#1044 アルバム論77|METAL MOON / Blankey Jet City(1993)
本日はブランキーが唯一リリースしたミニアルバム「METAL MOON」を紹介しましょう。
前作のC.B Jimのリリースから9か月後にリリースされたこのミニアルバムはドラムの中村達也のお気に入りの1枚であり、椎名林檎が無人島に持っていきたいアルバムの1枚と語るくらい、コア層に支持されている作品だったりします。
METAL MOONとは?

なぜこのタイミングなのかとか、なぜフルアルバムを待たなかったとか色々と気になる所はあるのですが、このミニアルバムが名盤であることに疑いは無いでしょう。
とっとと紹介しますが、HMVのレビューでは下記の様に紹介されております。
サードにして名盤『C.B.Jim』を完成させてしまったブランキーが、それに気負うことなく新たな世界観を表現したミニアルバム。どこまでも“ピュア”なこのバンド独自の精神性をヘヴィかつシンプルに表現。美しい歌詞とメロディーが心に響くコア・ファンの中での評価が非常に高い作品。名曲「綺麗な首飾り」「鉄の月」収録。
METAL MOON全曲紹介
1. おまえが欲しい
この曲は僕の中でこのアルバムのベストソングであり、ブランキーのすべての歌の中でも相当上位に来るくらい好きな曲ですね。滅茶苦茶カッコいいです。
初めて聞いたのはラストライブアルバムの「LAST DANCE」のオープニングなんですが、いきなり始まるこの曲がカッコよすぎて本当に衝撃でしたね。
この曲は完全に2部構成になっており、まず1部はインストで、テリーのジャジーで正確に時を刻むベースラインが印象的な曲で、ナカタツの自由なドラムが乗り、そしてベンジーのこれまた自由な、ナイフの様に尖ったフレーズを弾きまくる、これだけでも十分カッコいいです。
基本的にはゆったりとしたベースメインの曲なんですが、途中で1度激しくなってバンドサウンドになるところが最高にカッコよく、そして2度目の激しくなったタイミングで演奏が止まり、ベンジーのクソカッコいいギターがカットインして・・・
Ah… I Want You Baby!
マジでこのシャウトは鳥肌モンです。
そしてここから始まる第2部、これがメチャクチャ熱いんです。
この第2部のAメロのベースラインも相当好きですね。このアルバムは全体を通してベースがカッコいいんですけど、やはり個人的な思い入れではこのアルバムのベースラインが頭一つ抜けて好きです。
そしてここから始まる歌パート、ここが素晴らしすぎる。
神様 あなたは純粋な心を持っていますか?
こんな事を聞いたこの俺にあなたは罰を与えますか?
信じるって一体どんなことなんだい?
俺は何も信じてなんかいないぜ
I Want You Baby 俺が死ぬまで
ずっと一緒にいて欲しいだけさ
I Love You
これだけシンプルで、最高にカッコいいラブソングはあるでしょうか?
メチャクチャカッコいいですよね?
もう、この曲を1曲目に聞けただけでこのアルバムの価値はあったと言えるでしょう。
この曲を聴いた後に、ヤングサンデーで連載されていた海猿を読んだんですけど、1話目の冒頭で「神様、あなたは純粋な心を持っていますか?」のフレーズを使っていたのを見て、「この漫画も間違いないな」と思った記憶がありますね笑
それにしてもカメレオン然り、BECK然り、海猿然り、他にも「サイコ」という漫画でも引用されていましたし、クリエイターにも愛されたバンドだったんですね。
レアなライブ盤も初めて聞きましたが、これもカッコいいですね!
ですが個人的に一番上がったLAST DANCEのオープニング、これ会場で見たらビビるくらいカッコよかったでしょうね・・・
2. Sweet Milk Shake
そんな感じの極上のラブソング「おまえが欲しい」に続くのは、かなりゴキゲンなサウンドでライブでも盛り上がるSweet Milk Shake、とても楽しい曲調のポップな曲ですね。
この曲のベースラインもかなり主張しており、なかなか聞きごたえがあります。
で、この曲は曲調は明かるんですけど、歌詞はかなりカオスティックな荒廃した世界について歌っている曲です。
女はヒステリックにベッドを蹴り、猫は部屋中を駆け回り、犬は政治家に噛みつき、外では消火栓が破裂し、男が飛び降り自殺し、街には爆弾が落ちて、そして主人公(?)はアイスクリームパーラーを襲うという感じで笑
とんでもない世界の曲ですね笑
3. Orange
フォーク調の曲で、このアルバムで一番優しい曲ですね。
「フウーウーウーウウ」で始まり、ベンジーのアコースティックギター、そしてテリーの渋いベースラインがいい感じの曲です。
歌詞の世界観も、前曲の荒廃した世界観から180度変わり、男女が静かに時間を過ごす情景が浮かぶ優しいラブソングです。
ブランキーの引き出しの多さを感じさせる曲ですね。
4. 脱落
タイトルからいかにもですが、なかなかヘヴィーな曲ですね。
なんか坂口安吾の堕落論を読んだ時のような、ダウナーな気だるい印象の乾いた印象を感じます。
オモチャの兵隊が流されていった
片足の彼はうまく歩けない
悪魔がドアを叩き
彼に微笑みをかける
汚れたベッドの上 カラッポ注射器
凍えるように息を引き取った 年下のJUNKY
朝が来て彼の身体は太陽に照らされた
小さな部屋
涙の後を頬に残したまま
みたいな歌詞なんですけど、「それはきっといいことさ、それがお前の青春だ」と肯定してしまう辺りもまたヘヴィーですよね笑
5. 綺麗な首飾り
改めて頭からこのアルバムを解説していますが、改めて「光」と「影」というか、「絶望」と「希望」というか、そのバランス感がとんでもなくエグい作品な事を感じますね。
前曲の「脱落」でひたすらダウナーになったと、この「奇麗な首飾り」というブランキーの全楽曲を含めても1・2を争う位にポップで愛された曲が続くという辺りに、何と言うかすさまじさを感じます。
そんな感じの曲ですが、僕の大学時代の友人のブランキー好きはこの曲をフェイバリットに挙げており、カラオケで良く歌っていました。
多くの人に愛されている曲ですね。
とにかくこの曲の特筆すべきは、まずはイントロでしょう。
これほど奇麗なイントロは無いと思う位、牧歌的で美しく、BANG!に収録されている「小麦色の斜面」にも似たものを感じますが、とにかくテリーのハイポジションのベースがとにかくメロウで美しく、ベースだけでも成立するくらいメロディアスなリフなんですけど、それにいい感じにユニゾンにベンジーのギターが乗るんですね。
とにかくイントロが美しいのがこの曲の魅力ですね。
そのイントロのままAメロが始まるんですが、Bメロで展開が変わり、ここはべンジーよく弾きながら歌えるな・・・と思ってしまうんですけど、この辺のベースラインも素晴らしいですね。
このアルバムは本当に全曲ベースがカッコいいです。
そしてラスサビですね。
マジで希望しかない、美しいメロディに美しい歌詞が乗っています。
愛している 心の底から
眩しい光と 争いがあふれる
はじめて出会った この世界を
この綺麗な首飾りを君にあげる 首飾りを
LAST DANCEのこの曲が本当に大好きで何度も聞いてましたね。
ブランキーを代表する、超名曲ですね。
6. 鉄の月
そして最後、またまたクソ重い曲でこのアルバムは終わります。
アルバムの表題曲でもあるんですが、「鉄の月」というワードは1つも出てこなかったりするあたりが深いというか、色々と考えさせられる曲です。
ほぼベンジーが1人で弾き語る感じで、それはそれでカッコいいんですが、バンドアレンジになってまたカッコよくなる、そんな感じの曲ですね。
とにかくこの曲は歌詞です。
一部だけ紹介しようと思ってましたが全部書いてしまったんですが、とにかく深いです。
戦場へ行きたい 編み上げのブーツを履いて
革の財布には恋人の写真
腕に刺青を入れて知らない国の知らない誰かを殺すために
きっと僕はためらったりはしない
落ち葉を 踏んで 森の奥へと
狙いをつけて銃を撃ちまくる
来る日も来る日も僕はただ殺し続ける
信じられないだろうこんな話
なんて小さな時からずっと変わらないままさ
もちろん世界中が幸せになれればいいけど
どうやら僕たちは増えすぎた
激しい銃声の下で何かを思う
誰かの悲鳴を聞いた時 何を感じる
きれいな眼をした女の人が僕の目の前で風に吹かれている
袖なしのシャツに細くて白い腕
真っ黒な髪を風になびかせて
その白い顔に触れてみたいけど
僕の手はとても汚れているから
きれいな眼をしたあなたでさえも
儚い季節の太陽に見える
そんな感じで1stの「MOTHER」、3rdの「悪いひとたち」にも通じる感じがする、重くてヘヴィーな曲ですね。
アルバムのラストに相応しい、そんな曲ですね。
まとめ
そんな感じで全6曲と思えない位、短い映画を見たような感覚も覚えるミニアルバムです。
絶望と希望、光と影、そんな感じで表裏一体の世界を行き来する感じが非常に秀逸で、今聞いても最高にカッコいいアルバムですね。
そんな感じで次回は「幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする」行きましょう。
