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上田惇生先生のドラッカー没後のお仕事から、ドラッカーマップについて考える

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。

御覧いただき、ありがとうございます。

こちらの記事で、ドラッカーマップを作る、という構想を立ち上げました。

こちらでは、20周年を迎えた日本のドラッカー学会が「何を研究してきたのか」ということをまとめました。

今日、ご紹介するのは、ドラッカーの知人でもあり、その翻訳のほとんどを手掛けた上田惇生先生のこちらの書籍です。

この本の刊行は2009年。ドラッカーが鬼籍に入られたのが2005年ですので、その後に書かれた本ということになります。あとがきに興味深い話が書かれているので、引用して紹介します。

「面白かった。次は何を読んだらよいのか」という読者の声から、ドラッカーの世界の地図を描き、日本発のベストセラーとなった「はじめて読むドラッカー・シリーズ[自己実現編]プロフェッショナルの条件」をはじめとする四部作が生まれた。2000年のことだった。
 その後、「琴線に触れたところに傍線を引いていったら、線だらけになってしまった」との声から、『ドラッカー名言集・仕事の哲学』をはじめとする四部作が生まれた。(中略)2003年のことだった。いずれも、ドラッカー教授本人の応援、指示のもとに編集した。
 ちょうどそのころ、ドラッカーの広大な世界についての百科全書が欲しいという読者の声を耳にした。早速ドラッカーに相談したところ、問題ごとに焦点を絞って解説してくれればいいと言われた。引用は自由に行ってよいとも言われた。こうして2003年4月、「週刊ダイヤモンド」にて、「経営学の巨人の名言・至言─3分間ドラッカー」の連載が始まった。(中略)
 本書は、ドラッカー百科たることを意図して連載を開始したものである。今6年を経て300回を越えた。ここに160編を編纂し、世のドラッカリアンおよびこれからのドラッカリアンに捧げるものである。

『ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知』あとがき(PP.243-244)より

さて、この記載には実に重要なことが書かれていると思っています。まず、「はじめて読むドラッカー・シリーズ」は、「ドラッカーの世界の地図を描」いたもの、という認識であった、ということ。ちなみにこの四部作は、

[自己実現編]プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか
[マネジメント編]チェンジ・リーダーの条件 みずから変化をつくりだせ!
[社会編]イノベーターの条件 社会の絆をいかに創造するか
[技術編]テクノロジストの条件 ものづくりが文明をつくる

となっていて、人の役割による分類になっています。一方の「ドラッカー名言集」の方は、

仕事の哲学
経営の哲学
変革の哲学
歴史の哲学

となっていて、ああ、こちらは「哲学」なんだ、となんとなく納得してしまいます。理論ではなく名言なので、ドラッカーの考え方が表現されたもの、という位置づけなのでしょう。

ちなみにこちらの4部作は、2010年に「[英和対訳]決定版 ドラッカー名言集」という書籍が刊行されていて、こちらのあとがきには下記のような記載があります。

 ドラッカーを読む人の多くが傍線を引く。加えて付箋をつける。ドラッカーの本には付箋の花が咲く。亡くなる2年前の2003年、「名言集を出せますね」と提案したところ、「出せると思う。何を選ぶかは任せたい」との返事をもらった。
 すぐに名言集に載せられそうな文章を全著作から抜き出した。約7,000あった。ドラッカー名言集『仕事の哲学『経営の哲学』『変革の哲学』『歴史の哲学』の4部作がこうして生まれた。(中略)
 そのころ、対訳で名言集を出せないかという声を耳にした。(中略)そこで亡くなられて5年の今年、99歳の奥様ドリスさんをはじめご遺族の同意を得て、本書を出すことになった。使う名言は120本に絞ることにした。

『[英和対訳]決定版 ドラッカー名言集』編訳者あとがき より

ちなみにこの120本は上田先生だけでは選びきれなくて(というのは、もっと候補が多く187本だったそう)109人の方に投票してもらって選定したということも書かれています。

今回はこの2冊の目次を比較してみたいと思います。まずは、『ドラッカー 時代を超える言葉―洞察力を鍛える160の英知』の方ですが、5部24章構成になっていて、部だけを抜き出すとこのような構成です。

I 成果をあげる
II 強みを引き出す
III 組織を動かす
IV 人を動かす
V 変化を捉える

続いて、『[英和対訳]決定版 ドラッカー名言集』ですが、こちらは7部に付章がついた全8部構成、全29章構成になっています。付章を含む部の目次を上げてみます。

I 顧客の創造
II イノベーションと企業家精神
III 利益と責任
IV 組織と人
V 成果をあげる
VI 人としての成長
VII ものの見方
付 社会

共通しているのは「成果をあげる」だけですね。ということは、この2つの目次は「成果をあげる」をキーにして統合できる、ということかと思います。『160の英知』の方の「組織を動かす」「人を動かす」は、『名言集』の方の「組織と人」に統合できるかと思います。そして『160の英知』の「強みを引き出す」は、この「」と「組織」のつなぎの話をしているようです。また、『160の英知』の方では「イノベーション」の話は「組織を動かす」の中で取り扱われています。

このあたりを踏まえながら、この2つの目次を合体させて図にすると、下記のような図になりました。

筆者作成

シンプルな図ですが、ドラッカー思想のマップの原型としては面白いものができました。

・成果を上げるためには組織を動かさなければならず、そのためには人の強みを引き出す組織にならなければならない
・成果をあげる能力を修得することは人としての成長につながり、ものの見方の変化を通じて社会にインパクトを与える
・変化を捉えることで機会を捉え、顧客創造とイノベーションの可能性が高まる

なんとなくですが、この図から読み取れそうなことを記載してみました。

さて、今回は、上田先生による、ドラッカーの世界地図を作ろうという試みと、ドラッカーの百科事典を作ろうというお仕事から、ドラッカーマップのシンプルな骨組みを考えてみました。

次回はドラッカースクール系の後継者、マチャレロ先生のお仕事を通じて、ドラッカーマップについて考えてみたいと思います。

次記事です!

現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。

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