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13×7cm、謎の「しこり」

10代の新型コロナワクチン接種率が高くなるにつれて、厚労省のサイトで公開されている「新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告」にも、10代の症例報告が増えています。接種後に出ている症状は、大手メディアで報道されているものだけではありません。5歳~11歳への接種を検討している保護者の皆様に、どのような症状が出ているか知っていただきたいので、気になる症例を紹介していきます。

多形紅斑と謎のしこり

以前、特例承認に係る報告書にある黒塗り関する記事を書きました。

それ以来、症例報告を見るときは、「節足動物咬傷」がないか注意しています。今のところ見つけることはできていませんが、「ツツガ虫病も検討したが陰性だった」という症例があったので取り上げます。

厚労省サイト ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第75回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第26回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料 1月21日

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00037.html

資料1-2-3-1より。
紹介する報告は、重複している部分などは編集してあります。BNT162b2は、コミナティ筋注(ファイザー製)のことです。※は、こちらで補足しました。

事例:16726 12歳女性 コミナティ筋注2回目接種 ロット番号:FG0978

ワクチン予診票による患者の病歴:気管支喘息、アレルギー性鼻炎。
併用薬には以下の通りに報告された:
2019/08/24 より開始で継続中の、オロパタジンはアレルギー性鼻炎の
ために内服であり、モンテルカストは、気管支喘息のために内服して
いた。

事象の経過は次のように報告された:
2021/09/09 14:00、bnt162b2(ロット番号 FE8206)初回接種。
2021/09/30 14:00、 bnt162b2(コミナティ) 2 回目接種。
2021/10/08(ワクチン接種の 8 日後)、両手の甲に多形紅斑が出現し、肘部まで拡大した。
2021/10/13(ワクチン接種の 13 日後)、当科受診。 「多形紅斑」と診断してプレドニン(※ステロイド) 7 日間内服して消退した。

2021/10/12(ワクチン接種の 12 日後)、左ソケイ部の圧痛あった。
2021/10/18(ワクチン接種の 18 日後)に「しこり」として触知された。
2021/10/20 夜(ワクチン接種の 20 日後)、38.0 度の発熱が発現した。
2021/10/25(ワクチン接種の 25 日後)、左ソケイ~大腿部に「しこり」増大した
2021/10/26(ワクチン接種の 26 日後)に左手掌に紅斑、痒みあり、足にも発疹あり。
2021/10/31 夜(ワクチン接種の 1 ヶ月後)に 37.4 度あり、しこり部位に発赤、腫脹を伴うようになった
2021/11/01(ワクチン接種の 1 か月後)、当科再診し、入院となった。蜂窩織炎あるいはリンパ腫などを鑑別し、結節性紅斑を最も疑っていた。消失していないが、しこりは縮小中

報告者は、事象を重篤(2021/11/01 から 2021/11/13 まで入院)と分類し、事象と bn162b2 の間の因果関係を関連ありと分類した。
他要因(他の疾患等)の可能性はなかった

報告者のコメントは次のとおり:免疫が作用していることから、ワクチンによると考えた

追加情報(2021/12/16)による臨床経過:
患者は左ソケイ~大腿部にかけて 13x7 cm 大の盛り上がり腫瘤発赤と、MRI にて腹腔内リンパ節腫脹があった。患者は、加療目的に入院した。
免疫疾患、ウイルス感染、悪性リンパ腫などを鑑別しつつ、蜂窩織炎も疑い、抗生物質を静注された。
抗生物質は有効性乏しく縮小しなかったが、拡大もなかったため、リンパ節(腫瘤)生検は施行されず、MINO 投与後に少しずつ縮小みられたため、猫ひっかき病、ツツガ虫病も検討したが陰性であった。
MRI 再検で、腹腔内リンパ節はまだ腫れていた
外来での経過観察が可能となり、患者は退院した(残存あり)。
今後も外来で症状経過をフォローアップする予定であった。

関連する検査は以下の通りであった:
2021/11/08、ツツガ虫病抗体は、カープ、カトー、ギリアムは 10 未満であり、すべて陰性であった。正常低値は、10 未満であった。報告者は、刺し傷なし、検査は鑑別目的とコメントした。
2021/11/08、猫ひっかき病検査は、IgG 64 未満、正常低値は 1:64 未満であった。IgM は 20 未満であり、正常低値は 1:20 未満であった。報告者は、猫に接触なしとコメントした。2021/11/01、血液培養は陰性であった。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000884905.pdf

この事例はわかりにくいのですが、多形紅斑、そけい部のしこり、さらに腹腔内リンパ節腫脹があったということでしょうか。治療に関しては、医師たちも手探り状態のように読み取れます。

「多形紅斑」については、厚労省のサイトで公開されている「重篤副作用疾患別対応マニュアル」に下記のように書かれています。

1.多形紅斑とは?
多形紅斑(EM)とは、境界のはっきりとした赤い発疹やときに水ぶくれが出現し拡大する病気です。発熱などの全身症状、くちびるのただれや目の充血を伴い、発疹が体全体に広くみられる場合があり、多形紅斑重症型(EM major)と呼びます。くちびるや目の症状が強いときは「スティーヴンス・ジョンソン症候群」と診断されます。
様々な原因で発症しますが、お薬やマイコプラズマや連鎖球菌などの細菌や単純ヘルペスウイルスの感染が主な原因として知られています。

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a30.pdf
重篤副作用疾患別対応マニュアル 多形紅斑

原因と考えられる医薬品の服用後数日から 2 週間以内の発症が多くみられますが、1 ヶ月以上服用してから起こることもあります

https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1a30.pdf

発症までにタイムラグがあるようなので、接種後にこのような症状が起きたら、直後でなくても関連があるかもしれません。


多形紅斑について「MSDマニュアル家庭版」を見ていたら、気になる記述がありました。

あまり多くはありませんが、他の感染症(マイコプラズマなど)、薬剤、ワクチン、免疫系に影響を及ぼす感染症以外の病気全身性エリテマトーデスなど)が原因になる症例もあります

MSDマニュアル 家庭版

ワクチンが原因になることもあると書かれていますが、全身性エリテマトーデスなどが原因になる症例もあるというのが気になります。

全身性エリテマトーデス(SLE)指定難病49
誘因
何かのきっかけによって、病気が起こったり、あるいは病状が悪化したりすることがあります。そのきっかけになるもの(誘因)がいくつか知られています。紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我、外科手術、妊娠・出産、ある種の薬剤などが知られています。

病態
自分自身の体に対して免疫が反応しているかは、血液中の抗体を調べることによって判断できます。この病気の患者さんのほぼ全員(98-99%)が、血液中に 抗核抗体 という 自己抗体(※)をもっています。自分自身の細胞の中にある核の成分と反応してしまう抗体です。この抗体が、自分の細胞の核の物質と反応し、免疫複合体(抗原と抗体が反応してできる多分子結合体)という物質を作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などに沈着して病気が引き起こされるのが主な病態と考えられています。

※自己抗体 :自分のからだの成分に対する抗体。本来は、自分のからだに対して抗体は作られませんが、自己免疫疾患と呼ばれる一連の病気では、自己抗体が出現して病気が起こります。

難病情報センター 全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫が自分自身の組織や臓器を攻撃してしまう膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる病気の1つです。

これを見て、以前、取り上げた事例にあった医師の言葉を思い出しました(Vol.2参照)。

報告者は CMT(※コミナティ) を打ってから膠原病を発現した何らかの事例があるかどうか知りたかった
(事例:13507 12月3日公開 資料1-2-3-1)

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000861750.pdf



全身性エリテマトーデス

そこで、12月24日に公開された報告からもう1例取り上げます。

12月24日の資料1-2-3-1より。

事例:16285 16歳女性 コミナティ筋注2回目接種 ロット番号:FF3622

予診票での留意点は、以下の通りであった:慢性ITP(※特発性血小板減少性紫斑病) があり、内服はなかった。併用薬は、報告されなかった。
日付不明、メーカー不明の COVID-19 ワクチン(剤型:注射液、ロット番号不明)の初回接種を受けた。

2021/09/13、BNT162B2(コミナティ)の 2 回目接種を受けた。
2021/09/21(ワクチン接種 8 日後)、SLE (※全身性エリテマトーデス
)を発現した。
2021/09/29(ワクチン接種 16 日後)、病院に入院した。
2021/11/06(ワクチン接種 2 ヵ月後)、退院した。

事象の経過は、以下の通りであった:
今回、ワクチン 2 回目接種 8 日後めまい、嘔気、40 度の発熱、顔面腫脹、発赤、皮疹、脱毛、腹痛を発現した。症状と採血結果に基づき、SLE 発症と診断された。
2021/11/06(ワクチン接種 2 ヵ月後)、事象の転帰は軽快であった。

報告医師は、事象を重篤(2021/09/29 から 2021/11/06 まで入院)と分類し、事象は BNT162B2 と関連ありと評価した。他の疾患など事象の原因となる他要因は、以下の通りであった:
慢性 ITP (※特発性血小板減少性紫斑病) の既往があり、抗核抗体(ANA)検査を含む定期的な血液検査を受けた。ワクチン接種数ヵ月前、抗核抗体結果は約 40 倍を示したため、元々発症する可能性があった。しかし、ワクチン接種前に蝶形紅斑(※)、皮疹、発熱、倦怠感などの症状は認められず、ワクチン接種前に SLE を発症したとは考えられなかった。したがって、ワクチン接種が SLE 発症の誘因になった可能性があると考えられた

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000872487.pdf

※「蝶形紅斑」とは、頬の両側に蝶が羽を開いたような赤い発疹で、全身性エリテマトーデスの特徴的な症状です。

全身性エリテマトーデス 治療法
自分自身に対する免疫を抑えるため、免疫抑制効果のあるくすりを使います。なかでも、副腎皮質ステロイドは、現在のところ無くてはならない薬として知られています。

病気の重症度によって、治療に必要とされる薬の量が違います。この副腎皮質ステロイドは、腎臓の上にある副腎皮質という場所から出ているホルモンを化学的に作ったもので、代表的なものはプレドニゾロンです。

一日5mg相当のホルモンが体内から出ていますので、5mgのプレドニゾロンを飲むということは、自分自身が毎日作っている量と同じ量を補うことになります。一般的に、重症の方では、一日60-80mgを必要としますし、逆に軽症の人では15mg程度で十分のこともあります。最初 2週間から一ヵ月この量を続け、徐々に減らして5-10mg前後を維持療法として長期に飲み続けることが多いです。

難病情報センター 全身性エリテマトーデス

5.予後
本症は寛解と増悪を繰り返し、慢性の経過を取ることが多い。

難病情報センター 全身性エリテマトーデス

上記の事例では、具体的にどのような治療をしたかは書かれていませんが、おそらくステロイドが使われたと思われます。

難病情報センターのサイトにも、ステロイドの投与が不可欠とあります。疾患の重症度によって、30mg、20mgというように初回量が決められ、そこから状態を見ながら少しずつ減らしていくのが、一般的な治療です。寛解とは、病気による症状や検査異常が消失した状態であり、治癒とは異なります。転帰は「軽快」と書かれていますが、退院後もステロイドは服用していると思われます。

ステロイドには免疫機能を抑制する働きがあるので、服用する量が多い間は風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。ということは、新型コロナウイルスにも感染しやすくなるでしょう。

ワクチンを接種して、何らかの症状が出てステロイドを飲むことになれば、かえって感染しやすくなってしまうリスクがあるのです。Vol.15(下記参照)にも、せっかくステロイドの服用を中止できていたのに、ワクチン接種がきっかけとなり、また30mgの服用が始まった事例がありました。


多くの事例を見ていると、症状や病名は異なるのに、ステロイドの服用や点滴で治療している事例がとても多いことがずっと気になっています。

上記のほかにも、例えば、IgA腎症、ネフローゼ症候群、ADEM、脳症、突発性難聴などの事例でも、ステロイドが使われています(下記参照)。

ステロイド(抗炎症作用、免疫抑制作用など)は、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、血液疾患など多くの疾患・病態の治療に用いられる薬です。

ステロイドの副作用として、ウイルスや細菌に感染しやすくなること以外に、帯状疱疹になりやすかったり、高血糖、高血圧、胃腸の症状、不眠、眼圧の上昇、骨粗鬆症、皮膚の症状、ムーンフェイスなどいろいろあります。それらの対策として、胃薬や降圧剤などを処方されることも多いです。処方される薬が多くなるほど、それらの副作用のリスクも高まります。ステロイドを服用する期間が長くなるほど、他の病気のリスクも高まるでしょう。

薬の無限ループ

現段階では、副反応疑いとして報告されているほとんどの症状が、ワクチン接種との因果関係を証明することはできていません。けれども、現場の医師は、関連ありとしている事例も多数あります。直接ではないとしても、ワクチン接種がある病気の誘因となり、そこからさらに別の症状が発現し、ステロイドをはじめとする薬の無限ループが続く可能性があるように思えます。

上記の事例で報告医師は、「元々発症する可能性があったが、ワクチン接種前に SLE を発症したとは考えられなかった。したがって、ワクチン接種が SLE 発症の誘因になった可能性がある」と言っています。

ワクチン接種が誘因になる可能性があるのなら、通院中の血液検査結果などによっては、そのリスクについても説明する必要があると思います。この情報は、医師の間で共有されているのでしょうか。そして、2回目、3回目の接種を検討している患者に説明されているのでしょうか。