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キリング・ミー・ソフトリー【小説】39_青春喧騒曲


週5日大学へ通う中の2回はアルバイト、行き帰りを使ったジョギング、休日には自動車運転の経験を積むかギターテクニックを磨き、就職に有利な資格を取るべく机に向かっては睡魔に負けた。
父と映画を観る夜に癒される。



目にも留まらぬ速さで過ぎ去る日々、思い切って弾き語りの動画を録った。
それをどこへ公開する訳でなく、相変わらず意地を張ったまま他人行儀を続ける淳に見せてみる。初めて交流を図った際に淳が熱弁したバンドの曲だ。彼としか被らない講義があって助かった。
「……うわあ。」
「俺なんかが歌って嫌かもしんないけど。」
「今すぐ投稿しなよ、いい感じだから。」
「無理、スガくん信者にぶっ叩かれる!」
久しぶりにまともな会話が成立し、喜ばしい。



淳がこちらをじっと見つめる。
「じゃあ、やっぱ俺とバンドやろう、ちーの声は活かさなきゃ勿体ない。ドラムは置いといて、取り敢えずスタジオ入ってみようよ。」
歌なら純粋に知成の方が上手い、フロントマンにイケメンを据えれば人気になるだろう。
そんなことはどうでも良くて、お願いだから、と最終的には一連の冷たい態度を詫びるのに併せて深く頭を下げられた。
個人的には淳と仲直り出来るだけで構わないが、かくてギターボーカルとベースの名もなきコンビが生み出される。



ギターを習っていた頃、音楽教室の発表会で簡易的なバンドを組んだが一回きり、酷い有様だった。
掴みどころのない性格を持つ淳の力量を〈弾いてみた〉である程度は把握していたつもりが身をもって体感すれば並外れた腕に驚く。
予想を遥かに超えてこちらに追い付き、雑に掻き鳴らせど必ず合わせてくる。
いつからベースを嗜んでいるのやら。



ふと頭に浮かぶ曲のイントロを奏でると、淳は
「俺、これ弾いた試しないや。」
と言いつつ即興の低音で支え一応は形を造り、声を揃えてサビを歌った時、嵐を呼ぶ衝撃に心が揺さぶられ震える。
感情が込み上げ泣きそうになりながら、がっちり握手を交わす。



「こんなに楽しいんだ、すげえ。」
相性が抜群なのは言わずもがな、ようやく運命の人に巡り会った、意外にも側にいたらしいと本気で思う、自分達はもうバンドをやる選択肢しかなかった。
ここにドラムが入ったら無敵。



淳は作曲の知識まで備わっており、音楽の神に恵まれた存在と知る。
「ホントにちーって12年もギターやってんのにオリジナル考えたことないの?」
「あんま分かんね。」


でも、俺もちょっと挑戦してみようかな。
安易にそう答えられるくらい、欠けたパズルのピースを探すように遊べるものを見つけた。



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