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答えはいつも「Why」のなかにある、小説のように人生を読むということ


「自分のことは、自分が1番よく分かってる」
は、もしかしたら傲慢かもしれません。


本来、自分のことを語るのは想像以上に難しいものです。

耳障りのいいプロフィールやストーリーはいくらでも書けるし、それらしく体裁も整えられますが
2ヶ月後には
「しっくりこない」と悩むのではないでしょうか?

夜中にAIと壁打ちしながら何ヶ月もかけて悩んだのに、活動の軸をコロコロ変えようとしている自分に嫌気が刺したり。


こんなことを言っている私だって、そうです。
私も含め多く人は
「自分のことは自分が一番よく分かっている」と思い込んでいるけれど
本当は自分のことなんて自分が一番分からないはずです。
だから、悩む。

だからこそ、第三者との対話の中で見えてくる物語があります。

今回は、同じく取材の仕事をしているインタビューライターの池田さんと、「人生を物語で捉えること」について語り合いました。

心に残る物語はどのように生まれるのか。
言語化の裏側について、取材ライター同士の本音をお届けします。



Special thanks 池田愛さん

今回対談をご一緒したのは、
インタビューライターの 池田 愛(めぐみ)さん です。


池田さんが大切にされているのは、
相手の本音を引き出し、整理する取材。

池田さんの取材は本質を見抜く質問ばかりで
2年前から憧れている大先輩です。


池田さん、このような機会をくださり本当にありがとうございました!


動く・喋る木全はこちらから見れます(笑)



取材後さらに1時間雑談していたのは、ここだけの秘密です。



セミナー開催のお知らせ


対談で浮かんだ数々のアイディア。
「noteだけにしとくのはもったいない!」と思った次第でして・・
初!セミナー開催します。

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「選ばれるストーリー設計」

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本文の最後に記載しておりますので、ご一読の上ご参加ください。


では、いざ対談・・!




履歴書を書くのが楽しい変人


池田:
今回は同じく取材の仕事をしている木全彩花さんに来ていただきました。よろしくお願いします!

木全:
木全と申します、よろしくお願いします!

池田:
木全さんは「たしかなこと」というインタビューのサービスを展開していらっしゃいます。

早速なんですが、自己紹介を兼ねてご経歴を伺ってもよろしいですか。


木全:

「たしかなこと」という、noteで取材記事を集めたメディアを運営している木全彩花と申します。

「たしかなこと」は「ひとりにひとつ、物語を」がコンセプトで、ご活動を広めたい起業家さん・フリーランスの方々を取材したnoteです。



ファーストキャリアは航空会社、空港で働くグランドスタッフとして働いておりまして、その後大学生に向けたキャリアアドバイザーとして大学で働き、履歴書やエントリーシートの添削を1年で900件ほどしました。


キャリアアドバイザーの経験を積んだ時に言語化スキルが身についたと感じたので、それを強みとしてフリーライターに転身。採用広報や企業ブランディング目的の起業家インタビューなど1年で150本執筆しました。

その経験をもとに、今は「たしかなこと」の取材・執筆をしております。


池田:
キャリアセンターを第2の職場に選んだ理由って?


木全:
新卒の就職活動では、エントリーシートや履歴書を迷いなく書けたんです。
自分の考えを400字にまとめる作業が、苦痛に感じなかったからだと思います。

書くのが好きだったこともあって、書類選考では100%の通過率だったんです。その後の面接はさておきなんですけど(笑)

「書いて、伝える」は人よりもできたので、それを活かせることはないかなと思ったとき、大学生向けのキャリアアドバイザーとして働こうと思いました。


池田:
通過率100%、すごいですね。自己分析や自分を俯瞰して、客観的に見るのは、結構得意でいらしたんですかね。

木全:
企業研究で企業さんのホームページを見て、企業さんと私の共通点を見つけて言語化するみたいなのが、すごく楽しかったんです。


池田:

履歴書を書くのが楽しいというのは、人によって分かれるかもしれないですね。私は苦手でした。きっと、木全さんはもともと書くことに対して「結構できる」って感覚がおありだったんじゃないかなとお話を聞いていて思いました。

木全:
上手かは分かりませんが、書くことは好きでした。小学生の時の読書感想文も夏休みの宿題で一発目にやるぐらい「待ってました!」の勢いで取り組んでいましたし、選ぶ本もその当時の小学生からすると、大人びていたと思います(笑)

その頃から読む、書く、表現するのは好きだった気がします。


池田:
今の取材ライターというお仕事は木全さんに合っていらっしゃる気もします。


木全:
たしかに!苦痛なくできること、ですね。


「モテたい」でもいいじゃないか


池田:

ファーストキャリアは航空会社。航空会社に入りたいなと思ったきっかけって何かあったんですか。

木全:
小学生の時は「将来は作家さんになりたいな」と夢見ていたのですが、その後、中学・高校と友人や家族関係で悩むことが増えてきて。すると「誰よりも高い地位につきたい」「認められたい」みたいな欲がすごく出てきちゃったんです。人並みの働き方では認めてもらえないと思ったのと、当時仲良くしていただいた大学の教授の方から「みんなが憧れる仕事に就けばいいんじゃないか」と言われました。

そこで、空港という世界と繋がる場所で、スタイルが良くてヒールを履いて颯爽と歩くグランドスタッフやキャビンアテンダントなら、誰しも憧れる仕事だと思ったんです。本音いうと、「あなたならなれるよ」と言われたのも初めてのだったので、舞いあがっちゃったのもあって(笑)だから、航空会社を選んだのは不純な動機なんですよね。


池田:

お仕事を選ぶ時って、最もらしい理由じゃなくて私はいいと思ってて。かっこいいとかモテたいとか単純な理由でいいと思うんですよね。

例えばサッカー選手や弁護士、医者とか選ぶ人の中にも、そういった理由で就く方もいるんじゃないかなって勝手に思ってます。


木全:

おっしゃる通りですよね。私は制服に憧れていたので「このスカーフを首に巻きたい!」みたいな(笑)そしたらみんなから「おお!!!」と言われるみたいな気持ちが強くて、それだけで航空会社で働こうと思いました。



答えは、いつも「Why」の中にある


池田:
活動を一言で説明するとしたら、どう表現されますか。

木全:
「これまでの人生を物語にする活動」です。

「たしかなこと」では起業家やフリーランスの方に向けて「どうしてご活動しているのか」「どうしてその生き方をされているのか」の「なぜ(Why)」を起点に取材します。「なぜ」を紐解くことって、原動力にもつながりますし、読者側も面白さが生まれる気がして。いわゆるヒーロージャーニー的な。

「なぜ」を中心にしながらこれまでの人生やご活動を振り返り、小説のように1章〜4章のように各章を作って、物語へと編集していく感覚で記事を書いてます。




池田:
キャリアセンターのところに話を戻るんですけど、学生さんに「どうしてこの会社選んだの」とか、いろいろと質問する機会ってあったと思うんです。今やってることと、キャリアセンターの仕事って似てらっしゃるんですかね。


木全:
おっしゃる通りです。
私が携わっていた学生さんたちは、就職意欲があまりない学生さんが多かったんです。なので「なぜ働きたいのか」「なぜこの仕事ならやりたいと思えるのか」みたいなところを、ひたすら聞いていました。それが身に染みていて、今でも「なぜそれを選んだのか」「なぜそれをしたいのか」というところばかりを聞いている気がします。

池田:
私も「なぜ」を聞くことが多いので、すごく気持ちはわかります。
自分が知らないお仕事をしている方には「どうしてそのお仕事を?」って聞きたくなりますもんね。

木全:
聞きたくなっちゃいます!!

その裏には「自分本位な理由だけじゃない」ということに気づきまして。例えば私だったら「“たしかなこと”を通じて読者の方に選択肢を与えたい」「自分の人生を肯定できるような場所にしたい」という、他者への想いがよぎっているんです。これは、私に限らず取材した方々すべてに通ずることで、例えば「写真の魅力を伝えたい」という方だったら「写真を通して日常が穏やかになるから、他の方にも写真の魅力を伝えたい」といった具合に、必ず自分だけではなく他者も巻き込みたいという気持ちがある。これがファン化につながるんですよね。

「なぜ」を紐解くことで、必ず他者への想いとか、こういう社会になればいいという気持ちがあるっていうのをすごく感じています。



池田:
これは私の感覚なんですけど「Why」を紐解いていくと「What」も出てくると思うんですよ。
どうしてそれを始めたのか、次は何をしたいのか、そういうところに繋がっていったりとか。

木全:
なぜを紐解くと、ビジョンも見えてきますよね。「たしかなこと」の初稿をお渡ししたときに、Whyが紐解かれていると「自分ってこれがしたかったんだな、じゃあ次に何をしようかな」「これから自分はこう生きていけばいいかな」といった指針に繋がるというか。

「たしかなこと」というメディア名にもある通り、自分の“確かなること”を見つけて、それを軸に活動が広がっていく。何をすればいいのか、誰に届ければいいのかが見えてくるので、活動も広がっていくんですよね。


「たしかなこと」に依存しない人たち


池田:
取材してる時「なぜこれをやりたいのか」を自覚していない方もいらっしゃるんじゃないかなと。


木全:

実はそうなんです。気づいていない方もいますね。


池田:

そこを木全さんが深掘っていくことで、点と点が繋がって線になっていくような感覚が生まれる?


木全:

奥底に眠っていた自分が少し見え始めるというか。一緒に引き出して、点と点を結ぶことで、また他の人と手を繋ぎたくなる、みたいな連鎖が広がっているのかなと思います。


池田:
インタビューってゴールじゃなくてスタート
だなと思っていて。インタビューを受けたことで「次はこれをしてみよう」と活動のきっかけになる。「たしかなこと」がそのきっかけになっているんだろうなって、素敵だなと思いました。

木全:
嬉しい(泣)ありがとうございます。

「たしかなこと」を集客や認知目的だけにしていないというのは、それが理由なんですよね。
例えば、取材をしてキャッチコピーやコンセプトが明確になることはあると思うんですけど「たしかなこと」に依存せずに、ご自身でコンセプトを大切にしながら発信していったり、想いを伝えようと走り出しちゃう。その原動力が「たしかなこと」だと思うんです。

記事をきっかけに自走できる、もっと誰かに自分の思いを伝えたくなるような場所にしたいです。



好きな人に片想いのインタビュー


池田:

取材では、おひとりに4時間かけるとnoteで書いてましたよね。一般的なインタビューと比較すると、かなりロングだと。4時間は最初から決まっていたんですか?

木全:
決まっていないです。1時間の一発勝負で考えていました。よくあるインタビューですよね。なぜか今、4時間になってしまった(笑)

ぶっ通しで4時間ではなく、2時間を2回でやってます。1回目の2時間は、記事を執筆する目的「たしかなこと」に掲載したい理由、なぜ言語化したいのか、どう活用していきたいのかを話しています。


理由は、ただ活動を広めたいだけだと、取材記事って読まれないと思っていて。「誰にどうして届けたいのか」「なぜ自分の人生を振り返りたいのか」をまず聞き、目的を明確にしています。

その後に記事の構成案をご提案して、本取材を2時間。質問リストは用意していますが、その時に出てきた言葉や表現を深掘りすることがメインなので、喫茶店で話しているみたいな、ざっくばらんな雰囲気でおしゃべりする時間です。

池田:
初回2時間が事前準備みたいな。最初の2時間があるから、本取材がより充実した有意義な時間になるみたいな?

木全:
おっしゃる通りです。目的と事前準備時間をとって、その後は経緯を振り返る2時間にしています。


池田:

最初はもっと短い時間でやってらしたと思うんですけど、深掘りできない、準備が足りない、と感じてらしたんですか?


木全:

感じました。「なぜ記事にしたいのか」が明確になっていなかったからだと思うんです。だって、取材されたいという理由だけだと本音ってでこないですよね。表面的な当たり障りない言葉ばかりになる気がして。

「たしかなこと」に掲載して未来を切り開きたい、過去の自分を肯定できるようになりたいといった本音が分かると、私も質問しやすいです。

あとは、インタビューライターって質問リストを作ったりすると思うんですけど、決められた質問を上から順番に聞くのがとても苦手で、それだとその方の本音も出てこないと思っているんですよね。

池田:
「本音を見つける」という言葉が出てきたと思うんですけど、この本音が見えてこない時は、どう対応してらっしゃるんですか。

木全:
聞き出せなくても、予定通り取材をして終わります。伝えたいことって、口では言えないことだったりするんですよね。でも「文章やLINEだったら言える」とか「取材を振り返ったら言いたいことができた」とかあるんです。だから、今じゃないのかなと思ったらその場ではおしまいにして「この後、話したいことや伝えたいことがあったら伝えてください」と伝えています。そうすると、LINEで長文を送ってくださったり、時にはもう一度オンラインで壁打ちしたりします。


池田:

お相手によっては、言いたいことがすぐに出てこないタイムラグがあると思うんですけど、どれくらいで後から情報って出てきたりしますか?

木全:
2〜3日でしょうか。「たしかなこと」で取材した方々は、取材の2時間をすごく振り返ってくださるんです。「あの時話したことはこれで良かったかな」「じっくり考えてみたら違ったかも」など色々出てきて、話が二転三転することもある。2日後に連絡くださって、また1週間後に連絡くださって、みたいなこともあります。例えば初稿を書き上げた後にアウトプットしたものをお渡しして、そこから「表現はこうがいい」「あの時はこう言ったけど、これがいい」など、何往復もやり取りしています。

一緒に物語を作っていってる感じで、私もお客さんも「記事を読みすぎて、本文覚えちゃったね(笑)」と話すことが多いです(笑)


池田:

事前とインタビュー後のやり取りも含め、結構往復がある感じですか?


木全:

あります。時間のログをとっていて、1人あたりどれくらいの時間をかけているのかを参考にしているんです。そしたら取材と執筆で1人10時間以上かかっていることが分かったんです。それ以外に、リサーチしたり表現を一緒に考えたりしているので、結果的に3ヶ月伴走しています。

池田:
おお、でも本来インタビューってそれくらい時間かかりますよね。

木全:
逆に、1時間でやる方法を教えてほしいくらい(笑)とことん突き詰めたいタイプで、短時間では終われないですね。


池田:

特に人物取材だと、人にダイブしていくから、余計時間がかかるのかなという気がします。


木全:
おっしゃる通りですよね。非効率ではありますけど、私は取材した方のファンであり味方でありたいんです。時間はかかって要領は悪いかもしれないけど、その方の今後のスタート地点に立てるものになるのであれば、とことん向き合っていきたい。だから、無駄と思ったことは一度もないです。

池田:
「ファンでありたい」ということが、すごく分かります。

木全:
ですよね!!ファンになっちゃいますよね。なりたいというよりも、なっちゃってるという方が近い、自然と。


池田:
なので記事を書くときは、あまり前のめりに自分の思いを入れないようにしています。

木全:
分かります。片思いだけど告白はしない、みたいな(笑)

池田:
もうちょっと冷静に!みたな、第三者的な目線を保っていますね。


小説のように、自分の人生を読む


池田:
「たしかなこと」のお客様の変化をききたいです。

木全:
私はよく「物語には章立てがありますよ」とお話しするんですけど、それをお客さんにも変化として感じてもらっているのかなと思います。

例えば、挫折やコンプレックスを抱いていらっしゃるお客様がいたとしますよね。その方の取材記事を執筆するときは、「コンプレックスを乗り越えた美学」みたいな書き方はしないようにしているんです。

私は小説をよく読むんですが、小説でも「乗り越えました」という結末だけじゃなく、その過程に葛藤や悩み、立ち止まった経験があって、それが何百ページにもわたって書かれている。だから「乗り越えました」という一言の結末だけで終わらせたくない。「たしかなこと」でも丁寧に書いて、道半ばのことも肯定するような取材記事を書いているつもりです。


そうすると「今はただ立ち止まっているだけだったんだ」と気づいてくださったり「人生終わったと思っていたけど、クライマックスに向かう道半ばなんだな」とおっしゃってくださることが増えました。
ネガティブな自分や結末を美学で終わらせず「すべての経験がかけがえないフレーズや表現、小説の一部」のように映すことで、自分の人生を物語として愛せる、肯定できる。これが皆さんに起きている変化かなと思っています。



池田:

第三者の視点って大事だと思っていて。例えば自分が失敗だらけだと思っていても、他の人から「頑張ってきたよ」と言われる。それだけで今の人生をすごく肯定できますよね。

木全:
おっしゃる通りです。私は「落ち込んでるって何?」と思っちゃうタイプでして(笑)自分がポジティブ人間というわけではなくて!だって、落ちてるからダメとか、低空飛行だからダメとか、特にないじゃないですか。立ち止まっているだけだし、振り返っているだけ。それを肯定したいんです。でもご自身からすると「自分はダメだ」「立ち止まっているから社会に馴染めない」と思ってしまうネガティブな要素が強い。でも「そうじゃないんだよ!」ということを伝えたい。私がうざいくらい伝えているから、皆さんもこれまでのことを肯定できるようになるのかなと思っています。

池田:
今のお話を聞いていて思ったのは、木全さんは依頼者さんの思い込みを取っ払っているのかなと。

木全:
メンターではないですけど「お客さんのことがめっちゃ好きな人」ではあります。だからシンプルに伝えちゃいます。「そんなこと絶対ない!」って。本当にそう思っているから。「そんなネガティブなこと絶対ないから」って。


池田:

人間って一人一人違う。何が好きで、どんな仕事をしていて、今までこういう経歴があって。みんな違って当たり前だし、多少寄り道もしているだろうし。ありのままの人生を愛せるようになるのが、一番大きな変化というか。

木全:
皆さんがそれほどまでに自分と向き合っている証拠なのかな。私がどうこうしているというよりも、これからどう生きたいのか、自分をどう愛したいかに真剣に取り組んでいる証拠ですよね。

池田:
自分の人生を見つめ直すことで、生き方の新しい指針を見出している、きっとそういうことになるんでしょうね。


物語が並ぶ、本棚のような場所


池田:

「たしかなことを人の図書館のようなメディアにしたい」と noteで語られていましたよね。
「人の図書館」具体的にイメージを共有していただいてもいいでしょうか?



木全:

私はよく3歳の息子と図書館に行くのですが、気になったタイトルや表紙の本をパラパラとめくったり、ゆっくりした歩幅で歩いて、本をさっと手に取ることってあると思うんですね。それと同じように、「たしかなこと」も、ふと読みに来て気に入った記事を手に取るような感覚で読んでもらえたらなって。

「あ、これ大切だな」と思える物語を立ち読みするみたいな、そんな気軽さがある場所にしたいと思っています。

あとは、図書館には何十万って書籍がありますよね。「たしかなこと」も「ひとりにひとつ、物語を」というコンセプトでやっているので、十人十色の物語があるんです。気に入った作品を見つけて、それを糧にしてほしいという願いも込めて「人の図書館」を目標に掲げています。

池田:
今まで書いてきた記事が本棚に収納されていく、みたいな?

木全:
まさしく!!!そんなイメージです。(池田さん、ほんとすごい・・)

池田:
人生って、十人十色だしなので、読みごたえのある面白い図書館になりそうですよね。

木全:
どの作品も通ずるものがあるというか。例えば昨日はこの作品を読んだけど今日はまた別のを読んでみようかなと、立ち返ってくる場所という形にもしたいと思っています。

池田:
読みに来る方も、その時々で悩んでいたり嬉しいことがあったり、いろんな気持ちで「たしかなこと」にアクセスすると思うんですよね。そこで、今日はこの人の記事を読んで元気になった、元気をもらえたってなったら、すごくいいなと思いました。

木全:
そういう場所にしたいと思っていますし、今そういう場所になっていればいいなと思います。


「何もない人」なんて、絶対にいない


池田:
いろんな方をが取材していて「この方の人生がすごく記憶に残ってるな」っていう取材はありましたか?

木全:
この質問よく聞かれるのですが、私は「選べない」が答えです。全てにおいて印象に残っているというのが正しい答えなのかもしれないですけど、一人に絞ることはできないです。皆さん特徴や想いがあるので、大小で計れません。皆さんのことを愛しているし、それぞれ印象的だったなと思います。

池田:
みんな印象に残るっていうのは確かにそうかもしれないです。

木全:
選ぶ基準もないし、どう選定すればいいのかも分からない。自分の中では皆さんオンリーワンです。

池田:
むしろどれか一つを選べっていうのは、酷というか、失礼というか。

木全:
失礼に値するし、シンプルに選べないですね。

池田:
金子みすゞの「みんな違ってみんないい」なのかな。

木全:
本当に。その言葉に集約されるような気がします。

池田:
過去のご自身のように「自分には何もない」と人生をネガティブに捉えている方も中にはいらっしゃると思うんですよね。そういう方が目の前にいたとして、木全さんなら、どういう言葉をかけたいですか?

木全:
「たしかなこと」でも「私って何もない人間なんです」という方がいます。そのときに必ず伝えているのは「何もない人なんてこの世に一人もいないですから」と。結構ズバッと言っています(笑)

私も当時「何もない」「道を外れた社会不適合者」と考えていた時期がありました。憧れていた航空会社に就職したものの、1年足らずでメンタルが崩れてしまって辞めたという経験があって、それをきっかけに「もう世間では生きていけない」みたいな感じで嘆いていた時期があったんです。

でも今振り返ると、私の物語は止まっていなかったなと思うんです。あの時の自分がいたから、今こうして取材をさせていただけるし「ひとりにひとつ、物語を」というコンセプトも生まれたと思う。

何もないと思っている方であっても、人生の物語でいえば第1章、第2章。これからたくさんの物語を紡いでいける序盤だと思えば「何もない」という状態は、まっさらなキャンバスに絵を描けるように、これからたくさん自分のやりたいことを見つけられるかもしれない。そもそも「何もない」なんてことは絶対にないけどね、とズバッと言っています。

池田:
「何もない人生」って本当にないなって、インタビューする身としては思うんですよね。目の前に真っ白いキャンバスがあると思えばいいって私は思ってて。そこに絵の具をぶちまけてしまえばいいわけですよ。それはいくつからでもやっていいし。

木全:
その真っ白なキャンバスでさえも、実は白の絵の具で塗り潰されたキャンバスかもしれないですよね。

池田:
確かに!!!

木全:
真っ白で何もない状態も、裏を返せば真っ白に塗りつぶした状態かもしれない。だから「何もないなんて絶対にない」と思っています。

池田:
自分に対して「何もない」って言ってしまうのは、呪いをかけてるとか、自爆をかけてるんじゃないかなって。かつての私も(ライターになる前)はそう思ってて。ライターになってみて思ったのは、今までの人生は無駄じゃなかったんだなって。いろいろ辛かったけど、今は「書く仕事楽しい」って思ってる、それでいいんじゃないかと思うんです。



インタビューは「文字のない読書」


木全:
コロナ禍の時に紆余曲折あってライターになったみたいなのもXのスペースで聞きました。

池田:
最初からこの仕事をやろうと思ってたわけではないっていうのは事実です。

木全:
「紆余曲折あって」って言いましたけど、くねくね進んでいるのが人生だよなと思ういます。今『こころ』(夏目漱石)を読んでる最中なんですけど、おそらく最後まで読んだら、あらすじを300字で要約できるんですよ。でもそれを何百ページにわたって細かな表現で書いているのは、それなりに意味があるってことだと思うんですよね。そういった細かいところがキーポイントになっていったりするかなと思っています。

池田:
インタビューは「文字のない読書」みたいな感じですかね。

木全:
すごい!!!!名言出ました!!「文字のない読書」ですね!!

池田:
多分、その文字っていうのはお相手の頭の中にあって、でも見えないからそれを取り出してきてるみたいな。

木全:
取材対象者さんの頭の中では文字としてちゃんと書き起こされてる。世界もちゃんと見えてる。それをなかなかアウトプットできないというのがあるんですよね。文字のない読書だ。

池田:
すごい、今、ぽろっと出てきました。

木全:
書き起こして作品にしてるっていうのが「翻訳」みたいな感じなんですかね。

池田:
取材ライターは、翻訳者に近い立ち位置だなと思ってて。日本語を日本語に訳してるっていう。


木全:

分かります。採用広報の仕事をしてた時もあるんですけど、例えば中小企業さんで、ネジ1本のことを書くことってあるんですよね。社員の方が「このネジは・・」と説明してくださるんですけど、技術的なことをそのまま読者に伝えたところで「?」になっちゃう気がするんですよね。そこで「私」というフィルターを介して、採用求職者向けにストーリー立てて翻訳することで、読みやすくなるし、求職者と企業さんとでミスマッチが起きない。日本語→日本語の翻訳だなあと思いながら仕事していました。


池田:

お相手の言葉をそのまま書くこともできるけど、それだったらインタビューにならないと思ってて。文字起こしですもんね。分かりやすく、その人らしさを載せて伝える。そういうの含めて翻訳なのかなって私は思っています。

木全:
その通りだと思います。

池田:
それが楽しいからやってるっていうのもあります。

木全:
あります、あります。その方の頭の中に辞書があるとしたら、その辞書にはなかったボキャブラリーを私が見つけて、語彙を追加してあげるみたいな(笑)

「たしかなこと」の初稿をご提出したときも「こんなこと話しましたっけ」と言われることがあるんです。その意訳に違和感がないのは、見つけられなかったボキャブラリーが言語化されたからなのかなと思いました。

池田:
もうこんな時間、ここらへんで最後にしなきゃですね。今木全さんが思っていることを最後にいただいてもいいでしょうか?

木全:
はい、今日は改めてありがとうございました。

「たしかなこと」は去年の8月にリリースさせていただいたんですけど、おかげさまで半年間でnoteのフォロワーは550名を超えています。掲載後は「自分の取材記事をぎゅっと抱きしめながら大切にします」「取材記事で言語化したおかげで、新たな事業化につながりました」とお言葉をいただいております。その言葉だけでもうご飯3杯も4杯もいけるんじゃないかって思っています。

取材や執筆、掲載後のnote周知や拡散も考えると、お客様にかけている時間は私にとって膨大です。それくらいお客様と本気で向き合っていて、お客様のことを大好きだなと思いながら綴っているんですよね。自分が愛している「たしかなこと」だからこそ、皆さんにも大切な場所になってほしいですし「人の図書館」として、いつでも訪れられる、いつでも立ち読みできる場所として、大切に育てていきたいと思っています。

池田:
私も、人の言葉をうまく紡いでいける、そういう取材ライターとして引き続き頑張っていこうと思います。ありがとうございました!



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