FDAの調査報告 コロナワクチン接種後に増加した「命に関わる病」とは?
「週刊新潮」(1月5日・12日新年特大号)に、「コロナワクチンの闇」に関する特集が4ページにわたって掲載されています。そこに書かれていた、FDAの調査報告について調べてみました。
FDAが実施した調査
特集は、FDA(アメリカ食品医薬品局)が実施した「65歳以上の高齢者を対象としたCOVID-19ワクチンの安全性に関する調査」について取り上げています。
「週刊新潮」には、「アメリカ人1740万人を対象とした調査で、ファイザー社製ワクチンを接種する前と後で、肺塞栓症(肺の血管に血栓ができる病気)という病気になる頻度が統計的に有意に高くなっていた」と書かれています。
FDAの報告では、「肺塞栓症のほかに、急性心筋梗塞、播種性血管内凝固症候群、免疫性血小板減少症になる頻度が高くなったことも書かれていたが、細かく検証した結果、有意差があったのは肺塞栓症だけだった」とされていたとのこと。
播種性血管内凝固症候群については、以前にも取り上げました(下記参照)。
「65歳以上の高齢者を対象としたCOVID-19ワクチンの安全性に関する調査」というのが、どのように行われたのかは書かれていなかったので、元の資料を探してみました。
調査報告が掲載されたのは、「VACCINE」という学術雑誌。「ワクチン」なんて、ストレートなタイトルの学術雑誌があったのですね。
調査報告から、気になった部分を引用します。
Introductionから引用
Pre-authorization clinical studies provided useful information on the safety of COVID-19 vaccines, but they have limitations such as sample size and follow-up that may be addressed in post-authorization safety studies in large healthcare databases. Accordingly, FDA and the Centers for Medicare & Medicaid Services (CMS) are using the Medicare health insurance database, covering more than 25 million elderly persons aged 65 years and older, to conduct near real-time safety monitoring of 14 outcomes on a weekly basis following COVID-19 vaccine (BNT162b2, mRNA-1273, or Ad26.COV2.S) administration.
「承認前の臨床試験から、COVID-19ワクチンの安全性について有用な情報が提供されたが、サンプル数や追跡調査などの限界がある」と書かれています。つまり、臨床試験に参加した人数も少ないし、接種後の追跡調査も長期にわたって行うことは難しいから、安全性に関する情報は臨床試験だけでは十分ではない、と読み取れます。
そこで、「2500万人以上の65歳以上の高齢者をカバーするメディケア健康保険データベースを用いて、COVID-19ワクチン(BNT162b2、mRNA-1273、Ad26.COV2.S)投与後に14項目の転帰を週単位でモニタリングした」とのこと。調べたのは、2020年12月11日から2022年1月15日までのデータです。
※BNT162b2はファイザー、mRNA-1273はモデルナ、Ad26.COV2.SはJanssen
「メディケア」はアメリカの公的医療保険制度、「メディケイド」は公的医療扶助を行う制度です。厚労省のサイトに資料がありました。
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/13/dl/09.pdf
メディケアは、1965年に創設された連邦保健・福祉省が運営する公的医療保険制度である。65歳以上の者、障害年金受給者、慢性腎臓病患者等を対象とし、約4,870万人(2011年)が加入している。
メディケイドは、子供がいる、補足的所得保障(SSI)を受けている高齢者や障害者であるなど一定の条件を満たす低所得者に公的医療扶助を行う制度である。
加入者を対象に、入院と外来診療の請求や登録データを用いて、ワクチン接種集団に14項目の病気が発症したかを調べたということだと思います。
調査した14項目
Acute Myocardial Infarction(急性心筋梗塞)、Deep Vein Thrombosis (深部静脈血栓症 )、Pulmonary Embolism (肺塞栓症)、Disseminated Intravascular Coagulation(播種性血管内凝固症候群)、Non-hemorrhagic Stroke(虚血性脳卒中)、Hemorrhagic Stroke(出血性脳卒中)、Immune Thrombocytopenia (免疫性血小板減少症)、Myocarditis/Pericarditis (心筋炎・心膜炎)、Guillain-Barre Syndrome (ギラン・バレー症候群)、Bell’s Palsy (ベル麻痺)、Transverse Myelitis (横断性脊髄炎)、Encephalomyelitis/Encephalitis (脳脊髄炎・脳炎)、Narcolepsy (ナルコレプシー)、Appendicitis (虫垂炎)
調べた14項目が、非常に興味深いです。他の年齢層でも調べたら、4つ以外も有意差があるかもしれません。例えば、心筋炎・心膜炎は、もっと若い年齢層で調べたら、違う結果になっていたでしょう。ナルコレプシー(日中に突然強い眠気が出現して、眠り込んでしまう病気)が入っているのも気になります。
この14項目について、関連すると思われる厚労省の資料があったのでそれは後述します。
Introductionから引用
Routinely used by FDA in safety surveillance for annual influenza vaccines in the past decade, this method is designed to be sensitive enough to quickly screen safety signals for further evaluation in robust epidemiologic studies [4], [5]. This rapid screening method performs hypothesis testing, sequentially, in a prospective manner as the vaccine data accrue to detect potential safety signals earlier in the course of surveillance, but signals must be further evaluated in more robust studies with confounding adjustment. However, results detected by near real-time surveillance do not establish a causal association between the outcomes and vaccination because of the method has limited adjustments for confounding.
この方法は、FDAが年次インフルエンザワクチンの安全性調査で日常的に使用しているとのことですが、「ワクチン接種との因果関係を証明するものではない」と書かれています。
たしかにこの方法だと、自己申告とは違い、ワクチン接種と関連がないと思っている人でも、接種後に症状が出た人をカウントできます。けれども、ワクチンを接種したから症状が出たかどうかまではわからないでしょう。
Findingsから引用
Four outcomes met the threshold for a statistical signal following BNT162b2 vaccination including pulmonary embolism (PE; RR = 1.54), acute myocardial infarction (AMI; RR = 1.42), disseminated intravascular coagulation (DIC; RR = 1.91), and immune thrombocytopenia (ITP; RR = 1.44). After further evaluation, only the RR for PE still met the statistical threshold for a signal; however, the RRs for AMI, DIC, and ITP no longer did. No statistical signals were identified following vaccination with either the mRNA-1273 or Ad26 COV2.S vaccines.
ファイザー社製ワクチン接種後、肺塞栓症、急性心筋梗塞、播種性血管内凝固、免疫血小板減少症の結果が統計的シグナルの閾値を満たしたけれど、モデルナとJanssenは統計的なシグナルは確認されなかった。さらに自然発生率などを調整して評価しなおしたところ、肺塞栓症のみが統計的に有意だったとのこと。
この調整というのは、何をどのように調整したのか詳しくは書かれていません。
Discussionから引用
The statistical signals of four serious outcomes are not necessarily causal and may be due to factors potentially unrelated to vaccination.
「4 つの重篤な転帰の統計的シグナルは、必ずしも因果関係がなく、ワクチン接種とは無関係な潜在的要因によるものである可能性がある」と書かれており、やはり因果関係については調べていません。
Discussionから引用
By using the large Medicare nationwide database with longitudinal linkage of vaccination, health services, and demographic information for millions of elderly persons, we can detect even small increases in the relative risk of rare outcomes for multiple vaccines that may not be captured in pre-authorization clinical trials.
「大規模な全国データベースを使用することにより、承認前の臨床試験では把握できないような複数のワクチンの稀な転帰の相対リスクのわずかな上昇も検出することが可能である」という部分は、非常に重要だと思います。臨床試験では、相対リスクのわずかな上昇は把握できないということであり、まだわかっていないことがたくさんあるのだということでしょう。
Discussionから引用
FDA strongly believes the potential benefits of COVID-19 vaccination outweigh the potential risks of COVID-19 infection. Per FDA communication of these findings, FDA is currently not taking any regulatory actions based on these signal detection activities because these signals are still under investigation and require more robust study.
「FDAは、COVID-19ワクチン接種の潜在的ベネフィットがCOVID-19感染の潜在的リスクを上回ると強く信じている。これらのシグナルはまだ調査中であり、より確固とした研究が必要であるため、FDAはこれらのシグナル検出活動に基づく規制措置は現在とっていない」と書かれており、「週刊新潮」の見出し「米当局が認めたコロナワクチンの闇」というのは、ちょっと言い過ぎかなと思いました。
挙げられた14項目について調べていたら、厚労省のサイトでは、この14項目がすでに2021年2月の資料に挙がっていたことがわかりました。
第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会
今回調査された14項目は、2021年2月15日に開催された「第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」の資料に、アメリカでワクチンとの因果関係の評価が進められている症状として書かれていました。
資料2 新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準の設定について

米国CDCにおいては、下記の症状について、ワクチン接種との因果関係の評価が進められている。
急性散在性脳脊髄炎、急性心筋梗塞、急性呼吸窮迫症候群、アナフィラキシー、虫垂炎、顔面神経麻痺、発作/けいれん、播種性血管内凝固、脳炎/脊髄炎/脳脊髄炎、ギランバレー症候群、血小板減少性紫斑病、免疫性血小板減少、川崎病、全身性炎症性症候群、心筋炎/心膜炎、ナルコレプシー/脱力発作、脳卒中(出血性・虚血性)、横断性脊髄炎、
静脈内血栓症、肺塞栓症
⇒ こうした症状について評価が進められているが、現時点では異常なシグナルは探知されていない
この時点では異常なシグナルは探知されていないのに、なぜ評価を進めていたのでしょうか。アメリカでコロナワクチンの接種が始まったのは2020年12月です。まだ1ヶ月ぐらいしかたっていないのに、これらを調べようとしているということは、最初からわかっていたのではないかと思ってしまいます。
上記資料の出典には、アメリカの「Vaccine Safety Datalink」からのデータ(2021年1月16日)が書かれていますが、このデータだけではよくわかりませんでした。
https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-01/06-COVID-Shimabukuro.pdf
Vaccine Safety Datalinkについては、下記に日本語の説明があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000776374.pdf
FDAのファクトシートに、「ワクチンを投与された一部の人々では、心筋炎および心膜炎が発生しています」と書かれたのは2021年6月でした(下記参照)。それなのに、2021年2月にはすでに心筋炎も書かれています。
厚労省は上記のような資料を2021年2月に作って公開していますが、広く国民に知らせることはなく、メディアも取り上げませんでした。
そして、2022年12月16日に公開された副反応疑いの報告で、19歳の男性が接種3日後に心筋炎で死亡したことも知らせようとしていません。厚労省の仕事とは、いったい何なのでしょうか。
さらに調べると、FDAのサイトでは2021年7月に、すでにコロナワクチン接種後の肺塞栓症、急性心筋梗塞、免疫性血小板減少症、播種性血管内凝固症候群について調べていることが発表されていました。
2021年分
2021年7月12日の資料
The FDA has not found any new causal relationships between the Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine and potential adverse events of special interest identified in 2021. The FDA plans to release the study findings in early 2023. (12/22/2022)
その冒頭に、上記のような追記がありました。
FDAは、「2021年に確認された有害事象とPfizer-BioNTech社のCOVID-19ワクチンとの間に新たな因果関係を発見していない」とした上で、2023年初頭に調査結果を公表する予定だと、わざわざ2022年12月22日に追記しています。
FDAからどのような発表があり、それを受けて厚労省はどのような発表をするのでしょうか。
