウジョシギ、ミユビシギたちです。



実際、いろんな種類が混ざって飛んでいました。




奥行きを出すために手前のオオソリハシシギたちは太陽に背を向けてもらい、逆光による影をつけました。

これだけ色の雰囲気が違うのは、たしか蛍光灯のもとで撮ったからです。(ほかはカーテン越しの自然光で撮っています)


このときの気分はこれで完成でした。




大阪万博のために3日間家を空けました。
帰ってきてから執着のない目で上の絵を見ると、鳥たちがあまりに雑であると冷静に判断しました。なので再び手を入れます。

シルエットを整えたのと、一部のオオソリハシシギに風切り羽を入れます。加えて波に光を散らして、明暗のコントラストがつきました。



と、ここで、万博で買ったマグネットが目に飛び込んできました。

Red Sea。アラビア半島と北アフリカの間にある紅海のことで、長年の憧れの地です。その抜けるような青い海と空を表したマグネットですが、この風景をクールに引き立てているのは、真ん中の赤い魚だと気がついたのです。



というわけで、真ん中の鳥を赤くしました。
誰が主人公というわけでもないのですが、センターという存在は全体や他の出演者をよく見てもらう役割もあるのかもしれません。

太陽に背を向けているので光は当たらないはずですが、この鳥だけ自家発電してもらいます。センターだから。



完成です。


数えてみたら55羽でした。

この絵の元になった干潟を訪れた日の鳥の数を確認してみると、オオソリハシシギが70羽以上、ミユビシギが20羽、ハマシギに至っては800羽くらいはいたそうです。
なので私が大群を描いた気になっているこの絵は、ほんとうの大群のほんの一部ということになります。
(鳥の数はeBirdというサイトで確認しています。世界中のバードウォッチャーが観察した鳥の情報を記録できる無料のデータベースです。)


題名は『シギ寸景』としました。
寸景とは 日常のちょっとした風景、とのことです。
この風景がずっと干潟の日常であってほしいなと願っています。そしてまた大群の絵を描きたい。



シギ寸景 / Shorebirds’ song
M12号、パネルとホワイトワトソン紙にアクリル