【初心者向け】無料でマーケティングが学べる優良コンテンツ6選【入門からエビデンスまで】
マーケティングを学ぼうとすると、最初に悩むのが「何から学べばいいのかわからない」という問題です。
書店にはマーケティング関連書籍が大量に並び、SNSを開けば「売上を10倍にする方法」「誰でもできる集客術」といった情報が次々に流れてきます。
しかし、マーケティングの一部分だけを切り取った発信も多く、情報を集めるほど全体像がわからなくなることもあります。
だからといって、いきなり高額なスクールに入る必要はありません。
現在は、第一線でマーケティングに携わってきた実務家や企業、研究機関が、驚くほど質の高いコンテンツを無料で公開しています。
今回は、私が実際に見た中から、マーケティングを学びたい人におすすめできる無料コンテンツを紹介します。
ただし、紹介する人の経歴や実績を理由に、すべてを正しいと考える必要はありません。
誰が言ったかではなく、どのような根拠があり、自分の仕事にどう適用できるかを考えながら利用することが重要です。
1.最初に読むなら、石井賢介さんのnote
マーケティングを体系的に学びたい人に、最初におすすめしたいのが石井賢介さんのnote「【1時間で分かる】P&G流マーケティングの教科書」です。
石井さん自身が、P&Gへ転職した直後にマーケティングの全体像がわからず苦労した経験をもとに、初心者でも理解できるようにマーケティングの基本型を整理しています。
顧客のJob、WHO、WHAT、HOW、ブランド、戦略など、マーケティングを考えるうえで必要な論点を、一つの流れとして理解できることが最大の魅力です。
特に優れているのは、個別の施策ではなく、「顧客の課題を理解し、選ばれる理由をつくり、それを届ける」というマーケティング全体の構造を説明している点です。
ただし、タイトルに「P&G流」とありますが、石井さん自身も、P&G社内の教育内容をそのまま公開したものではなく、自分の言葉で体系化した内容だと明記しています。
したがって、「P&Gの公式教科書」としてではなく、優れた実務家によるマーケティング入門として読むのが適切です。
2.耳から復習できる、石井賢介さんのYouTube
文章を読むのが苦手な人や、noteを読んだ後に理解を深めたい人には、石井賢介さんのYouTubeチャンネル「MDマーケティング予備校」がおすすめです。
代表的なnoteの動画版や、ブランディングの解説などが公開されています。石井さん自身も、動画版ではnoteを書いてから時間が経過する中で変化した考え方も含めて解説しています。
同じ内容でも、文章で読む場合と、本人の言葉で説明を聞く場合では理解の仕方が変わります。
通勤中にYouTubeで全体像を聞き、気になった部分をnoteで読み直すという使い方が効果的です。
石井さんのnoteとYouTubeは、別々の教材というより、文章と動画を組み合わせて理解を深める一つの学習セットとして活用できます。
3.本選びの案内役になる「マーケシラズ・ブックス」
マーケティングの本を読みたいけれど、何を選べばよいかわからない人には、YouTubeチャンネル「マーケシラズ・ブックス」が役立ちます。
マーケティング戦略、ブランド、行動経済学、消費者インサイト、PR、キャリアなど、幅広いテーマについて、関連書籍の内容を紹介しています。
マーケティング検定、行動経済学、PR、仕事術など、テーマ別の再生リストも用意されているため、興味のある分野から学び始めやすい構成です。
運営者は「元P&Gマーケティング出身の現役外資系マーケター」と自称しています。
ただし、匿名アカウントであり、公開情報だけでは、その経歴を第三者が完全に確認することはできません。
一方で、紹介されている理論や考え方には、石井賢介さんや森岡毅さんなど、実名で発信しているP&G出身者の説明と整合するものが多くあります。
したがって、経歴を理由に全面的に信頼するのではなく、「良質な本や論点を知るための案内役」として利用するのがおすすめです。
動画で紹介された本や理論について、最終的には原著や一次情報を確認する。この距離感で使えば、非常に有用なチャンネルです。
4.戦略を実際の事業に結びつける、森岡毅さんの出演動画
マーケティング戦略が、実際の経営や事業でどのように使われるのかを学びたい人には、森岡毅さんの出演動画が参考になります。
森岡毅さん「9つの質問」PIVOT
森岡毅さん「熱血授業」日曜日の初耳学
PIVOTやテレビ番組などで、コンセプトのつくり方、需要の捉え方、勝ち筋の見つけ方、自分の強みの考え方などを長時間にわたって解説しています。
森岡さんの発信の強みは、フレームワークの説明だけでなく、「限られた資源をどこへ集中させるか」という経営上の選択まで含めて語られていることです。
マーケティングを広告や販売促進の技術としてではなく、事業を成長させるための資源配分として理解できます。
一方で、森岡さんや株式会社刀をめぐっては、ジャングリア沖縄の事業性や実績の評価、情報発信のあり方などについて、さまざまな批判や議論も起きています。
だからこそ、森岡さんを「マーケティングの神様」として無条件に信じるのでも、炎上を理由にすべてを否定するのでもなく、個々の主張を分けて考える必要があります。
発信者への評価と、発信内容の有用性は別問題です。
森岡さんの考え方を一つの仮説として自分の事業に当てはめ、「この前提は本当に成立するか」と検証しながら見ることで、より深い学びになります。
5.デジタルマーケティングの実務はGoogle公式教材
Google広告やアクセス解析など、デジタルマーケティングの実務を学びたい場合は、Google公式のSkillshopが有力な選択肢です。
Google Skillshop
Think with Google
Skillshopには、Google広告の検索、ディスプレイ、動画、ショッピング、測定などについて、無料のオンライン教材が用意されています。
Google広告などの認定資格を取得することもできます。
広告管理画面や計測仕様は頻繁に変わるため、個人ブログや古いYouTube動画だけで学ぶと、情報がすでに使えなくなっていることがあります。
ツールの操作や仕様については、まず公式教材を確認するのが原則です。
一方で、SkillshopはGoogleのサービスを正しく利用するための教材です。マーケティング戦略全体を中立的に学ぶ教材ではありません。
Google広告の使い方を学ぶことと、どの顧客を狙い、どのような価値を提供するかを決めることは別の話です。
戦略は実務家や研究者から学び、Google製品の仕様と操作はSkillshopで学ぶ。この役割分担が重要です。
市場データやデジタル上の消費者行動を知りたい場合は、Googleが運営するThink with Googleも参考になります。
生活者インサイト、AI、マーケティング動向、データ分析などの情報が公開されており、市場や消費者の変化を理解するために活用できます。
ただし、こちらもGoogleが提供する情報であるため、Googleの広告商品や思想に寄った内容が含まれる可能性は考慮しておく必要があります。
6.経験談だけでなく、研究から学ぶEhrenberg-Bass研究所
実務家の経験談や成功事例だけでなく、購買データに基づくマーケティングを学びたい人には、南オーストラリア大学のEhrenberg-Bass Institute for Marketing Scienceが公開しているコンテンツがおすすめです。
Ehrenberg-Bass Institute Open-access Knowledge
https://marketingscience.info/open-access-knowledge/
ブランドが広告を停止すると何が起こるのか、BtoBブランドはどのように成長するのか、ダブルジョパディの法則、カテゴリーエントリーポイントなど、実証研究に基づくレポートが公開されています。
マーケティングでは、特定企業の成功事例から導かれた理論が、そのまま普遍的な法則のように語られることがあります。
しかし、一つの会社で成功した方法が、別の市場や企業でも成功するとは限りません。
Ehrenberg-Bass研究所の発信から学べるのは、個別企業の成功談ではなく、多数のブランドや購買データから繰り返し観測されるパターンです。
英語であることと、すべての研究が無料公開されているわけではないことが難点です。
また、研究結果から具体的な施策までをすべて教えてくれるわけではありません。研究で確認された法則を、自分の実務にどう応用するかは、自分で考える必要があります。
それでも、マーケティング業界で広く語られている常識を、実際の購買データから検証する姿勢を学べる点で、非常に価値があります。
実務家の発信から仮説を学び、Ehrenberg-Bassなどの研究から、その仮説がどこまで一般化できるのかを確認する。
この往復によって、マーケティングの理解は大きく深まります。
おすすめの学習順序
初心者が最初からすべてを見る必要はありません。
まず石井賢介さんのnoteで、マーケティングの全体像をつかみます。
次に石井さんのYouTubeで、文章だけでは理解しにくかった部分を復習します。
その後、マーケシラズ・ブックスで興味のあるテーマや書籍を見つけ、森岡毅さんの出演動画で、マーケティングが実際の事業や経営にどのように使われるのかを学びます。
デジタル広告やアクセス解析を担当する場合は、Google Skillshopで実務知識を補います。
最後にEhrenberg-Bass研究所などの情報に触れ、実務家が語る理論をエビデンスの面から検証します。
この順番なら、個別のテクニックに振り回されず、全体像から実務、そして研究へと理解を深めることができます。
無料コンテンツを見るだけでは、マーケティングは身につかない
ここまで紹介したコンテンツは、すべて無料でも十分すぎるほど有益です。
しかし、動画を何本見ても、それだけでマーケティングができるようになるわけではありません。
一つのコンテンツを見たら、自分が担当している商品や、普段利用しているサービスに当てはめて考えてみてください。
誰の、どのような課題を解決しているのか。
顧客は、どのような状況でその商品を思い出すのか。
競合ではなく、その商品を選ぶ理由は何か。
成長のために、限られた資源をどこへ配分するべきか。
自分の言葉で考え、実際のデータを確認し、小さく試してみる。
マーケティングは、知識の量ではなく、目的達成のために知識を使った回数によって身についていきます。
無料コンテンツは、学習の入口としては十分です。
必要なのは、さらに多くの教材を探すことではなく、学んだことを一つでも実際の仕事に使ってみることなのだと思います。
なお、私もこのnoteで、マーケティングの考え方や実務で得た学びを無料で発信しています。
P&G流のマーケティング、エビデンスベースドマーケティング、戦略、データ活用、実際の事業で成果につながった施策などを、できるだけ実務で使える形に整理しています。
今回紹介したコンテンツとあわせて、マーケティングを学ぶ選択肢の一つとして読んでいただければうれしいです。
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